スウェーデンで日本産ホタテの小売り販売実現、販路拡大へ食品展示会を開催

(スウェーデン、日本)

ロンドン発

2024年04月26日

ジェトロは3615日、日本産水産品の販路拡大のため、スウェーデンのストックホルムで、食品サンプルショールーム(注1)を開催した。食品輸入卸し、小売店、EC事業者、レストランなど食品関係者を事前予約制で招待し、水産品などの日本産食品の試飲・試食とニーズのヒアリングを行った。

日本から冷凍輸送された北海道産ホタテ、鹿児島県産ブリ、愛媛県産タイを刺し身で、青森県産ホタテはバター焼きで提供した。ホタテを試食した現地系シェフは「活ホタテと変わらない品質。冷凍でこれだけのおいしさと甘さ、歯応えはすごい」とコメントした。後日、日本のサプライヤーとオンライン商談が行われ、複数の事業者が取り扱う意向を示した。価格など条件面で十分な検討を経て、4月に取り扱いを決定した事業者もいた。

写真 ショールームでの試食提供イメージ(ジェトロ撮影)

ショールームでの試食提供イメージ(ジェトロ撮影)

スウェーデンではホタテの国内生産はほぼなく、2023年は主にノルウェーやカナダから冷凍で輸入された。日本からスウェーデンへのホタテの輸出は貿易統計ではゼロだが、オランダ経由でレストラン向けに輸出・販売されているものも少量ある。一方、スーパーマーケットで「北海道ホタテ(Hokkaidokammussla)」と表示された商品が販売されていることがあるが、これはホタテガイ(学名:Mizuhopecten yessoensis)のスウェーデンでの商業名称(注2)が「Hokkaidokammussla」であるためだ。

こうした中、これまでレストラン向けに日本産ホタテを販売していた日系輸入卸しのJFCノルデンは、ショールーム運営者から他の来場者が日本産ホタテを高く評価していたと聞き、小売店にも販売を開始。ストックホルム市内の小売店ヤパンスカトリエットは新たに、日本産ホタテの小売り販売を開始した。店頭にホタテの説明パンフレットも置き、日本産のホタテを買いたい消費者が安心して確実に買えるようになった。

水産品以外の商品では、ゆず・抹茶関連製品に根強い人気があったほか、アイスやゼリーも関心を集めた。サステナブルな消費に対する意識が高い当地では、プラントベースなど代替食品への注目度も高い。今後もサンプルショールームの開催を望む声が多く聞かれた。

(注1)ジェトロでは、日本産農水産物・食品の取扱事業者の新規参入と販路拡大を目指し、世界の複数地域に食品サンプルショールームの設置、現地バイヤーを招いた商品紹介や試飲・試食の提供、オンライン商談を実施している。詳細はジェトロのサンプルショールーム事業のHP参照

(注2)EUでは、水産品について商業名称と学名の両方を消費者向けに表示することが義務付けられており、商業名称は各国が定めて公表している。

(高橋慧多、篠崎美佐)

(スウェーデン、日本)

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