大規模設備の更新と消費財買い替えを推進

(中国)

北京発

2024年03月22日

中国の国務院は3月13日、「大規模設備の更新と消費財の買い替え推進行動プランに関する通知」(国発[2024]7号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同通知では、投資と消費の拡大を図り、設備の更新および消費財の買い替えに関する具体的な数値目標が挙げられたほか、目標達成を目指して、財政や金融面での支援を強化していく方針が示された。

2027年までの具体的な数値目標は次のとおり。

  • 工業、農業、建築、交通、教育、文化・観光、医療などの分野の設備投資の規模を2023年比で25%以上増加させる。
  • 重点産業の主要なエネルギー使用設備のエネルギー効率を基本的に省エネレベル(注1)にし、環境性能がA級(注2)に達する生産能力の割合を大幅に増加させる。
  • 一定規模以上の工業企業のデジタル化研究開発・設計ツールの普及率、コア工程の数値制御(NC)化率をそれぞれ90%超、75%超に引き上げる。
  • 使用済自動車の回収量を2023年比で約2倍、中古車取引量を2023年比で45%増加させる
  • 使用済家電の回収量を2023年比で30%増やし、資源供給におけるリサイクル材料の割合をさらに増加させる。

設備更新を推進する重点産業としては、鉄鋼、非鉄金属、石油化学、化学工業、建材、電力、機械、航空、船舶、紡織、電子などを挙げ、省エネ・排出削減、安全生産、デジタル化、高度なスマート化を目指して設備更新を進めていくとした。また、消費財の買い替えは、自動車、家電、住宅内装を中心に推進するとした。

国家発展改革委員会は今後、関連部門とともに財政、金融、税制などの政策面での支援を強化し、土地、エネルギー、科学技術イノベーションへの支援を強め、「四大行動」(設備更新、消費財買い替え、回収・再利用、標準のレベルアップ)を徹底し、同プランを効果的に実施するとしている。

中国マクロ経済研究院経済研究所の呉薩副所長は、設備更新の実施が、有効で有益な投資を拡大するための重要な取り組みとの認識を示しつつ、「2023年の工業、農業など重点領域における設備投資額は4兆9,000億元(約98兆円、1元=約20円)だった。設備更新の需要は高まっており、将来的には年間5兆元を超える巨大市場に育っていくことが見込まれる」と分析したほか、「消費財の買い替えは、潜在的な消費を刺激するための強力な取り組みで、国民にとっても企業にとっても有益だ」との見方を示した。

(注1)エネルギーを大量に消費する重点製品や設備のエネルギー効率レベルを指す。国家発展改革委員会などが発表した「エネルギーを大量に消費する重点製品および設備のエネルギー効率の先行レベル、省エネレベル、参入レベル(2024年版)の印刷発表に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、同レベルは先行レベル、省エネレベル、参入レベルの3段階に分けられており、省エネレベルは現行のエネルギー効率規格の2級を下回ってはならず、参入レベルよりも省エネ、排出削減、二酸化炭素削減の要件に合致しているもの、とされている。

(注2)「重汚染天気重点業界緊急排出削減措置策定用技術ガイドライン(2020年改定版)」(環弁大気函[2020]340号)に基づき、企業のVOCs(揮発性有機化合物)排出対策状況に応じて、企業をABCDにランク付けしたもの。同指針によると、重汚染大気規制が行われる時に、A級企業は自主的な削減措置を、D級企業は定められた生産制限措置を厳格に実施しなければならない。

(趙薇)

(中国)

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