物価が高止まり、小売業の売上高が大幅減

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2024年03月15日

アルゼンチン中規模企業連合(CAME)の3月3日の発表によると、2月の同国の中小規模の小売業者の売上高は前年同月比25.5%の大幅減、前月比では7.4%減となった。CAMEによると、これら売り上げの大幅な減少は物価の高止まりによるものだ。

今回のCAMEの発表は、全国の小売業者1,350社を対象に、2月26日から3月1日にかけて実施した調査に基づいている。計7部門の売上高を分析した結果、6部門で前年同月比の売上高が大きく減少した。減少率が最も大きかった「香水・化粧品」部門の売上高は前年同月比40.9%減少、次いで「薬局」部門は同39.0%減少した。薬局の経営者らは「このような落ち込みは長い間見られなかった。品切れは発生しなかったが、必要最低限の商品しか補充できなかったため、在庫も限られていた。顧客をつなぎ止めるために価格を下げ続け、店のもうけがほとんどなくなっている状況だ」と述べている。

「食品・飲料品」部門は前年同月比33.3%減だった。売り上げが最も落ち込んだのは、ここ数カ月で大幅な値上げがみられた炭酸水、ジュース、飲料水などだ。ほかにも、価格が上昇したためにほとんど購入されなくなったのがドライフルーツ、小麦粉、ビーガン食品などだという。

「金物・電材・建築材料」部門の売上高は前年同月比28.2%減で、休業する店舗も多くみられ、特に建築材料の落ち込みが激しい。「家具・インテリア関連製品」部門は前年同月比22.7%減、そのうち家具の修理などのサービスを提供する店舗のみが売り上げを伸ばした。「履物類」部門は前年同月比21.4%減で、安価な製品や子供の新学期に向けた靴以外の製品の売り上げは大きく落ち込んだ。

売り上げを唯一伸ばした「繊維製品・衣類」部門は前年同月比3.5%増を記録した。要因としては、12月以降値上げを抑えたことに加え、外国からの観光客による衣類の購入が多かったこととされている。

中小規模の小売業者のみならず、大手スーパーマーケットや卸売業でも、売上高は大きく減少している。3月から4月にかけては物価上昇が徐々に落ち着きを見せ始めると期待されているが、売り上げ改善にはさらなる時間を要するだろうとの見通しだ(2月29日付現地紙「インフォバエ」電子版)。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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