タイ中銀、政策金利を2.5%に維持

(タイ)

バンコク発

2024年05月01日

タイ中央銀行(BOT)は4月10日、金融政策委員会を開催し、政策金利を現行の2.5%に維持することを決定した。同委員会は(1)現在の政策金利が長期的な経済成長とマクロ金融の安定性を両立できるレベルであること、(2)タイ経済の構造的な問題は、特に輸出や生産部門の競争力低下などにあり、これらの問題を解決するのに金融政策の効果は限定的であることなどから、賛成5、反対2の多数決で、2.5%の政策金利を維持した。BOTは2022年8月以降、政策金利を段階的に引き上げ、2023年9月に2.5%に引き上げて以降、3会合連続で金利を維持している。

反対した2人は、タイ経済が低成長となる可能性があることや、債務者の負担を一部軽減できるなどの点を挙げ、0.25ポイント軽減を主張した。

BOTはGDP成長率について、2024年に2.6%、2025年に3.0%へ加速していくと予測した。プラス要因として、観光者数や観光者1人当たり支出のいずれも改善していく見込みであることや、前年よりは緩やかだが、民間消費の拡大が引き続き見込まれること、年内に公共支出が加速することを挙げた。他方、輸出は徐々に回復するにとどまると見込んでいる。

注目されるインフレについては、ヘッドラインインフレ率(総合インフレ率)を2024年は0.6%、2025年は1.3%と予測。コア・インフレ率については2024年を0.6%、2025年を0.9%と見込んでおり、いずれも2023年11月の予測から下方修正となっている。

(藤田豊)

(タイ)

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