世界の見本市ビジネストレンド潮目の変化を捉えて新規展開SPORTEC 2021

TSO International株式会社外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは2021年6月17日から19 日までの3日間、ポートメッセなごやでSPORTEC 2021を新たに開催した。コロナ禍前よりも展示会の数を増やすなど、積極的な事業展開を続けるTSO International株式会社 代表取締役の佐々木剛 氏にコロナ禍のビジネスチャンスと今後の展望について伺った。

TSO International株式会社
代表取締役 佐々木 剛 氏

Q1:コロナ禍の影響は?
A1:展示会場の収容人数制限(人数上限5,000人かつ収容率50%以内)を瞬間的にでも超える展示会はないのではないか。大企業のほとんどが展示会に戻っていないので、大型の出展者を狙っている主催者ほど今も苦しんでいる。2021年も10月に入ったが、出展者数は海外の展示会が2019年比6割減から7割減、国内の展示会は低いところで7割減、平均で5割減ではないか。ただ、中小企業の新規出展契約は取れている。我が社の売上も伸びている。キャンセルなどで空いた展示会場を借りて、独自のノウハウを使って最短3ヶ月で展示会の企画から開催までを組み立てている。2021年は6月だけで2会場3テーマ18展示会を開催した。このうち7本が新規展である。東京ビッグサイトでCafe&Wellness WeekとCeremony Japan、ポートメッセなごやでSports & Wellness Weekを開催したが、11月にインテックス大阪で開催するWell-being JAPAN2021は7月から出展募集して既に完売した。12月に東京ビッグサイトで開催予定のSPORTEC 2021の出展募集は目標数に近づきつつある。日本の企業は99.7%が中小企業なので、彼らと向き合いながら販路開拓のお手伝いをすると結構チャンスがある。展示会産業も潮目が変わってきており、新たな展開をする面白さがある。
Q2:御社の業務内容は?
A2:我が社は2011年2月末に創業したが、いきなり東日本大震災3.11が発生し、国内最初の展示会は12月に開催したSPORTEC 2011である。我が社の得意なドメインはスポーツ、健康産業で、レジャーも入ってくる。SPORTECは今では日本最大のスポーツの展示会に成長した。健康産業ではヘルス&フィットネスジャパンTokyo Cafe Show、レジャーはテーマパークやアウトドア施設向けのレジャージャパンを開催している。これらの産業を選んだ理由は、まず日本には重厚長大型の展示会、つまり鉄鋼や自動車、半導体製造装置、工作機械、素材・原材料などの展示会は既にあって、我が社が産業振興で活躍する余地があまりないと思ったこと。次に日本が世界に先駆けて超高齢社会となり、健康長寿を実現するには食品や運動、ストレス対策が大事になるので、我が社も伸び代があると思ったこと。さらに将来のアジアなどへの海外展開も非常にし易いと思ったことが挙げられる。これらをキーコンテンツとして2019年までは毎年展示会の数、展示面積、出展者数を増やしてきた。2020年はコロナ禍のなかで、日本の展示会主催者として唯一、1つの展示会も中止することなく開催できたことが評価されて、2021年の売上見込みは2019年比プラス10%で推移している。国内の独立系の展示会主催会社として、2021年はスポーツ、健康産業、レジャー、外食産業、冠婚葬祭産業、感染症対策の6つのドメインで、派生展を合わせて30本の展示会を開催する予定である。
Q3:地方展開をどのようにお考えか?
A3:我が社の戦略は二つある。一つ目は地方の企業が東京に来られないなら、こちらが地方に行けば良い。地方は今非常に疲弊しているのに対して、展示会は地方の消費、商品の流動性を活性化させるので、双方のニーズは合致している。二つ目は地方の展示会場が割と空き始めており、この機会を活用して、新しいチーム作りをする。展示会のノウハウを持つ展示会主催者と、地元のネットワークを持つ地方自治体や地元の有力企業がジョイントベンチャープロジェクトを立ち上げて、展示会を作っていく可能性があると思っている。展示会は一般的にPlan、Do、Check、Actionのサイクルを1年かけて回していくが、我が社はプログラム開発の手法であるアジャイル開発のような、つまりDoから始めてCheck、仕様を修正しながら仕上げていく独自のノウハウがあり、短期間で展示会を作ることができる。2021年に新規で開催したポートメッセなごやでのSPORTEC 2021の制作期間は4ヶ月、うち3カ月半は緊急事態宣言中だった。



Q4:海外での展示会開催についてはどうか?
A4:タイのバンコクでSPORTEC ASIAを2021年10月28日~30日に開催する予定であったが、タイ国内でのコロナ禍、日本の渡航制限で中止となった。今後については、渡航制限が緩和されて、さらにタイのスポーツ産業の傷みが少し改善されないと展示会の開催は難しいとみている。ただ、ポストコロナでは、日本は少子化でGDP成長率が下がり、一人当たりの収益性、購買力も下がっていることを考えると、我々展示会主催者も日本で出展料を上げ続けることはできないのではないか。そうなると、日本よりも物価が高くなっている国に出て行った方がメリットがある。感覚的にはシンガポールは日本よりも高く、タイのバンコクは日本と並び、日本はアジアの中でも安い国になり始めた。会社を育てて行くためには海外進出は必要な選択である。
Q5:日本の展示会への海外参加者の動きについてはどうみているか?
A5:海外からの出展者は戻って来るが、リアル展示会に戻ってくるのは2023年くらいとみている。2022年はエージェント出展やオンライン出展が続くと思う。実際、他社の海外ブースはオンライン出展、エージェント出展、もしくは主催者がフォローアップして商品展示している。我が社の展示会でも中国や台湾からの出展者はいるが、中国や台湾から日本のエージェントに商品を送ってもらって、商品をブースに展示してオンライン商談をしている。1年半傷みつけられた企業マインドは回復するのも同じくらい時間を要するから、リアル展示会に戻ってくるのは2023年の4月5月くらいじゃないか。
Q6:オンラインについてはどのようにお考えか?
A6:オンラインは販促マーケティングのツールなので、セールスプロモーションとして使うなら良いと思う。考え方は二つあって、一つは、リアルの展示会が厳しいからバーチャル展示会を展示会主催者がやるならそれは負け戦。専門家ではないのにそういう考え方でやるのであれば絶対に失敗する。もう一つは、バーチャル展示会のプラットフォームが出来てからやるかどうか検討すれば良い。バーチャル展示会は展示会場を作るようなもので、自分達で土地を借りて仮設の展示会場を作るよりは、展示会場の運営会社に教えてください、貸してくださいという方が、早く成功する。我が社のホームページにオンライン商談の受付欄があるのは、出展者が展示会場に来ていないバイヤーと商談したいというニーズがあるからオンライン会議システムを組み込んでいるだけで、バーチャル展示会ではない。他方、オンラインセミナーはお客様に情報発信するツールとして最適なので、我が社もセールスプロモーションとして毎週実施している。ツールの特性分析はすごく大事だと思う。
Q7:展示ブースでのオンライン商談についてはどうか?
A7:コロナ禍が終息して渡航制限が緩和されれば皆リアル出展に戻って来ると思う。展示ブースでのオンライン商談はそれまでの中間措置としてやるくらいで良いのではないか。進化はしないし、進化する必要もない。移動制限のなかで地方と東京をどう結ぶかが課題という意見もあるが、実際に仕入れたいと思っている人は地方からも来ている。ハイブリッドの捉え方っていろいろあると思う。僕はやはりリアルの展示会の方がより価値が高く、3日間行かなければいけない感動と熱気があって、そして人々の出会いからイノベーションが起こる場所というのは未来永劫展示会なので、そこに情熱を傾けたい。
Q8:スポーツ市場の今後については?
A8:スポーツは2016年にアベノミックの経済対策として環境や半導体、自動車と並んで成長産業に数えられたけど、海外と比べるとまだまだ産業になり切れていない。スポーツ市場はもともと大きかった。スポーツ用品を買ったことがない人はいないと思うが、買ったことがない人がいない産業というのは他にない。スポーツは観るスポーツ、するスポーツ、応援するスポーツに分けられるけど、体系化されていないだけで、どこからどこまでをスポーツと括るかによっては、それまでなかった産業がポンと生まれる可能性がある。ヨーロッパでは企業のCSRとして売上利益の何パーセントかをスポーツ振興に投資する、寄付することがスタンダードになっている。スポーツ市場は今、コロナ禍で落ちているようにみえるけど、ランニングをする人、アウトドアをする人は増えていて、市場としては動いている。展示会も単体では売上が落ちるかもしれないが、新たな動きをマークして展示会を作っていくことで、売り上げを伸ばしていける。今後もしっかりとキャッチアップしていきたい。
(市場開拓・展示事業部 主査 皆川 幸夫)

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