中国、日米首脳会談と日米比首脳会談を自国への攻撃と非難

(中国、日本、米国、フィリピン)

北京発

2024年04月15日

中国外交部は4月12日、アジア司(局に相当)の劉勁松司長が横地晃在中国日本公使に対して、米国ワシントンで開催された日米首脳会談および日米比首脳会談(注1)における中国に対する後ろ向きな動きについて、厳重な申し入れをするとともに、重大な懸念と激しい不満を表明したと発表した(注2)。

外交部は4月11日の記者会見で、日米は中国側の重大な懸念にもかかわらず、台湾問題や領海問題で中国を攻撃し、内政に干渉し、国際関係の基本的ルールに著しく背いたと批判した。その上で、中国はこれに対して激しい不満と断固とした反対を有し、関係者に厳重な申し入れをしたと述べた。また、日米関係は他国に向けたり、他国の利益を損なったりしてはならず、地域の平和と安定を破壊すべきではないとした。

また、「一つの中国」は歴史的事実であり国際的コンセンサスだとし、中国の東シナ海・南シナ海での活動は完全に国際法にのっとったもので、非難されるべき点はないとした。その上で、中国は一貫して世界平和の建設者、グローバルな発展の貢献者、国際秩序の守護者だとの認識を示した。

さらに4月12日の記者会見では、日米比首脳会談について、閉鎖的・排他的な「小グループ」をつくることに反対するとし、日本とフィリピンは陣営対抗を地域に持ち込んではならないとした。その上で、会談後の共同声明を見れば、日米比の協力は中国への攻撃であることは明らかだとした。

在日本中国大使館も同12日、日米首脳会談および共同声明は「中国関連の議題を盛んに取り上げ、中国の内政に著しく干渉し、中国の利益を損なった」と批判した。日米の軍事協力強化は「陣営対抗」をあおり、「中日の四つの政治文書(注3)の原則に背き、国際法と国際関係の規範に背くもの」とした。

また、尖閣諸島(中国名:釣魚島)は中国の固有の領土であるとした上で、南シナ海問題について「日本は当事国ではなく、対抗を引き起こすかく乱行為はやめるべきだ」と主張した。その上で、「日本が中国の核心的利益と重大な懸念を尊重し、戦略的互恵関係の全面的推進という重要なコンセンサスを確実に実行に移すよう」促すとした。

中国人民大学重陽金融研究院の王文執行院長は、今回の協力を「選挙を考慮したもの」とし、米国は該当地域の安全・安定を守るものではなく、自国内の政治的状況から強硬姿勢を装ったにすぎないとした(「中国中央電視台(CCTV)」4月13日)。

(注1)詳細は2024年4月11日記事2024年4月12日記事2024年4月12日記事2024年4月15日記事参照

(注2)同日に劉司長は、在中国フィリピン大使に対しても厳重な申し入れをしたとしている。

(注3)1972年の日中共同声明、1978年の日中平和友好条約、1998年の日中共同宣言、2008年の日中共同声明を指すとされる。

(河野円洋)

(中国、日本、米国、フィリピン)

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