中銀、2023/2024年度第2四半期も為替市場への介入を継続

(バングラデシュ)

ダッカ発

2024年04月24日

バングラデシュではインフレ抑制を目的とした、金融市場の需給ギャップ緩和による、為替レート(対ドルのタカ安)の管理措置が継続されている。バングラデシュ銀行(中央銀行)は4月3日に発表した最新の四半期(2023年10~12月)報告において、依然として外貨準備高の切り崩しによる市場介入を継続しており、2023/2024年度上半期(2023年7~12月)には累計82億1,000万ドルに上るドル売り介入を行ったと公表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

ドル売り介入の結果、2023年12月末時点のタカの対ドル為替レートは、1年間で6.1%のタカ安にとどまった一方、同時点の外貨準備高は219億ドル(IMF基準、グロス値)となり、1年間で約41億ドルの減少、同国の輸入額の約0.9カ月分の減少幅となった。中銀は同報告書において、2023年には海外出稼ぎ労働者の派遣者数が大幅に増加し(2024年1月16日記事参照)、今後は堅調な郷里送金などを通じて経常収支と外貨準備高にかかる下押し圧力も緩和されるとした。

他方、中銀は下半期(2024年1~6月)の金融政策(2024年1月23日記事参照)において、「市場原理に基づく変動相場制度」を通じた為替レートの安定化を、引き続き重要課題に位置付けている。その方策として「クローリング・ペッグ(crawling peg)」と呼ばれる為替制度(注)の導入を検討しているが、制度の詳細や導入時期などはいまだ発表されていない。こうした中、IMFアジア太平洋局長のクリシュナ・スリニバーサン氏は、「アジア太平洋地域経済見通し」の公表に先立つ記者会見(4月18日)において、為替制度および外貨準備高に大きな改善がみられないバングラデシュの現状について、「まず(2024年1月に行われた)総選挙が部分的ではあるが影響している。総選挙によって(新たな措置・制度変更)の見通しに不確実性が生じたのは事実だ。一方で、バングラデシュにとって市場の需給に基づくより柔軟な為替制度への移行は、情勢変化に対するレジリエンス(回復力)や十分な外貨準備を築くために重要で、今後の経済発展に向けた1つの鍵になるだろう」との見方を示した。

なおIMFは、同国に対する総額47億ドルの融資支援(2023年12月18日記事参照)による3回目の払い込み(為替制度を含む、各種目標に対する第2回レビューの完了)を、2024年5月1日以降に予定している。

(注)中銀が定める為替レートの幅(上限と下限値)の中で、市場の需給に基づいてフレキシブルにレートが変動しつつ、その範囲を超えないよう、必要に応じて中銀が市場介入を行うことも可能とするもの。完全な市場原理に基づいた為替制度を導入する前の移行措置とされている。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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