IMF、ロシアの2024~2025年経済見通しを上方修正

(ロシア)

調査部欧州課

2024年04月26日

IMFは4月16日、世界経済見通しを発表した(2024年4月17日記事参照)。ロシアの実質GDP成長率について、2024年は3.2%、2025年は1.8%になると予測。前回見通し(2024年1月)と比較して、それぞれ0.6ポイント、0.7ポイント上方修正した。

IMFのアルフレッド・カマー欧州局長は4月19日に行われた欧州経済見通しに関する記者会見で、2024年の上方修正の理由として、消費が回復していることと、労働市場が好調で実質賃金が上昇していることを挙げたほか、成長の大部分が国有企業による安全保障や防衛関連への投資によって支えられている点を指摘した。また、輸入代替のための投資の増加がみられるという。

他方で、カマー局長は、長期的には技術の普及がネックとなり、潜在成長率が頭打ちになる可能性があるとの見方を述べた。IMFは2025年のロシアの経済成長について、前年の投資増や堅調な民間消費の減速により、成長率は2024年見通しの3.2%から1.8%に落ちると予測している。

IMFは世界経済見通しの報告書の中で、ロシア産石油を運ぶ非西側諸国のタンカーが増加したとともに、海上輸送の際に必要となる海上保険をロシアが独自に創設したことにより、同国産石油の輸出が増加したと分析した。

(小野塚信)

(ロシア)

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