2023年第4四半期のGDP成長率は前期比0.2%増、国内需要が鈍化

(オーストラリア)

シドニー発

2024年03月13日

オーストラリア統計局(ABS)は3月6日、2023年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率が前期比0.2%と発表した(注)(添付資料表1、表2参照)。オーストラリア経済は2022年第1四半期以降、前期比で1%を割る成長が続いているが、0.2%は2022年第3四半期以来の低い成長率となった。前年同期比の成長率は1.5%だった。ABSは、必需品以外の消費が伸びず国内需要が鈍化しているものの、政府支出と非住宅部門における民間建設投資の増加が下支えした、と分析した。

需要項目別でみると、特に連邦政府による医療品・サービス関連支出の世帯向け補助(給付金)などの支出増加で、政府最終消費支出が前期比0.6%増となった。また、民間部門では、特にデータセンターや倉庫の建設増加で非住宅部門の建設投資が増加した(0.7%増)が、金利上昇の影響を受けて民間住宅は減少(3.8%減)したことなどから、総固定資本形成は0.2%減となった。GDPの約5割を占める民間最終消費支出は、横ばいだった(0.1%増)。電気代、食費、医療費など必要な消費は伸びたが、レストランやカフェでの外食代、ホテル代や、たばこ、新車、洋服、靴などの裁量的な支出は伸びなかった。財貨・サービスの輸出(0.3%減)は、2期連続でマイナスとなった。主に非貨幣金や農産品などの財輸出の減少によるものだが、一方で石炭や鉱石の輸出は伸び、海外からの旅行者や留学生が戻ってきたためサービス輸出も伸びた。財貨・サービスの輸入は3.4%減だった。財の輸入では、消費財、資本財、および中間財の全てが減少した。また、国民が海外旅行の支出を減らしたため、サービスの輸入は旅行サービスを中心に減少した。

産業別にみると、専門・科学技術サービス業で前期比1.2%増と最も増加した(添付資料表2参照)。主要産業である鉱業は、石油・ガスが4四半期連続のマイナスとなったものの、特に石炭や鉄鉱石が海外からの堅調な需要を背景に生産量も増加したため、全体では1.0%増だった。建設業も0.6%増となった。一方で、農林水産業は、乾燥した天候が小麦など冬作物の収量減少の要因となり、3.4%減(2期連続マイナス)になった。また、宿泊・飲食サービス業は3.2%減、製造業は1.2%減、卸売業は0.6%減だった。

(注)金額は全て季節調整済みの数字。

(青島春枝)

(オーストラリア)

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