3月の輸出額、衣料品が牽引し前年同月比9.9％増

バングラデシュ輸出振興庁（EPB）が4月に発表した輸出統計によると、2024年3月の輸出額は51億257万ドルで、前年同月比9.9％増加した（添付資料表1参照）。2023／2024年度（2023年7月～2024年6月）に単月で最高額となった1月（2024年2月13日記事参照）などには届かなかったものの、堅調に推移するニット類（HSコード第61類）の伸長が下支えした。同年度の9カ月の累計は435億5,478万ドルで、過去最高額を記録した前年度同期比4.4％増となり、輸出額全体に占める衣料品（同61、62類）の割合は前年同期を0.9ポイント上回る85.4％となっている。

国別輸出統計は主要品目別統計から遅れて発表され、2023／2024年度の同統計は2月まで公開されている（添付資料表2参照）。日本向け輸出の累計は前年同期比1.8％増の約13億900万ドル（輸出額全体の3.4％）で、主要国別では、伸び率が拡大している英国（前年同期比14.0％増）、オランダ（同11.7％増）、スペイン（同8.0％増）、フランス（同4.0％増）に続き、プラス成長となった。一方、バングラデシュの最大輸出相手国の米国向け（同5.2％減）、輸出相手国2位のドイツ向け（同12.1％減）は減少傾向が続いているものの、その減少幅は縮小しつつある。

バングラデシュ最大の業界団体の縫製品製造業・輸出業協会（BGMEA）のファルク・ハッサン会長は約4,500社の会員企業などに対し、2023／2024年度（2月まで）の輸出動向について「地域別では最大の輸出先であるEU諸国への輸出が、成長に大きく寄与している」と説明。減少傾向のドイツを除けば、スペイン、フランスなどに加え、デンマーク向けも伸長していることを挙げた。また、新興市場としてはトルコ、サウジアラビア、中国、アラブ首長国連邦（UAE）向けも成長しており、「こうした輸出先多角化に尽力する関係者に、感謝の意を表したい。BGMEAとして、こうしたマーケットの多様化に向けても、引き続き積極的に役割を果たしていきたい」とのメッセージを発している。

欧州向けを主力とし、日本への輸出も手掛ける現地縫製大手の関係者は、直近の輸出状況について「欧州からのニット類の受注がこれまで以上に伸長している。日本向け輸出も拡大したい一方、欧州向けの対応で生産能力を超えつつあるため、先月から現在に至るまで、日本からの新規のオーダー受注はやむなく控えている状況」と述べている（インタビュー2024年4月24日）。

（山田和則）