即断即決し、アジア市場の開拓に挑む

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代表取締役社長 吉田 豊 氏

白井汽船株式会社

専門家の知見と現地事務所の最新情報などジェトロの総合ネットワークをフル活用できました。

広島県竹原市 <海外進出> 対象国・地域:ベトナム

夢は新興国で安全に対する風土を醸成すること

海外市場への進出にあたり、私は単なる商売ではなく、志をもった夢のある仕事をしたいと考え、わが社が扱っている船の積み荷であるLPガスに着目しました。LPガス運搬で培ってきた知識や経験を生かして、新興国に安全・安心でクリーンなエネルギーを提供するとともに、安全に対する風土を醸成したいと考えたのです。ベトナムでは今後10年でLPガス市場が4倍になるというデータにも支えられ、その一般家庭への普及に取り組むことにしました。

わが社の目標は、日本で役目を終えた中古船をFSO(浮体式河川ガス貯蔵積出し設備)として河川に係留し、そこから内陸のLPガス充填所等へ供給する新たなシステム構築です。河口でLPガスプッシャーバージに親船からLPガスを引き取り、そのまま川を上ってFSOまで運ぶことで、直接LPガスを河口の貯蔵タンクを経ずに供給可能です。これにより貯蔵施設の建築費用などを軽減できるうえ、運搬の際に道路の渋滞に巻き込まれる心配もありません。

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LPGセンター未来構想図

夢は新興国で安全に対する風土を醸成すること

今はインターネットなどで簡単に情報を得られますが、私は実際に動いて自分で入手する「一次情報」を大事にしています。しかし、海外では文化や言葉、生活習慣、商習慣などがまったく異なるため、中小企業が自分だけで一歩を踏み出すには勇気が必要です。それを、ジェトロの支援が後押ししてくれました。特に、相手先企業が信頼できるかどうかを見極める際に、専門家の力を借りました。たとえば決算書上は黒字でも、それが必ずしも真実とは限りません。藤井専門家は従業員の質、経営者の車や装飾品までをチェックし、パートナー企業としての適性を客観的に助言してくれました。また、中古船を中継地点に使うシステムはすぐに立ち上げられないため、当面は陸地に充填所を作って稼働することになりました。その際にも「駐在員事務所では営業活動はできないから、現地法人にしたほうがいい」といった的確なアドバイスをいただいたことで、法人の立ち上げ、事業のスタートをスムーズにできました。 アジアの成長は「ドッグスピード」と表現されるほどめざましいものがあります。成功には即断即決も大切なので、今後も専門家の知見や現地事務所の情報など、ジェトロの総合ネットワークをフル活用し、スピード感を持って未知の世界を開拓していきたいです。

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専門家 藤井 義親

大手総合商社で物流を担当した後、物流システムの販売を手がけ、東南アジアで10社以上の会社を立ち上げた。大手物流会社での海外進出事業、JICAのシニア海外ボランティア、東京都中小企業振興公社での国際化支援などを経て、ジェトロ専門家となる。

<ジェトロ専門家インタビュー>

ガイド役として企業に寄り添い正しい決断と実行をサポート

外国でパートナー企業、施設の建設・管理会社などを探すとき、現地の優良企業をゼロから発掘するのは難しいものです。私は東南アジアをはじめ海外で20社ほどの会社の立ち上げに携わってきたため、様々な業種の会社と接点があります。その経験に基づいた「目利き」を行い、現地企業の選定についてアドバイスを行いました。
また、大企業の場合は、何を始めるにも法務や経理など様々な部署のチェックが入りますが、中小企業の場合はすべての判断が社長に一任されることも多いため強い覚悟が必要です。もちろん最終的に決断、実行するのは企業経営者ですが、専門家は、登山に例えれば、シェルパではなくガイドです。企業に寄り添い、正しい判断に導くことが役割だと思っています。

進出段階と支援内容

投資検討段階 意思決定段階 拠点立ち上げ段階 拠点操業・開業拡張段階

  • パートナー企業など現地取引先の選定
  • LPガスの充填所建設のための認可、契約交渉支援

白井汽船株式会社

広島県竹原市
LPガス船舶のオーナー業、配乗やメンテナンスといった付加価値と共に船を貸し出すマネジメント業務のほか、船舶代理店として船が安全に寄港、出港するための安全管理業務も行う。広島県・竹原地区の町おこしとして「おしゃれ盛り塩」の開発・販売も手掛ける。1962年設立。
http://www.takecci.net/e-toko/shirai/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2014年3月

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