米下院中国特別委の新委員長、対中タカ派から注目されるムーレナー議員が就任へ

(米国、中国)

ニューヨーク発

2024年03月26日

米国連邦議会下院のマイク・ジョンソン議長(共和党、ルイジアナ州)は3月25日、「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委)」のマイク・ギャラガー委員長(共和党、ウィスコンシン州)の後任としてジョン・ムーレナー議員(共和党、ミシガン州)を指名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ギャラガー議員は3月22日に、議員を4月19日に辞職すると発表していた(2024年3月25日記事参照)。

ムーレナー議員は、ハーバード大学で行政学の修士号を取得しており、ミシガン州で上院議員・下院議員を務めた後、2015年に連邦下院議員に就任し、現在は歳出委員会に属している。政治専門紙「ポリティコ」(3月25日)によると、同議員は、中国の電気自動車(EV)用バッテリー開発製造大手の国軒高科(ゴーションハイテク)の米国子会社ゴーション(Gotion)による同州でのバッテリー工場の新設に対して(2023年9月12日記事参照)、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査が必要だとして反対したことで、対中タカ派の間で注目を集める存在になった。また同議員は、ダリン・ラフード議員(共和党、イリノイ州)と共に、中国共産党に関連する企業がインフレ削減法(IRA)の下でグリーンエネルギー生産による税額控除を受けることを禁止する「ノー・ゴーション(NO GOTION)法」案を提出するなど、中国に対して厳しい姿勢を示している。2024年2月には、超党派議員団の一員として、台湾を訪れている。

ムーレナー議員について、ギャラガー現委員長は声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「中国共産党がもたらす深刻な軍事的、経済的、イデオロギー的脅威を理解している」と述べている。また、ジョンソン議長は「官民双方でリーダーシップをとった経験、学歴、議会での信念に基づいた職務により、議会の両側(共和党と民主党)の同僚から尊敬を集めている」と評している。

今回、ムーレナー議員が新たな委員長に確定したことで、ギャラガー議員の引退後も、中国特別委はこれまでと同様のかたちでしばらくは運営されるとみられる。他方で、同委の設置期限は2024年末までとなっており、2025年以降の同委の扱いはなお不透明だ。ただし、議会動向に詳しい首都ワシントンの専門家は、昨今の議会における中国に対する厳しい見方から、同委の継続の有無にかかわらず、対中強硬姿勢は維持されると指摘している。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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