米エネルギー省、産業脱炭素化に向けてコンクリート・セメント関連プロジェクトに15億5,320万ドルの投資を発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年04月01日

米国エネルギー省(DOE)は3月25日にエネルギー集約型産業の脱炭素化や産業における温室効果ガス(GHG)排出量の削減などを目的とした33プロジェクトに、最大60億ドルを拠出すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(2024年3月29日記事参照)。選定されたプロジェクトのうち、15億5,320万ドルが拠出される見込みのコンクリート・セメント関連の主なプロジェクト概要は次のとおり。

  1. 脱炭素セメントプロジェクト(連邦拠出1億8,900万ドル):エネルギー高等研究計画局(ARPA-E)が支援して開発した技術を用いて、脱炭素標準のセメントなどを年間14万トン生産する。本プロジェクトにより、製造業などで100人、建設業で450人の雇用創出を見込む。
  2. 初の商業的電気化学セメント製造プロジェクト(マサチューセッツ州:連邦拠出8,690万ドル):セメントの材料を石灰石から珪酸(けいさん)カルシウムベースの原料に置き換え、熱処理ではなく電気化学的な処理を行うことで低炭素セメントを生成する。本プロジェクトにより製造業で70~90人の雇用創出を見込む。
  3. レベック・ネットゼロ・セメントプラントプロジェクト(カリフォルニア州:連邦拠出5億ドル):セメントの生産にあたり、化石燃料をピスタチオの殻などのバイオマス燃料に置き換えるほか、セメント原料を炭素濃度の低い代替品に置き換える。また、併せて二酸化炭素(CO2)の回収・隔離を実施することでカーボンネットゼロを目指す。本プロジェクトにより20~25人の雇用創出をみこむ。
  4. 石灰石焼成セメント生産(バージニア州:連邦拠出6,170万ドル):セメント原料を炭素濃度の低いものに置き換えるべく、広く入手可能な種類の粘土を利用する能力を実証する。本プロジェクトにより製造業などで25人、建設業で115人の雇用創出を見込む。
  5. 低炭素焼成クレイセメントプロジェクト(メリーランド州、ジョージア州、テキサス州:連邦拠出2億1,560万ドル):4つの地域において粘土を用いたセメント生産実証を行うことで、セメント原料を石灰石から粘土に置き換えることが地域を問わずに実施可能なのか検証する。本プロジェクトにより、直接雇用、間接雇用、誘発雇用合わせて4,000人の雇用創出を見込む。
  6. ミッチェル・セメント工場脱炭素化プロジェクト(インディアナ州:連邦拠出5億ドル):炭素回収・輸送・貯留システムを導入することで、セメント工場から排出されるCO2の少なくとも95%を回収し、工場敷地内の地下の地層に貯留する。これにより年間200万トンのCO2が大気に放出されるのを防ぐ。本プロジェクトにより、製造業などで20~25人、建設業で1,000人の雇用創出を見込む。

(加藤翔一)

(米国)

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