EUと労使団体の対話、競争力強化や人手不足解消へ要望相次ぐ

(EU)

ブリュッセル発

2024年03月28日

EU諸機関と労使団体の代表が集まる2024年の「三者社会サミット(Tripartite Social Summit)」が3月20日に開催され、欧州グリーン・ディールを補完する新たな産業政策や、雇用問題と単一市場の深化について話し合った。

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)のフレデリック・パーション会頭は、同連盟のEUの国際競争力や各国の政策を評価する調査の2024年度報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を紹介(パーション氏のスピーチ全文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。会員団体の88%はEUの投資環境に改善はみられず、54%は規制に伴う企業負担が増えたと答えた。EUへの投資を喚起し、企業や経済全体を効果的に支援するには、エネルギー、気候、産業分野の政策の一貫性が重要と指摘。EUの2024年1月の工業生産は前年同月比5.7%減で、EU産業の強靭(きょうじん)化や質の高い雇用確保に向けて迅速に対応し、新たな産業政策の策定に当たっては労使団体と協議する必要があると述べた。

欧州中小企業連合会(SMEunited)のペトリ・サルミネン会頭は、従業員の採用・離職防止の厳しさが増しており、EU域外国からの人材確保の必要性が高まっているとの考えを示した(サルミネン氏のスピーチ全文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。人材を募集する域内の雇用主と域外国の求職者のマッチング支援に向けた「EU人材プール」(2023年11月21日記事参照)の早期設置など、EUと加盟国に具体策の実施を求めた。また、欧州経済を支えている中小企業の意見を法令案に反映させ、適用に際し必要な支援を十分行うよう要請した。同連合会のベロニク・ウィレムス事務局長は、単一市場に残る市場障壁の撤廃には体系的な取り組みが必要と主張。最適な解決策を特定するため、市場障壁の要因や影響などを分析する方法論の策定が必要だとした(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(滝澤祥子)

(EU)

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