株式会社有田屋

オンラインツールをフル活用し、再仕込醤油をマレーシアに初輸出!

株式会社有田屋(群馬県安中市)は1832年に創業以来、天然醸造の製法にこだわった醤油を製造している。2021年にジェトロが招待したバイヤー専用のオンラインカタログJapan Streetに参加。2年後にマレーシアの大手スーパーマーケットから引き合いがあり、再仕込醤油が成約。現地の店舗やオンラインストアで販売されている。

成約した商品
再仕込醤油
商品概要
再仕込醬油とは、2年かけて天然醸造された生醤油に、醤油麹を加えて更にもう1年発酵・熟成させた二段仕込みの特別な醤油。凝縮された旨味と香りが特徴。国内で流通する醤油の中での再仕込醤油の割合は約1%程度と希少価値が高い。中でも株式会社有田屋の再仕込醬油は、創業時から続く醸造所や微生物を大切に受け継いでいる歴史やこだわり、高い品質等が評価された。
バイヤー概要
マレーシアの首都圏を中心に4つのスーパーマーケットブランドを30店舗以上運営している。世界中から取り寄せた高品質な食材を幅広く扱っており、店舗だけでなく自社ECサイトも高い評価を得ている。

代表取締役:湯浅 康毅 氏

ジェトロの事業をフル活用し、海外輸出に挑戦してきた

初めての海外輸出は、2016年のシンガポールの飲食店向けでした。その後、海外売上の比率を上げようと2019年にジェトロの新輸出大国コンソーシアムのハンズオン支援に申し込み、専門家に相談しながら本格的な海外輸出への取り組みを開始しました。欧州をターゲットにし、現地で市場調査や営業を続けた結果、イタリアにパートナー候補が見つかりましたが、全世界での感染症拡大による渡航制限が影響し、取引には至りませんでした。渡航制限が長期化する中で、オンラインでの海外販路開拓の必要性を痛感しました。そこでジェトロ群馬による案内でジェトロ主催のオンライン商談会やオンラインセミナーに参加し、SNSでの発信強化プログラムを実践したり、Japan Streetにも登録する等、日本にいながらできることに足元から取り組みました。そこでオンライン商談を行ったフランスバイヤーとの直接輸出が決まり、2019年以来の欧州への輸出という目標を達成しました。その後渡航制限が緩和された2022年には、フランスで開催された欧州最大級の国際総合食品見本市「SIAL Paris」のジャパンパビリオンに出品。時を同じくして、感染症拡大前から商談を続けていたイタリアのパートナー候補との取引も開始し、欧州での販売活動は順調に進んでいます。

Japan Streetでの引き合いをきっかけに、マレーシアへの初輸出に成功

オンラインでの海外販路開拓活動の一環で、2021年にJapan Streetにも登録していたところ、2023年にマレーシアの大手スーパーマーケットから引き合いを受けました。まずは欧州をターゲットとしていたため、無料で登録できるJapan Streetで欧州以外のバイヤーから引き合いがいただけたことは思いがけない幸運でした。その引き合いはオンライン商談の依頼だったため、すぐにジェトロがオンライン商談の日程を調整し、通訳者も無料で手配してくれました。そのため、オンライン商談中は言語の心配なく商品のアピールに集中することができ、3か月後に再仕込醤油が成約しました。このバイヤーはジェトロJAPAN MALL事業の連携先バイヤーでもあったため、JAPAN MALLにも参加することにしました。

マレーシアに輸出が決まった再仕込醤油

JAPAN MALL事業ではプレミアムプランにも挑戦

今回は国内納品や円建て決済という条件だったため、国内取引と変わらずスムーズに納品できました。また、JAPAN MALLのバイヤーと成約した場合に追加で申し込める有料プロモーション(プレミアムプラン)にも挑戦。販売が好調となればという思いでの挑戦でしたが、実店舗でのフェアやSNSでの販促など様々なプロモーションをしていただき、新しい輸出先で好調なスタートが切れたと感じています。

自社商品の魅力の伝え方を磨き続けることで成約に繋がった

2016年に海外にチャレンジすると決めた時から、準備を少しずつ重ねたことで、いざ引き合いをいただいたときにも焦らずオンライン商談に臨めたと考えています。例えば、オンライン商談会に積極的に参加し、外国のバイヤーとの商談の経験を積みました。商談の長さや相手の雰囲気によって話の構成を変えるテクニック等が身に着いたと感じています。また、あらかじめ英語字幕の動画を準備しておき、商談の冒頭で流し、バイヤーの関心を高められるよう工夫しています。動画には、醤油の希少価値が伝わるよう、創業時から守り続けてきた醸造所で丁寧に醸造を行う様子を映しています。欧州をターゲットに海外販路開拓を始めたため、欧州のプロのシェフのコメントや、フレンチレストランの料理での醤油の活用例も撮影しました。今後も様々なプログラムに参加して、海外への挑戦を続けていきます。

自社の魅力を短くまとめた英語字幕付きのコンセプトムービーを商談の最初に流すようにしている。

商談に同席したジェトロ職員から見た
成約のポイント!

今回商談したバイヤーは既に日本の醤油を取り扱っていたため、付加価値の高い再仕込醤油を中心に紹介するなど、相手に合わせたプレゼンテーションが印象的でした。 特にオンライン商談の冒頭に流した動画は、醤油の品質の高さや、同社の歴史やこだわりの製法などが分かりやすく解説されており、実際に醤油を味わうことができないオンライン商談であっても、「この醤油は美味しいに違いない」と確信させる内容でした。

ご利用いただいたジェトロのサービス

株式会社有田屋

群馬県安中市
代表取締役:湯浅 康毅
設立年:1832年
従業員:8名
取扱製品:天然醸造法にこだわった醤油を製造・販売

2023年12月

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