量子ドット顔料技術など、ポーランドのスタートアップ3社がピッチ、ジェトロJ-Bridgeウェビナー

(ポーランド、日本)

企画部企画課

2024年04月05日

ジェトロは3月21日、J-Bridgeピッチイベント・ウェビナー「ウクライナ・ポーランドの注目のスタートアップの魅力-デジタル・テック編-」を開催した。同イベントは、デロイト・ウクライナおよびデロイト・ポーランドと協力し、日本企業とウクライナ、ポーランドのスタートアップとの協業連携を目指して、両国のスタートアップ6社がピッチを行ったもの。ポーランドの登壇企業3社がそれぞれ行った、量子ドット(注1)顔料、産業用IoT(モノのインターネット)、地盤調査に関する技術についてのプレゼンテーションの内容を紹介する(注2)。

ポーランドのビジネス環境について講演を行ったデロイト・ポーランドのアレクサンドラ・ファルコフスカ・マネージャーによれば、ポーランドのスタートアップ・エコシステムが中・東欧地域の中で最も発展している背景には、安定的に成長する経済のほか、教育水準の高い労働者の存在がある。フォルコフスカ氏は、世界的にも評価されている優秀なプログラマーの関与が同国のスタートアップの成長を後押ししていると説明した。

はじめにピッチを行ったのは、QNA Technology外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのアルトゥル・ポドホロデスキ最高経営責任者(CEO)兼共同創始者。同社は、テレビやパソコンのディスプレーなどの素材として利用される、量子ドットの青色発光顔料を開発・販売している。既存の量子ドット青色発光顔料と異なり、重金属を含まないことが特徴だ。同社は2024年に日本に販売代理店を設置したが、日本市場における長期的・戦略的に提携できるパートナーを探している。

続いて、産業用IoT機器を開発・販売するパイセンス(Pysense外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)のピオトル・チャクCEOが登壇した。同社は、エネルギー分野および通信分野の管理を最適化するIoT機器とソフトウエアの開発・販売している。既存の機器を作り変えることなく、IoT機能を付加できる点が強みだ。チャクCEOは、さまざまな分野で技術力に定評がある日本において、連携の機会を前向きに検討すべくピッチイベントに参加した。

最後に登壇したのは、地盤調査の機器・ソフトウエア開発・サービス提供を手掛けるウィドモ(WIDMO外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)のミロスワフ・チェスニフスキ最高経営責任者兼最高事業開発責任者(CEO&CBDO)。通常の地盤調査では、地面に穴を開けて限られたエリアで時間をかけて詳細なデータを取得する場合が多いが、同社製品は地中レーダーと分析ソフトウエアを組み合わせることで、地下環境への影響を最小限に抑えながら広範囲に短期間で調査が可能だ。建物やインフラ建設時の事前調査や鉱物探査において、日本企業との連携に関心を持つ。

(注1)紫外線を照射すると発光し、微粒子のサイズを変えることによって発光する色を変えることができる半導体微粒子。

(注2)ウクライナの登壇企業3社のプレゼンテーションの内容については、2024年4月3日記事を参照。

(菱川奈津子)

(ポーランド、日本)

ビジネス短信 d14b502135b19dbd