ジェトロ 2023年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査 ―海外事業の拡大意欲、上向く。対中国は様子見姿勢へ―

2024年02月14日

本調査について

  • ジェトロは2023年11月中旬~12月中旬、海外ビジネスに関心の高い日本企業(本社)9,384社を対象に、オンライン・郵送形式によるアンケートを実施。3,196社より有効回答を得ました(有効回答率34.1%)。
  • 中東やウクライナにおける紛争、円安と物価高、高まる分断リスクなど、国際ビジネスをめぐる環境は厳しさを増しています。困難な状況下で、日本企業の海外ビジネス戦略はどのように変化しているのか。調査結果に基づく最新動向を紹介します。

調査結果のポイント

1. 輸出や投資の拡大意欲に回復の兆し
企業が今後3年で最も重視する輸出先は、米国が首位。中国を初めて上回る。台湾やインドを選ぶ企業の割合も大幅に増加。ターゲット市場の分散、多角化を図る動きが背景に。
海外拠点の事業拡大意欲は前年から上向く。今後の事業拡大先では、前年に続き米国が首位。大企業では、インドが首位となった。
中国で既存ビジネスの拡充や新規ビジネスを検討する企業は、全体の3分の1で過去最低に。一方、中国進出企業や対中輸出を行う企業では、半数以上が既存ビジネスの拡充を見込む。
2. コスト対応、需要の変化、地政学リスクがサプライチェーン再編を加速
2023年以降、約7割の企業が、販売・調達・生産戦略において何らかの見直しを実施。
コスト増を理由に調達先の分散が進展。今後注力・注目する海外調達先は「中国」との回答が最多。
円安の進行は43%の企業にマイナスの影響。17%にプラスの影響。望ましい為替レートは120~124円との回答が最多。長期化する円安へ徐々に対応が進む。
3. DXを筆頭に、ビジネス変革が進む
DXに取り組む企業は2年連続拡大。現場の作業効率化やデータ活用による市場開拓を狙う。
人権尊重の取り組みは大企業が牽引。半面、中小企業の取り組みは進まず。
脱炭素化への取り組みは前年から進展見られず。大企業では、脱炭素化に取り組む企業が8割近くに達するも、中小企業では同4割を下回る。

ジェトロ調査部(担当:伊藤、森)
Tel:03-3582-5177