大和電器株式会社

当社は長らく中国での製品生産を続けてきましたが、生産量の増加やカントリーリスクの回避を背景に、2013 年からASEAN 地域への進出を視野に入れました。ジェトロのアドバイスを受け、進出先としてベトナムを選択。初めは地元のパートナー企業への生産委託から始め、3 年の経験を経て、2021 年に現地法人を設立しました。ベトナム人スタッフを日本で研修し、現地のパートナー企業でのOJT を重ね、数年をかけてジェネラリストを育成。彼らは法人設立や新工場の立ち上げにも中心的な役割を果たしました。コロナ禍での渡航制限は情報収集や視察を難しくしましたが、現地のパートナーやスタッフの存在が大きな支えとなりました。

専門家の指導とネットワークを駆使し、ベトナム工場設立用地の契約から工場建設、運営に至るまでの一連の流れをスムーズに進めました。初期のフェーズでは、コロナ禍で全てが不透明な状況の中、専門家の紹介で複数のコンサル会社や業者とのオンライン面談を繰り返し、最適なマッチングを実現。また、成功・失敗事例の共有やアドバイスが、確実な仮契約への道を開きました。その後の実行段階では、渡航・入国制限やロックダウンの影響を受けつつも、専門家の協力で現地の動向を把握し、本契約を締結。工場稼働に向けても、現地の情報やアドバイスを受け取りながら、スケジュール通りの工場運営と量産スタートを実現しました。

渡航規制が緩和された今、当社は既に現地生産拠点が準備できている部分がアドバンテージとして評価されています。第一工場では家庭用電源タップを生産し、5 年後には年間1,500 万個の生産能力を目指しています。中国での20 年の経験を活かし、ベトナム工場も長期的に育てていく考えです。海外展開のメリットとして、リスク分散、新資源の活用、競争力の向上が挙げられます。しかし、海外展開の際は明確な目的を持ち、多角的な情報収集が必要です。特に中小企業は現地のネットワーク構築が鍵となります。ベトナム進出8 年目の当社でも、情報不足を感じることがありますが、人材育成やネットワーク構築には長期的な視点が必要と考えています。