2023年のモバイルマネー取引高は20兆円超で過去最高

(ガーナ)

アクラ発

2024年04月23日

ガーナ中央銀行によると、2023年のガーナのモバイルマネーの累計取引高は1兆9,123億4,000万ガーナ・セディ(約21兆9,919億円、1ガーナ・セディ=約11.5円)と、前年比78.4%増の大幅な伸びを記録した(2023年5月18日記事参照)。毎月1,000億ガーナ・セディを上回る取引高を記録し、2023年12月には1,993億ガーナ・セディと月単位での過去最高の取引高を記録した。取引件数とアクティブなモバイルマネーのアカウント数(注)は、それぞれ68億万回(前年比34.2%増)、2,280万件(11.8%増)に拡大している。モバイルマネーの主な用途は2022年から大きな変化はなく、取引額ベースで、個人間および業者間送金を含むウォレット間の送金(41%)が最も多く、銀行など他のデジタルプラットフォームからモバイルマネーへの送金(16%)、モバイルマネーへの入金(12%)、現金の引き出し(14%)などが続いた。

モバイルコミュニケーションに係る業界団体GSMAの報告書によると、2023年に新たにモバイルマネーに新規登録し、30日間アクティブなアカウント数の3分の1以上が西アフリカ諸国からで、これは他のどの地域よりも多く、ナイジェリア、ガーナ、セネガルがその成長を牽引したとしている。西アフリカでもMTNなどの移動体通信事業者が提供するモバイルマネーサービスがよく使われているが、移動体通信事業者以外の事業者が提供するモバイルマネーサービスも多く見られ、東アフリカと異なるエコシステムで成長を遂げているという。

2021年のGSMAの調査では、ガーナでは4人に1人がモバイルマネーのみでお金を貯蓄しているというデータもあり、モバイルマネーは利便性の高い金融サービスだ。それに加え、2015年にガーナ中央銀行が通信事業者などの非金融機関にモバイルマネー事業の所有・運営を認める規定を設け、2018年にはモバイルマネー間の送金も可能にする相互運用システムを開始するなどの規制変更も普及に拍車をかけた。さらに、ガーナ政府は電子政府プラットフォーム「ガーナ・ガブ(Ghana.GOV)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を始めており、同プラットフォームを通じて各種証明書やパスポート申請など、2022年時点で約1,300機関による政府サービスの利用がオンラインで可能で、モバイルマネーを含むデジタル決済も可能だ。

(注)アクティブなモバイルマネーアカウントは、本稿では、過去90日間に取引実績のあったモバイルマネーアカウントを指す。

(数実奈々)

(ガーナ)

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