「フィリピン大統領訪日記念経済フォーラム」を開催

2023年2月

ジェトロは2月10日、フィリピン貿易産業省、日比経済委員会、日本アセアンセンター、フィリピン協会、駐日フィリピン共和国大使館、フィリピン中央銀行、フィリピン財務省との共催で、「PHILIPPINE Business Opportunities Forum―フィリピン経済の展望と広がるビジネス機会―」と題してフィリピン大統領訪日記念経済フォーラムを東京で開催しました。日本、フィリピン両国の政府関係者、企業幹部等、約640人が参加し、ジェトロにとってコロナ禍以降のオフラインのイベントとしては最大規模のフォーラムとなりました。

本フォーラムは、昨年5月に実施された大統領選挙にて史上最多得票率で当選したフェルディナンド R. マルコス JR.大統領が初めて来日する機会を捉え開催されました。マルコス政権では、物価上昇や新型コロナウイルスなど国民が直面する課題について短期的に実現を目指す項目と、雇用の創出やデジタル化など中期的に実現を目指す項目からなる8つの社会経済政策アジェンダが掲げられています。マルコス大統領をはじめ、同政権の重要経済関係閣僚がフィリピンの魅力、今後の経済・財政政策、外資誘致促進、インフラ整備の方向性等について直接、日本のビジネス関係者に対して講演等を行いました。

会場全体の様子

マルコス大統領らフィリピン政府閣僚の訪日を歓迎

冒頭、日本政府を代表して西村康稔経済産業大臣から、フィリピンは日本にとって中東、東南アジア、極東へとつながるシーレーンの要衝に位置する。法の支配や民主主義といった基本的価値を共有する戦略的パートナーであると語られました。続いて、佐々木理事長からは、今回のフォーラムの意義やフィリピン政府の外資誘致方針、日本企業の強みが発揮できる分野への期待などが述べられました。その後、ジェトロとともにフォーラムの日本側共催団体である日比経済委員会(JPECC)・朝田代表世話人、日本アセアンセンター・平林事務総長、フィリピン協会・桂理事長からもマルコス大統領をはじめ、多くのフィリピン政府閣僚を迎え、多数のビジネス関係者の参加の下、フォーラムを開催できたことに対する歓迎の挨拶がありました。

経済動向とインラフ整備、政府の方針について閣僚らによる講演、パネルディスカッション

講演とパネルディスカッションは2つのパートに分かれており、それぞれのパートで大臣の講演の後、各テーマに関係する閣僚、民間代表者が登壇し、パネルディスカッションが行われました。最初のパートではディオクノ財務大臣が、日比間の貿易・投資関係、労働市場、外貨準備高などに関する経済動向を説明されました。その上で現在の経済環境の要望に応えるため、外国投資、公共サービス、小売業などの各種法律・制度の見直し、エネルギー政策について紹介し、日本からの協力に期待され今後の経済成長の鍵となる分野が示されました。続いて2つ目のパートでは、パスクアル貿易産業大臣から包括的かつ持続的な産業開発のための科学技術・イノベーションの重要性に言及し、「物理、デジタルの両面において接続性」を改善、強化していくことでビジネスが発展することが述べられました。物理的には、都市、地方、地域を繋ぐ鉄道や高速道路の整備、デジタルでは、中小・零細企業のDXを促進し、企業の収益性を改善し、より大きな市場と繋がることができるよう支援していくことなどが示されました。

マルコス大統領、日比の経済関係をさらに互恵的で強固なものへ

フォーラムの最後にマルコス大統領が基調講演を行いました。講演の中でマルコス大統領は、「日本はフィリピンにとって最大の貿易相手、投資国の一つである。一方、フィリピンは日本の投資家に対して質の高い労働力、成長の原動力となる安定したマクロ経済環境を提供することができる。互恵的で強固な関係をさらに高めていきたい」と述べられました。またフィリピンへのビジネス展開を検討すべき理由として、(1)高い成長率によりコロナ禍からの回復を見せていること、(2)外資規制の緩和、投資インセンティブ、RCEPへの批准実現など優れたビジネス環境であること、(3)積極的にインフラ投資政策を推進していること、を具体的な数字とともに挙げられました。演説を聞いた日本企業からは、「説明が明快で説得力のあるものだった」、「マルコス政権の政策方針を把握することができた」といった声が聞かれました。

マルコス大統領による基調講演

マルコス大統領立ち合いによる新規投資等にする覚書等調印式

フォーラムに先立ちマルコス大統領をはじめ、アロヨ元大統領、ロムアルデス下院議長などフィリピン政府関係立ち合いの下、フィリピン共和国大使館主催により、覚書等の調印式も行われました。ジェトロもフィリピン貿易産業省との間で包括的な投資支援・連携に関する覚書を締結しました。フィリピン貿易産業省パスクアル大臣とジェトロ佐々理事長により署名、交換が行われました。署名式ではフィリピン政府や民間企業と日本の民間企業、団体との間でクリーンエネルギー、高度技術の製造業、インフラ開発、小売など様々な分野において34件の文書の署名、交換が行われました。

西村康稔経済産業大臣 歓迎挨拶

ジェトロ 佐々木伸彦理事長

会場全体の様子

ディオクノ財務大臣

メダリヤ中央銀行総裁

パスクアル貿易産業大臣

フラスコ観光大臣

登壇者全員の記念撮影

パスクアル貿易産業大臣と佐々木理事長による覚書文書の交換

覚書等署名式の様子

「フィリピン大統領訪日記念経済フォーラム」概要

開催日時 2023年2月10日(金曜)14時30分~17時20分
主催・共催 フィリピン貿易産業省、日比経済委員会、日本アセアンセンター、フィリピン協会、駐日フィリピン共和国大使館、フィリピン中央銀行、フィリピン財務省、日本貿易振興機構(ジェトロ)
後援 経済産業省、日本商工会議所
協賛 大和証券グループ本社、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、野村ホールディングス、三井住友フィナンシャルグループ
次第
  1. 開会の辞
    フィリピン共和国 駐日フィリピン共和国大使
    ATTY. ミレーン ガルシア・アルバノ 氏
  2. 歓迎の辞
    • 経済産業省
      大臣 西村 康稔 氏
    • 日本貿易振興機構(ジェトロ)
      理事長 佐々木 伸彦 氏
    • 日比経済委員会(JPECC)
      代表世話人 朝田 照男 氏
    • 日本アセアンセンター
      事務総長 平林 国彦 氏
    • フィリピン協会
      理事長 桂 誠 氏
  3. (講演1)
    「マルコス大統領のもとでのフィリピンの経済動向と展望」
    フィリピン共和国 財務大臣
    ベンジャミン E. ディオクノ 氏
  4. (パネルディスカッション1)
    「フィリピンの経済動向と展望」
    • フィリピン共和国 財務大臣
      ベンジャミン E. ディオクノ 氏
    • フィリピン共和国 中央銀行総裁
      フェリペ M. メダリヤ 氏
    • フィリピン共和国 予算管理大臣
      アミーナ F. バンガンダーマン 氏
    • フィリピン共和国 国家経済開発長官
      アルセニオ M. バリサカン 氏
    • フィリピン共和国 エネルギー省 次官
      フェリックス ウィリアム B. フェンテベラ
    • 野村アジア チーフエコノミスト
      エウベン・パラクエレス 氏
    (モデレーター)予算管理省 次官
    マリー V. サルセド 氏
  5. (基調講演2)
    「フィリピンのインフラストラクチャーと産業動向」
    フィリピン共和国 貿易産業大臣
    アルフレド E. パスクアル 氏
  6. (パネルディスカッション2)
    「フィリピンのインフラストラクチャーと産業動向」
    • フィリピン共和国 貿易産業大臣
      アルフレド E. パスクアル 氏
    • フィリピン共和国 公共事業道路大臣
      マヌエル M. ボノアン 氏
    • フィリピン共和国 観光大臣
      クリスティーナ G. フラスコ 氏
    • フィリピン共和国 運輸大臣 ハイメ J. バウティスタ 氏
    (モデレーター)フィリピン中央銀行 局長
    アントニオ ジョセリート G. ランビノ 氏
  7. 基調講演
    フィリピン共和国大統領
    フェルディナンド R. マルコス JR. 閣下