2023年は輸出入とも減少、国際価格下落と国内経済停滞が影響

(チリ)

サンティアゴ発

2024年03月01日

チリ中央銀行が2月23日に発表した資料によると、2023年の貿易(通関ベース)は、輸出(FOB)が前年比3.7%減の949億3,700万ドル、輸入(CIF)が18.2%減の855億800万ドルで、貿易収支は94億2,900万ドルの黒字だった。国内経済が停滞したことによる輸入の減少が影響している。

輸出を品目別にみると、鉱産物は前年比6.1%減の530億3,100万ドルで、鉱産物輸出の約8割を占める銅は前年比2.8%減となった(添付資料表1参照)。2023年の銅の国際価格平均は前年比3.6%減の1ポンド当たり3.85ドル、生産量は前年比1.3%減の525万1,000トンだった。

チリ銅委員会(COCHILCO)は2024年の国際銅価格の平均について、2023年と同じく、1ポンド当たり3.85ドルとの予想を発表している。これは世界中で気候変動の影響に対応するために電気自動車(EV)の販売と製造が促進されていることにより、銅の需要が安定的に見込まれるためだ。短期的には地政学的リスクの増大によって銅価格が下落する可能性はあるとしつつも、長期的には影響を受けないだろうと予想している。2024年の銅生産量の見通しについては、住友金属鉱山と住友商事などが出資するケブラダ・ブランカ銅鉱山での生産量増加が見込まれており、563万トンまで増加すると予想している。

輸出額が近年急増していた炭酸リチウムは、リチウムの国際価格の下落の影響を受け、前年比32.9%減となった。

農林水産物は前年比5.4%増の70億ドルで、サクランボやブドウの輸出が増加した。工業品は1.4%減の349億700万ドルで、サーモンやボトルワイン、木材加工製品などの主要産品の輸出が軒並み減少した。

輸入を品目別にみると、中間財は前年比17.9%減の462億600万ドルで、ディーゼルや石炭などのエネルギー製品、化学製品や金属製品なども2桁減だった(添付資料表2参照)。消費財は前年比22.7%減の220億2,500万ドルで、自動車やコンピュータ、衣類や履物の輸入が減少した。資本財も12.6%減で、最も大きな割合を占めるその他の機械が前年比5.3%減、トラック、牽引車、モーター、発電機、変圧器もそれぞれ2桁減だった。

輸出入を主要国別にみると、チリの第1位の貿易相手国は中国で、輸出(構成比:39.4%)、輸入(23.2%)のどちらも前年比減(添付資料表3参照)、輸出は主に銅カソードや炭酸リチウム、輸入は自動車が減少した。対日輸出は銅関連製品、サーモンやウニなどの水産物が減少しており、前年比9.9%減となった。一方で、対ドイツ貿易は輸出入ともに前年比で増加しており、輸出は銅、炭酸リチウム、ヘーゼルナッツ、輸入は風力発電用の発電機が増加した。

(岡戸美澪)

(チリ)

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