エルシーシ大統領、3期目が始動

(エジプト)

カイロ発

2024年04月05日

エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は2024年4月2日、3期目の大統領就任の宣誓を行った。2014年にエジプト大統領に就任したエルシーシ氏は2023年12月に実施された選挙で3度目の当選を果たし、任期は2030年までとなる(2023年12月19日記事参照)。

エルシーシ大統領は就任スピーチで、「科学、産業、建設、農業、文学、芸術の分野に秀でた近代的で民主的な国家の樹立」の実現を目指すとしたうえで、外交、政治、経済、財政、教育・公衆衛生、社会保障、都市開発の7点について、新任期における目標を概説した。

経済については、持続可能な成長の達成を目標とし、そのために民間セクターの強化と、農業、工業、通信・情報技術、観光分野のGDP貢献度向上を目指すとした。また、(1)食料安全保障を強化するための農地面積と農業生産性の拡大、(2)雇用創出のための国内外からの投資促進、(3)輸出および外貨収入増加のための製造業育成の3点を優先課題としてあげた。財政に関しては、ガバナンス強化のため制度改革を実施するとしたうえで、エジプトを物流および再生可能エネルギーの地域ハブとして成長させ、スエズ運河の経済的役割を強化すると述べた。

また、エルシーシ大統領はスピーチの中で、教育の質の向上、公衆衛生の改善、国民健康保険制度の完成、社会保障への支出増に触れた。大統領の新任期開始に先立ち、3月27日にエジプト内閣は2024/2025年度(2024年7月~2025年6月)予算案を承認した。モハメド・マイート財務相によれば、一般政府予算の総支出4兆9,000億エジプト・ポンド(約15兆6,800億円、1エジプト・ポンド=約3.2円)のうち、補助金・助成金・社会給付に6,360億エジプト・ポンドを割り当てるほか、「大統領の優先事項」として教育、医療にかける予算を30%増額するとしている。

(塩川裕子)

(エジプト)

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