2024年改正会社法を4月に施行、実質的所有者の届け出義務化

(マレーシア)

クアラルンプール発

2024年04月25日

マレーシア政府は4月1日、2024年改正会社法PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を施行した。会社の実質的所有者・支配者(ベネフィシャル・オーナー:BO)の特定と当局への届け出を義務化したのがポイントだ。

連邦議会は2023年12月13日までに、2016年会社法PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)2017年4月11日記事参照)を見直した改正法案を可決し、2024年2月2日に官報で公示。3月27日にアルミザン・モハド・アリ国内取引・生活費相が4月1日からの施行を発表した〔会社登記所(CCMPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))、マレー語のみ〕。同大臣によると、2月29日時点でCCMには150万社が登録されており、うち67万656社が操業中だ。

今回の改正では、国際的な慣行に沿ったマネーロンダリング対策を徹底するべく、OECDや金融活動作業部会(FATF)の基準に基づいて会社のガバナンスを強化した。また、新型コロナウイルス対策で財政難に陥った企業を支援することも念頭に、会社更生や民事再生の制度も見直した。

改正会社法は、BOの特定とその個人情報の届け出を義務化した。外資系企業を含め、全ての会社が対象となる。具体的には、2016年会社法第60条の後にBOに関する新たな項目を追加することを改正法第3条で規定した。株式保有状況でBOを特定できない場合でも、会社の意思決定を左右できるBOを特定するか、それでも特定が難しい場合には、会社の執行役の情報をBOの代わりにCCMに届け出る必要がある。BOに変更があった場合には、その旨を速やかに届け出する。

改正前の会社法では、BOの届け出義務は明確に規定されていなかったものの、2020年3月にCCMが発行した報告枠組みガイドライン第56条では、BO情報の保管義務を先行して規定していた。改正会社法の施行をもって、同ガイドラインも2024年版に更新PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)された。

ジェトロの中小企業海外展開現地支援プラットフォームコーディネーターの竹ノ山千津子氏によると、届け出済みのBO情報にアクセスできるのは、原則として会社の取締役、BO本人、取り締まり当局のみだが、同当局については現時点では具体的に規定されていない。

改正会社法に関する問い合わせはCCM外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで受け付けている(電話番号+60-3-7721 4000、enquiry@ssm.com.my外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。また、CCMは改正会社法に関するFAQPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)も公開しており、BOの届け出については同FAQの12ページ以降に詳細が記載されている。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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