世界銀行、サブサハラ・アフリカの経済は回復と予測するも、ペース鈍く債務危機リスクも

(アフリカ)

調査部中東アフリカ課

2024年04月10日

世界銀行は4月8日、サブサハラ・アフリカ地域の経済見通しに係る報告書「アフリカの鼓動外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2024年4月版)」を発表し、同地域では民間消費の増加とインフレ率の低下に支えられ、経済活動が回復するとの見込みを示した。同地域の経済成長率は、2023年に2.6%だったが、2024年に3.4%、2025年には3.8%へ加速する予測となっている。しかし、経済成長のペースはなお鈍く、2000~2014年の成長率を下回っている。また、不確実な世界情勢、債務返済額の増加、気候変動関連災害、紛争の激化などにより、経済の回復は依然として脆弱(ぜいじゃく)としている。

一方で、ガーナ、ケニア、ナイジェリア、ザンビアなどでは財政再建も進んでおり、2024年にはサブサハラ・アフリカの46カ国のうち31カ国が改善する見込みだという。同地域の財政赤字の対GDP比の中央値は、2023年は3.8%だったが、2024年には3.5%と、小幅だが縮小する見込みだ。また、公的債務の対GDP比も、2023年は61%だったが、2024年には57%に縮小する見込みを示す。

しかし、債務危機のリスクも依然として高く、サブサハラ・アフリカ地域では、半数以上の政府が持続不可能な債務負担に直面しているという。2022年には歳入の31%を債務返済と利息に費やしていたが、2023年には45%以上を債務返済と利息に充てたとされる。

サブサハラ・アフリカ地域のインフレ率の中央値は、2023年は7.1%だった。2024年に5.1%、2025~2026年には5%まで低下するとの予測だが、新型コロナウイルス禍以前の水準と比べると、まだ高い水準にある。 3月時点の政策金利は、ガーナ29%、マラウィ26%、ナイジェリア22.5%、アンゴラ19%と高く設定している。世界的な金融引き締めやドル高の影響もあり、同地域の多くの国で通貨価値が対ドルで下落しており、特にナイジェリアでは2023年に前年比で通貨価値が約50%減、アンゴラ、マラウイ、南スーダンでも前年比で約40%減となった。

また、世界銀行によると、サブサハラ・アフリカ地域のジニ係数の平均は41.5で、中南米に次いで所得格差が大きく不平等な地域という。

(井澤壌士)

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