浙江省の知的財産権の裁判件数は減少、判決賠償額は上昇

(中国)

上海発

2024年04月26日

中国の浙江省金華市では4月18日、浙江省法院知的財産権司法保護啓発週間活動が行われ、同省高級人民法院知的財産権審判廷の王亦非裁判長が「2023年度浙江知的財産権司法保護分析報告」と十大典型判例を発表した。

報告によると、2023年の同省の知的財産権に関わる一審、二審、再審などの新規受理件数は2万9,119件(前年比0.89%減)、そのうち民事一審案件は2万6,122件(同1.77%減)、行政一審案件は37件、刑事一審案件は775件で、1,252人に有罪判決を言い渡した。

地域分布をみると、案件は主に同省杭州市、金華市、温州市といった経済が比較的発展している地域に集中している。杭州地区法院が知的財産権の民事一審案件を新規に受理した数は8,659件(2.34%減)、全省の新規受理案件数の33.15%を占めた。金華地区は商品貿易が発達していることもあり、意匠権案件が多かった。

2023年の判決賠償金額について、同省の知的財産権案件の判決賠償総額は13億100万元(約273億2100万円、1元=約21円)だった。賠償金額が100万元を超えた案件数は152件(前年比52%増)、懲罰的賠償に適用した案件は28件、賠償金額は3億1,900万元となっており、高額賠償案件が増加している。

近年、同省のデジタル経済の急速な発展に伴い、インターネット上の知的財産権侵害行為が目立っている。2023年のインターネット上の知的財産権侵害に関する民事一審案件の新規受理件数は1万8,820件(前年比1.7%増)、結審案件数は1万9,057件(同4.85%増)、このうち大手ECプラットフォームに関する知的財産権案件の受理件数は8,915件(同25.83%増)だった。

インターネット上の知的財産権侵害件数を知的財産権の種類ごとにみると、著作権侵害に関する新規受理件数が7,728件と最も多く、インターネット関連の案件総数の41.06%を占めている。また、各種知的財産権侵害案件のうちインターネットに関する案件が占める割合をみると、不正競争に関するものが最も高く、不正競争案件総数のうち92.2%がインターネット関連だった。次いで特許権侵害の割合が高く、特許権関連案件総数のうちインターネット案件は78.47%を占めた。

また、全省の裁判所での裁判の質や効果が向上したと指摘しており、一審の平均審理期間は68.03日で、前年比で11.96日短縮した。知的財産権民事一審案件の服判息訴率(注)は93.71%に達し、前年比で1.03ポイント上昇した。

渉外案件をみると、2023年度の民事一審案件の新規受理件数は793件で、米国、韓国、ドイツ、日本など10カ国が関連する案件を受理した。同省は法律に基づき、国内外の権利者の合法的権益を平等に保護し、市場化、法治、国際化された一流のビジネス環境の構築を進めるとしている。

(注)服判息訴率とは、一審で結審した案件のうち、裁判所の判決に従い、上訴や申し立てをしなかった案件数の割合で、審判の質や効果を示す重要な指標になる。

(許蓓莉)

(中国)

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