ジェトロ、欧州特許庁と日系企業知財担当者の会合開催

(EU、日本)

デュッセルドルフ発

2024年03月25日

ジェトロは3月14日、事務局を務める欧州IPG(日系企業知財情報交換グループ)と欧州特許庁(EPO)との会合をドイツ・ミュンヘンのEPO本庁舎で開催し、日系企業の知的財産担当者が参加した(EPOのニュースリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EPOからはアントニオ・カンピーノス長官をはじめ多数の幹部が参加した。

EPOは、欧州単一効特許(注1)の最新の利用状況や、Deep Tech Finder外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注2)、同庁の観測部門の活動、審査品質向上のための取り組み、改定された審査ガイドラインなどについて説明した。欧州IPGは、EPOの最近の施策や欧州単一効特許に対する日系企業からのフィードバックを行った。

EPOの観測部門は2023年10月に正式に活動を開始しており、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に関連するものを含め、気候変動やクリーンエネルギーと特許に関する分析や、中小企業にとっての特許の重要性などについて調査を行っている。

Deep Tech Finderは、ビジネス情報と特許データを融合させ、投資家が重要な技術分野で発明を市場に投入している欧州のスタートアップを検出・評価するのに役立つツールだ。あらゆる産業分野にまたがる欧州のディープテックスタートアップのプロフィールが含まれ、スマートインダストリーやクリーンエネルギーなどの技術分野ごとに検索することが可能だ。既に欧州企業ではスタートアップとのマッチングに利用しているもよう。

会合終了後には、EPOがジェトロ・デュッセルドルフ事務所の菅野一義所長にインタビューした。菅野所長はEPOと日本の産業界、ジェトロとの長期にわたる協力関係や、特許制度がイノベーションやスタートアップ企業などにとっていかに重要かを述べた。

(注1)2023年6月1日から、統一特許裁判所(UPC)協定が発効し、欧州単一効特許とUPCのパッケージからなる欧州単一特許制度が開始された。欧州単一効特許は、EPOで特許付与された欧州特許について、特許権者が単一効を申請することで付与される。詳細はジェトロの欧州知的財産に関する情報を参照。

(注2)Deep Tech Finder は、スタートアップデータベースのディールルームに掲載されている欧州のスタートアップとEPOの特許データとの慎重なマッチングに基づいたデータをマップ上に表示するEPOのツール。

(鹿戸俊介、中村勇介)

(EU、日本)

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