2024年成長率予測を0.1%に大幅下方修正、春季合同経済予測

(ドイツ)

ベルリン発

2024年04月10日

ドイツの主要経済研究所(注)は3月27日、春季合同経済予測PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2024年の実質GDP成長率は0.1%と、2023年9月の秋季予測(2023年10月11日記事参照)から1.2ポイントの大幅な下方修正となった。2025年は、秋季予測から0.1ポイントの小幅な下方修正となる1.4%のプラス成長とした(添付資料表参照)。

最近まで続いた景気の低迷は成長力の減退を伴っており、全体的な経済成長の鈍化には、経済的要因と構造的要因が重なっていると指摘。景気は春から回復に向かうが、全体としてその勢いはそれほど大きくないと予測。

キール世界経済研究所(IfW)の経済研究部長のステファン・クース氏は「景気の低迷、政治のまひ、成長の低迷という現在の三重苦の中で、景気の音階が短調から長調に変わるだけだ」と語った。

経済活動は現在、新型コロナ禍前をわずかに上回る水準にあるが、ドイツの生産性は停滞したままであり、このところの国内外の経済は、追い風よりも向かい風の方が強いとした。また、世界経済が活性化する中、ドイツの輸出が後退したのは、ドイツにとって重要な資本財や中間財の需要が低迷し、エネルギー集約型製品の価格競争力が低下したことが主な要因と分析した。

また、2024年の経済の最大の牽引役は個人消費との考えを示した。2021年半ばに始まった急激なインフレによりこの2年間は購買力が大幅に低下していたが、実質賃金が再び大幅に上昇。インフレは沈静化しつつあり、他方で高インフレに伴う賃金の大幅な引き上げも行われた。2024年と2025年の両年において、社会保障給付費も実質的に大幅増加に転じるとした。これらにより、全体としてより大きな購買力が一般家庭に流れ込み、2024年は消費関連の上昇が優勢な一方、2025年は国外事業が経済を支えることになるとの見通しを示した。

(注)主要経済研究所とは、ドイツ経済研究所(DIW)、ifo経済研究所、キール世界経済研究所(IfW)、ハレ経済研究所(IWH)、ライプニッツ経済研究所(RWI)。

(中山裕貴)

(ドイツ)

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