中国・越境EC市場に挑戦する日本企業向けの新たなパッケージ型支援スキームを提供― 越境EC「天猫国際(Tmall Global)直営店」で、中国向け販売支援

2023年06月14日

ジェトロは6月15日、世界最大の電子商取引(以下、EC)市場である中国市場に越境ECを通じて挑戦する日本企業に向けた新たなパッケージ型支援スキームとして、中国・アリババグループの日本法人Tmallジャパン株式会社と共同で、越境ECプラットフォーム「天猫国際(Tmall Global)」(以下、天猫国際(*1))において、越境EC販売に挑戦する日本企業の募集を開始し、日本商品(*2)の販売とプロモーションの機会を提供します。

本事業の参加者は、天猫国際内で圧倒的な知名度と集客力を誇る天猫国際の直営店(*3)に出品し、販売することが出来ます。
また、参加企業ごとにプロモーションをサポートします。天猫国際内外でのオンライン広告の運用、SNSを活用したプロモーション、現地の主要イベントに合わせたキャンペーンを組み合わせながら、認知向上を図るとともに、商品ページへの誘客を行い販売の拡大を目指します。
これらを通じて得られたデータについて、売上状況やプロモーション効果の有無を可視化して把握でき、ブランド戦略や販売戦略に活かすことも可能です。

なお、商品掲載や広告運用などに関するプロモーションは、専門のサービスプロバイダーが参加企業に代わって請け負います。販売も、委託先の天猫国際直営店が行いますので、中国を含む海外市場に初めて挑戦する企業や、これまでECや越境ECに取り組んだことのない中小企業も含め、事業参加者にかかる負担を抑えた参加しやすい設計となっています。 多くの企業の参加をお待ちしています。

本事業は、6月15日より参加企業の募集を開始します。詳細は、以下「中国におけるEC販売プロジェクト」ページをご確認ください。(申し込み締め切り:7月28日)

中国・越境EC 『天猫国際(Tmall Global)直営店』出品販売支援

*1天猫国際は中国最大の越境ECプラットフォーム。同国の越境ECプラットフォームにおける天猫国際のシェアは39.6%(2022年度第3四半期、Analysis易観による)で中国最大。
*2日本商品とは、「対象品目のうち、1.日本で製造された日本企業の商品、および日本企業もしくは在外日系企業により商品の規格が決定された上、当該商品規格を満たしていることが保証されている、一部の海外製造商品、ならびに、2.日本で商標を取得している商品」を指します。
*3天猫国際が自ら運営する天猫国際直営店(中国語:「天猫国際進口超市直営」)。フォロワー数は、天猫国際の中にある店舗の中でも最大の5,000万人超を誇る。

1.本事業の特徴

(1)天猫国際直営店で販売と認知向上に向けたプロモーションを同時に出来ます

天猫国際に出店する店舗の中でも圧倒的な知名度と集客力を有する天猫国際自らが運営する直営店で販売出来ます。
天猫国際において、自社で独立した旗艦店を設けるには出店条件やコストの面で中小企業にはハードルが高く、また、商社や貿易会社を経由し天猫国際直営店や第三者の旗艦店に出品する従来のスキームでは、調達側の意向によって出品が叶わないケースや、特定の商品を出品出来たとしても、他の商品も含めたブランド全体の認知向上には繋がりにくいといった課題もありました。
本事業では、ジェトロとTmallジャパン株式会社との共同プロジェクトにより、天猫国際直営店による委託販売のスキームを活用しつつ、参加企業の希望に基づいて出品出来るスキーム(*1)を新たに用意しました。また、本事業では、個々の商品だけでなくブランド単位での露出にも注力します。中国での認知度が高くないブランドや商品であっても、認知度向上に向けたプロモーションの機会が提供されます。

(2)ページ作成、広告運用等のプロモーションを専門のサービスプロバイダーが請け負います

専門のサービスプロバイダーが、参加企業に代わって、各社の商品ページ作成や広告運用を行います。天猫国際内で使用出来る30万円(税込)相当の広告クレジットを各社用に付与し、販売開始後の90日間で集中的に商品特性に適した広告運用(リスティング広告やバナー広告、レコメンド広告、アフェリエイト広告等)を行うことで、初期のタイミングで各社の商品及びブランドをプロモーションし、その後の販売拡大に繋げます(広告クレジットは90日間で使い切ります)。

(3)イベント行事に絡めた特別キャンペーンを実施します

中国で毎年11月に行われるECセールの一大イベント(「天猫ダブルイレブンショッピングフェスティバル(通称:独身の日セール)」)など、現地での主要イベントのスケジュールに合わせて、特別キャンペーンを実施します。
具体的には、天猫国際内で特集ページを開設し、ライブコマースやバナー掲載等を行うほか、KOL(Key Opinion Leader)やKOC(Key Opinion Consumer)と呼ばれる発信力のある著名人・インフルエンサーの協力のもと、現地SNS上でブランドや商品を宣伝します。このほか、中国国内でジェトロが実施するオフラインイベントとも連携し、商品ページへの誘客を図ります。

(4)売上状況や広告効果が把握できます

SKUごとの売上や広告効果のデータを、実施した広告運用やプロモーションの内容とともに、参加者に定期的にレポートします。中国越境EC市場におけるブランディングやマーケティング情報の収集、EC販売に不可欠な広告運用のノウハウ蓄積にお役立ていただけます。

(5)本事業の終了後(2024年3月末)でも、直営店内で販売が継続できます

天猫国際と日本企業との契約に基づいて、サイト上に出品した時点から1年間は販売し続けることができます。希望する場合はさらに契約延長も可能です。
ただし、事業終了後は、本事業のもとで提供される広告運用やプロモーション、キャンペーンが適用されなくなります。それでも、希望に応じて、アリババグループが提供する広告等のサービスを選択し、規定の単価に基づいて自己負担でご利用いただけます。
ィングやマーケティング情報の収集、EC販売に不可欠な広告運用のノウハウ蓄積にお役立ていただけます。

*1 お申し込み後、ジェトロとTmallジャパンにて参加要件(出品者及び出品物)の確認を行います。要件を満たす企業のみが本スキームのもと出品手続きに進むことが出来ます。

2.事業概要

項目 詳細
事業名 越境EC『天猫国際(Tmall Global)直営店』での出品及び販売、プロモーション支援
展開国 中国
実施期間 (開始時期は企業により異なる)2024年3月29日まで
対象企業 日本企業(個人事業主を除く。天猫国際の規定による。)および在外日系企業(*)
*10%以上日本の資本が入っている在外(中国を除く)企業
対象分野 食品、ハウスクリーニング用品、コスメ用品、ヘルスケア用品、パーソナルケア用品、ベビー・マタニティ、ホーム用品、ペット用品
対象商品
  • 日本で製造された日本企業の商品、および日本企業もしくは在外日系企業により商品の規格が決定された上、当該商品規格を満たしていることが保証されている、一部の海外製造商品
  • 日本で商標を取得している商品
  • 中国越境EC小売輸入商品リスト(通称:ポジティブリスト)に含まれる商品
定員 150社
参加料 中堅・中小企業 100,000円(税込)/社
大企業 300,000円(税込)/社
    参加料には以下のサービスが含まれます。
  • 商品選定・アカウント開設・輸送・サービスプロバイダーの運用などを含めたジェトロ、Tmallジャパン等によるサポート。
  • 各社別の広告クレジット30万円(税込)相当の付与と広告運用(販売開始後90日間限定)。
  • 現地での主要なECイベントに合わせた全カテゴリーにわたる大規模な日本商品特集のキャンペーン、及び分野別・テーマ別のキャンペーンの実施。
参加料に含まれない経費
  • 天猫国際の委託販売に係る手数料(販売、決済、運営管理、保税倉庫の利用料、商品の破損・紛失・返品等に係る費用等)、中国の保税倉庫から消費者への配送費等(天猫国際が定める所定の料率を適用し売上から控除)
  • 中国保税倉庫への輸送に係る経費(各社実費)
※ 詳細は、申し込み後、応募要件を満たすことが確認された企業に対し、商品内容に基づきTmallジャパン株式会社から各社に案内
応募要件
  • 輸出入規制に反した商品ではないこと
  • 天猫国際の規約を遵守し、同意できること
  • 天猫国際直営店に出品するに当たっての必要書類を提出出来るとともに、天猫国際との委託販売契約を締結出来ること
  • メーカー・製造者以外が申し込む場合は、メーカー・製造者から直接仕入れていること、正規ルートでの仕入れを証明できること
  • ジェトロのアンケートに回答・協力いただけること
  • その他、「募集要項」で定める各事項を満たすこと
申し込み締め切り 2023年7月28日(金曜)17時00分

3.取り組みの背景

中国のEC市場は、2023年に3.07兆USドル(約430兆円)(*1)に達する見込みであり、世界のEC市場のおよそ50%を占める巨大市場です。越境ECの市場規模だけでも2023年に2,209億USドル(約31兆円)に上ることが予想され、さらにEC市場および越境EC市場のいずれも引き続き拡大が見込まれていることからも、日本企業にとって有望なEC市場です。 2022年度に実施したジェトロの調査(*2)においても、海外向けのEC販売に関する日本企業の関心が高まっていることが確認され、中国は海外EC販売に取り組んでいる日本企業の販売先国・地域として第1位(有効回答719社中284社(39.6%))、今後のEC販売拡大・新規販売先国・地域先では米国に次ぐ第2位(有効回答1,089社中321社(29.5%))です。同国において圧倒的な市場シェアを誇るのがアリババグループであり、中国越境ECにおいては、天猫国際が市場シェア第1位の39.6%(2022年度第3四半期)(*3)を占めています。中国に向けて、越境EC販売を開始するにあたっては、天猫国際は有望なマーケットプレイスのひとつとなります。

他方、前述のジェトロの同調査結果によれば、日本企業の売上高全体に占める国内外向けECの割合は依然高くなく(※ECを利用したことがあると回答した企業1,053社のうち、売上高に占めるECの割合0~10%が全体の74.7%)、EC販売額に占める海外向け割合も1%未満が最多(68.1%)と、企業の関心の高さに比して、越境ECの取組や効果が十分に得られていないことも明らかとなりました。

本事業は、こうした背景も踏まえつつ、ジェトロの第六期中期計画(2023年度~2026年度)に基づいて、デジタルを活用した海外ビジネスに取り組む事業者の裾野拡大、及び越境 EC サイトをはじめとするBtoCの流通チャネルを通じた活動の強化と販路拡大といった政策課題への対応として実施するものです。
加えて、昨年10月に閣議決定された経済対策「新規輸出1万者支援プログラム」に基づき、現在経済産業省、中小企業庁、ジェトロ及び中小機構が一体となり、全国の商工会・商工会議所等と協力しながら、新たに輸出に挑戦する事業者の支援等を実施しているところ、本事業を、当該プログラムの一環にも位置付け実施いたします。

*1 出所:令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書(経済産業省)。円貨は、2023年6月9日のTTSレート1USD=140.15円に基づいて算出。
*2 出所:2022年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査(2023年2月)(ジェトロ)
*3 出所:Analysis易観

ジェトロECビジネス課(担当:鈴木、中村、大野)
Tel:03-3582-5227
E-mail:DNE-project5@jetro.go.jp