中国、2024年は5%前後成長を目標、外資系企業の内国民待遇も徹底

(中国)

北京発

2024年03月06日

中国の第14期全国人民代表大会(全人代)第2回会議が3月5日に開幕し、李強首相が政府活動報告を行った。

報告では2024年の経済目標として、実質GDP成長率は5%前後、消費者物価上昇率は3%前後、都市部新規就業者数を1,200万人以上、都市部調査失業率は5.5%前後とした(添付資料表参照)。その他、GDP単位当たりエネルギー消費量を2.5%前後減少させるとした。

目標達成に向け、財政政策では赤字規模を前年から1,800億元(約3兆6,000億元、1元=約20円)拡大し4兆600億元規模、地方特別債(専項債)(注1)は前年比1,000億元増の3兆9,000億元規模とする。また、今後数年にわたり超長期特別国債を発行し、国家重要戦略の実施と重点分野の安全保障能力の整備に使用する。2024年は1兆元を発行する。金融政策は「柔軟で適度にして的確で有効なものにする」とし、社会融資総量(注2)やマネーサプライ(M2)の伸びを経済成長率と物価目標に一致させる。

2024年の重点業務としては、次の10項目を挙げた。

  1. 現代化産業体系の構築を大いに推し進め、新たな質の生産力(注3)の発展を加速させる。
  2. 科学教育興国戦略を踏み込んで実施し、質の高い発展を支える基盤を固める。
  3. 内需拡大に力を入れ、経済の好循環の実現を推進する。
  4. 改革を揺るぎなく深化させ、発展の内生的原動力を強化する。
  5. ハイレベルの対外開放を拡大し、互恵ウィンウィンを促進する。
  6. 発展と安全保障をよりよく両立させ、重点分野のリスクを効果的に防止・解消する。
  7. 弛(ゆる)むことなく「三農」活動に取り組み、農村の全面的振興を着実に推進する。
  8. 都市・農村の融合発展と地域間の調和発展を促し、経済立地の適正化に力を注ぐ。
  9. 生態文明建設を強化し、グリーン・低炭素化を推進する。
  10. 民生を確実に守り改善し、ソーシャル・ガバナンスを強化・刷新する。

外資誘致については、5.で製造業の外資参入制限を撤廃し、電信、医療などのサービス業での参入規制を緩和するとしている。また、外資系企業の内国民待遇の徹底や、法律に基づいた政府調達、入札、標準作成への平等な参加を保証する。データ越境移転などの問題解決も進め、就労・留学・観光目的の外国人入国の利便性も向上する(注4)。

不動産については、所有制度を問わず業者に対する平等な支援や、ビジネスモデルの刷新を急ぐ。

(注1)省、自治区、直轄市などが収益性のある公益プロジェクト実施を目的として発行する地方債券。プロジェクトに対応する政府基金収入もしくはプロジェクトの収入により元利を返済する。

(注2)非金融企業・個人が銀行、証券、保険など金融システムから得た資金量を指す。

(注3)中国中央電視台(CCTV)の解説では、技術の革命的なブレイクスルー、生産要素のイノベーティブな配置、産業の深い転換・レベルアップにより生み出される先進生産力とされる。2023年9月11日の人民網日本語版では「従来型の生産力とは異なり、新たな分野に及び、技術水準が高いものであり、イノベーション主導であることがそのカギとなる」とされている。

(注4)これらの点は、中国日本商会が「中国経済と日本企業白書」でも建議を続けており、外資系企業の要望を一定程度くみ取ったものとなっている。詳細は2023年6月16日記事参照

(河野円洋)

(中国)

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