中銀、食品や日用品の輸入代金支払い条件を緩和、物価抑制狙う

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2024年03月22日

アルゼンチン中央銀行は3月14日、中銀通達A7980PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布し、食品や日用品など生活必需品の輸入代金の支払い条件を緩和した。輸入品との価格競争を通じて、高止まりする国産品の価格を抑制する狙いがある。

中銀は、2023年12月13日に中銀通達A7917を公布し、同日以降に通関される輸入品の代金の支払い可能時期を予見可能なものに改めた(2023年12月20日記事参照)。品目により、輸入代金の支払い可能時期が異なるが、現在、大部分の品目は、輸入通関から30暦日後、60暦日後、90暦日後、120暦日後にそれぞれ25%ずつ分割して支払うことができる。今回の措置により、中銀の「貿易と為替に関する通達集」の12.4項に記載されているメルコスール対外共通関税分類番号(NCM)に該当し、2024年3月15日以降に通関される食品や日用品などの生活必需品は、通関から30暦日以降に輸入代金を支払うことができる、とした。

3月15日付の現地紙「ペルフィル」(電子版)によると、主な対象品目は食品関連で、牛肉、豚肉、鶏肉、魚類、乳製品、鶏卵、野菜、豆類、果物、ドライフルーツ、香辛料、シリアル、油類、パスタ・パン類、カカオなどの食品産業が必要とする原材料に加え、ビールやノンアルコール飲料などとなっている。パーソナルケア・衛生用品では、綿製品、制汗剤、かみそり・シェーバー、虫除け、せっけん、紙オムツ、トイレットペーパー、歯磨き粉、コンドーム、ベビー用品、生理用品、シャンプー・コンディショナーなどとされている。

同紙は、この措置を極めて差別的な措置だと批判する国内の産業セクターがある、と伝えている。同紙は差別的な措置との理由につき、公共歳入連邦管理庁(AFIP)一般決議5490/2024号により、同一般決議別添に記載のNCMに該当する輸入食品や輸入日用品は120暦日の間、前払い付加価値税、前払い所得税の課税が免除されるため、国産品の価格が輸入品のそれに太刀打ちできなくなるからと伝えている。

3月12日にはマヌエル・アドルニ大統領報道官がX(旧Twitter)を通じ、一連の措置の内容を事前に公表しつつ、その狙いは対象品目のインフレ抑制にあると強調していた。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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