フィリピンの課題解決に日本の経験を ‐クラウドGISで行政サービスを効率化‐

2019年02月14日

フィリピンの行政機関が抱える課題を、日本のシステムで解決しようと取り組む企業がある。「クラウドGIS(地理情報システム)」と呼ばれるもので、地図にさまざまな情報を関連付けてクラウド上で管理・提供するサービスだ。フィリピンの農業省においては本省と出先機関、生産者の間で、また、地方自治体でも各部署間で、散在するデータを一括管理して共有することで、それぞれ行政サービスの効率化や徴税強化につなげようとするこの試み。日本の経験は現地のニーズに応えることができるのか。企業の挑戦を取材した。

(10分46秒)

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テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。 薄い青を基調としたコンピューターグラフィックスの背景画。 世界地図から飛び出した、中が空洞になった地球儀が、回転しながら拡大表示される。 さらに世界のさまざまな都市の画像が周囲を取り巻きタイトルが現れる。 「世界は今ジェトログローバルアイ」

映像説明: スタジオ。 地球儀と都市の画像をバックに、女性キャスターが入ってくる。 ラウンドネックの白いブラウスと、白いリボンをサイドにあしらったベージュのスカート。

テロップ: 宮瀬 茉祐子(みやせ まゆこ)

宮瀬キャスター: 世界は今、ジェトログローバルアイ。 フィリピンの政府や自治体に日本企業(にほんきぎょう)が新しいサービスを売り込もうとしています。 それは、地図上(ちずじょう)にさまざまな情報を紐づけて、クラウド上(くらうどじょう)で一括管理するというものです。 このサービスで、現地のどのような課題を解決しようというのでしょうか。 導入に向けた取り組みを取材しました。

テロップ: フィリピンの課題解決に日本の経験を ‐クラウドGIS(ジー アイ エス)で行政サービスを効率化‐

映像説明: ビルと街路樹が立ち並ぶ広い通り。多くの車が行き交うロータリーに、ブロンズ色(いろ)の記念碑が高くそびえ立っている。画面右上の四角い枠のなかにフィリピンの地図のイラストが表示される。北部の大きな島がルソン島。マニラはその中西部に位置し、イラストの中で赤い星印で示されている。 バッグを肩から掛け、黒縁眼鏡をかけた男性が道を歩いてくる。ブルーのワイシャツの袖がたくし上げられている。 黒縁眼鏡をかけた男性が道端に駐車している車の横を通り過ぎていく。 室内。ベージュ色(いろ)の壁の前でインタビューに答える黒縁眼鏡をかけた男性。

ナレーション: フィリピンの首都、マニラ。そこに、ある思いを胸にやってきた、一人の日本人がいた。

黒縁眼鏡をかけた男性: (この国に)クラウドGIS(ジー アイ エス)サービスを導入しまして、全庁あるいは、あの、えー、国全体のですね、 出先機関でデータがシェアできるような形に、えー、もっていきたいというふうに考えております。

映像説明: ベージュ色(いろ)の壁の前で黒縁眼鏡をかけた男性の話が続く。

テロップ: インフォマティクス 営業部 松丸 伸太郎 リーダー

ナレーション そう語るのは、日本のソフトウェア企業、インフォマティクスの、松丸さんだ。

映像説明: 薄暗い室内。数人が机に向かっている。その前で、松丸リーダーが演台(えんだい)に立ち、プロジェクターを使いながら説明をしている。スクリーンには、「Overseas Case 2016‐2017」というタイトルの英語のスライドが映し出され、会議室で集まる様子や地図などの写真が映っている。 手振りを交えながら、松丸リーダーが笑顔で会場の人たちに話をする。

テロップ: 「日ASEAN((にち あせあん)新産業創出実証事業」を活用

テロップ: クラウドGIS(ジー アイ エス)

ナレーション: ジェトロの事業を活用して、フィリピンの政府機関に、「クラウドGIS(ジー アイ エス)」というシステムを売り込みにやってきた。

映像説明: CGの地図の上に、それぞれの場所を写した小さな写真が無数に並んでいる。地図をズームすると、小さな写真も拡大表示される。地図の左上に「IMPORT EXIF(えぐじふ) Files」という文字が浮かぶ。(映像提供 インフォマティクス) コンピューターの画面の映像。「3D Chart(スリーディーチャート)」という文字が右上に浮かぶ。画面の中央には3D(スリーディー)の CGの地図。さまざまな地点から、長さと色の濃さが異なる立体的な赤い棒グラフが伸びている。マウスの動きに連動して地図も動き、あらゆる方向からデータを確認できる。CGの地図の横には、右肩下がりの折れ線グラフと、色分けされた円グラフが並んでいる。

テロップ: クラウドGIS(ジー アイ エス)(Cloud Geographic Information System) 地図上(ちずじょう)に文字や写真などのデータをひも付けて(ひもづけて) クラウド上(くらうどじょう)で一括管理するシステム

ナレーション: 「クラウドGIS(ジー アイ エス)」とは、地図上(ちずじょう)に、文字や写真など、さまざまなデータを紐づけて、クラウド上(くらうどじょう)で一括管理するシステム。

映像説明: コンピューターの画面の映像。「ガイドマップかわさき」のウェブサイトが映し出されている。画面に地図の一部を切り取った四角い枠が、横一列に並ぶ。教育、都市計画情報、認定路線図、多摩区安全・安心防災マップ、下水道と表示された枠が中央で次々と大きく表示される。 画面が利用規約に切り替わり、次に「下水道 公共下水道台帳用」と書かれた平面図に変わる。ズームすると、赤い線で記された下水の位置や水道管の詳細が表示される。 画面がウェブサイトのトップページに切り替わる。下にスクロールすると、健康・医療、防災、環境、商業(しょうぎょう)・観光・くらし、保育園などの地図情報のタブが並んでいる。 画面に4つのCGの地図。「Theme with Symbols and Attribute Values(テーマ ウィズ シンボルズ アンド アトリビュート バリューズ)」と書かれた表示が、地図が変わると「Linked with Attributes and File Based Information(Photo)(リンクド ウィズ アトリビュート アンド ファイル ベースド インフォメーション (フォト)」という表示になる。 左上の地図は、オレンジと青と赤の丸い印が数多く表示された分布図。左下の地図は、地形の起伏を示した3D(スリーディー)マップ。左側に「Panning on 3D Map (パンニング オン スリーディー マップ)」と表示され、「Bird View of The Artificial Structures(バード ビュー オブ ジ アーティフィシャル ストラクチャーズ)」、「Drape Texture on 3D surface(ドレープ テクスチャー オン スリーディー サーフェス)」のモードに切り替わる。 右上の地図は、川や道路を色分けした3D(スリーディー)マップ。右下の地図は、地域を色分けした平面図。左側に「GeoCloud」の文字。3D(スリーディー)マップに変わり、左側に「GeoCloud + 3D Model(ジオクラウド プラス スリーディー モデル)」と表示される。

テロップ: 川崎市の情報案内地図サイト 「ガイドマップかわさき」

ナレーション: 例えば、このシステムを導入した神奈川県川崎市では、道路や下水道、市の無料Wi‐Fi(ワイファイ)のアクセスポイントといったインフラ情報や洪水ハザードマップ、災害時の避難場所といった防災情報など、さまざまなデータをインターネットで見ることができる。 地図にひもづけるデータ次第で、その用途は無限に広がる…。 このシステムには、どのような利点があるのだろうか。

映像説明: 室内でインタビューに答える松丸リーダー。

松丸リーダー: まあ、いろんなその地図データ、あるいはその付帯する、えー、情報ですね、調査票ですとかあるいは、えー、現場で撮った写真ですとかレポートなんかっていうのが、 かなりいろいろな部署さんに散在していて。 そこのデータまでアクセスするのに非常に時間がかかったりですとか、まあ、面倒くさかったりっていうようなことがあって。 まあ、(クラウド)GIS(ジー アイ エス)を導入することによってそれが一括で管理されて、でー、認証されたユーザーさんであれば誰でもそれに(簡単に)アクセスできるっていうところが、まあメリットなんですけれども。

映像説明: 向かい合わせに長いデスクと椅子が並ぶ会議室。白とオレンジ色(いろ)のチェック柄のシャツを着た現地の男性がノートパソコンを広げ、松丸リーダーに話しかけている。 パソコンを手で指し示す松丸リーダー。白とオレンジ色(いろ)のチェック柄のシャツを着た男性がその方向をじっと見つめる。 黄色いブラウスに黒のジャケットを羽織った現地の女性が2人に加わり、同じ方向に目を向けて話し合っている。 黒のジャケットを羽織った女性の言葉に、松丸リーダーが小さくうなずく。

テロップ: 外国政府への営業を円滑に行うため 現地企業とパートナーを組んで活動

映像説明: 薄雲が広がる空にはためくフィリピン国旗。上は青、下は赤で、左側には白の三角形。三角形の中央に太陽と、それぞれの角(かど)に星が1つずつ黄色(きいろ)で描かれている。 旗の映像を背景に2つの丸いマークが表示される。 左のマークの中央には束ねた稲穂。その周りを「Department of agriculture(デパートメント オブ アグリカルチャー) 1898」の文字が囲んでいる。マークの下に「農業省」の文字が浮かぶ。 右のマークの中央には4分割された盾。左上から時計回りに、水色の葉、青い鳥、黄色の背景に「A A 1786」の文字、そして赤地に太陽のような印が描かれている。盾を囲むように上の方に「LUNGSOD NG ANGELES(ルンソッド アンヘレス)」、下の方に「1964」の文字。マークの下に「アンヘレス市」の文字が浮かぶ。

テロップ: クラウドGIS(ジー アイ エス)を試験導入

ナレーション: 日本では、多くの採用実績があるものの、外国政府相手の営業活動を、日本企業(にほんきぎょう)だけで行うというのは難しい。 そこで、今回のプロジェクトには、現地のパートナー企業と二人三脚で取り組んでいる。 パートナー企業と相談を重ねて、今回の売り込み先に選んだのは、農業省と地方自治体のアンへレス市。 まずは試験導入からのスタートだ。

映像説明: オフィスで、黄色いブラウス姿の女性が手振りを交えつつ、インタビューに答える。

テロップ: フィルニッツ マリア・アコール 代表

ナレーション: パートナー企業、フィルニッツのアコールさんは、試験導入の意気込みをこう語る。

アコール代表・英語: 2つの機関への(試験)導入を通じて、 クラウドGIS(ジー アイ エス)を政府機関が、どのように活用できるかを示したい。

映像説明: 室内を撮った写真。デスクに並ぶ何台ものパソコンと、壁に設置された数台の大型ディスプレーが写っている。1人の男性がディスプレーに映し出されている地図を指さし、2人の男性とともに地図を見つめている。(写真提供 パンガシナン州) コンピューターの画面。「GeoCloud Maps」と題された地図が映し出される。沿岸の地域が黄色(きいろ)、赤、うすい黄緑などで色分けされている。

テロップ: これまでにも二人で協力して 他(ほか)の自治体に試験導入している

ナレーション: アコールさんは、これまでにも松丸さんと組んで、ほかの自治体へクラウドGIS(ジー アイ エス)を試験導入したことがある。 松丸さんにとって、心強いパートナーだ。

映像説明: ブルーのシャツの袖をたくし上げている松丸リーダー。ジャケットを片手に、鉢植えが並ぶ道を歩く。

ナレーション: 今回、試験導入を受け入れた二つの機関は、クラウドGIS(ジー アイ エス)にどのような期待を寄せているのだろうか…。

映像説明: コンクリート造りのどっしりとしたビル。外壁にタガログ語で「KAGAWARAN NG PAGSASAKA(農業省」」と書かれている。画面左下、四角い枠内にルソン島の地図のイラストが表示される。中西部に「マニラ首都圏」と書かれた地域があり、ケソン市はその中の北部に位置する都市で、地図のイラストの中で赤い星印で示されている。 屋内。白い壁に束ねた稲穂をあしらった農業省のマーク。その両脇には、2本の旗が立てられている。

テロップ: 農業省

ナレーション: こちらは、マニラ首都圏、ケソン市に本部を構える農業省。

映像説明: 窓に黒いブラインドが下ろされた一室に、7人の男女が集まっている。デスクの上には大きさや形の異なる数台のドローン。青いシャツを着た外国人男性が、手で机の上にあるドローンの方を刺し示しながら、ネクタイを締め、眼鏡をかけた日本人男性に向かって話をしている。(取材協力 iZMA(いずま)) 体育館の中。緑色のネットの後ろに3人の男性とアコール代表が立ち、前を見つめている。青いシャツの男性が、白いコントローラーを操作している。 4つのプロペラを回して飛ぶ、白い小型のドローン。赤いコーンの上を、高さを変えず左右に移動する。

ナレーション: 現在、農業(のうぎょう)に情報通信技術を取り入れることに力を入れている。しかし、担当者は、現状のままでは、情報の共有に課題があると話す。

映像説明: 大小のディスプレイが2台並ぶ部屋。眼鏡をかけ、青紫色のシャツを着た外国人男性がソファーに座り、インタビューに答える。

テロップ: 農業省 情報通信技術企画・基準部 ゼルシーズ・レモロト 部長

レモロト部長・英語: データ、特に地理情報について、 農業(のうぎょう)・漁業従事者や政策担当者の間で 共有する手段が限られている。

映像説明: データベースの管理を説明するCG。 画面の上半分には、左から本省の建物、スーツ姿の男性、パソコン、「データベース」と書かれた赤い本のイメージイラスト。パソコンと赤の点線で「データベース」と書かれた赤い本のイメージイラストがつながっている。 下半分には、左から出先機関の建物、作業服姿の男性、パソコン、「データベース」と書かれた青い本のイメージイラスト。パソコンと青の点線で「データベース」と書かれた青い本のイメージイラストがつながっている。 本省と出先機関の建物のあいだには、農業省のマークが表示されている。 画面中央に「それぞれ独自のデータベース」という文字が現れる。それが消えると、本省のパソコンから赤い点線の矢印が出先機関の青いデータベースに伸びて、画面の下に「他(ほか)のデータベース検索に時間がかかる」と表示される。 次に、出先機関のパソコンから青い点線の矢印が本省の赤いデータベースに伸びると、本省と出先機関の男性のイラストから、もやもやとしたマークが浮かび上がる。 会議用テーブルの周りに黒い椅子が並ぶ室内。ピンクのフリル付きブラウスを着た現地の女性が、地図を表示したノートパソコンの画面を指さしながら話している。

ナレーション: 農業省では、マニラの本省と地方にある出先機関が、それぞれ独自にデータを管理している。 そのため、自分の所で管理していないデータを探すのに時間がかかるといった問題があるが、クラウドGIS(ジー アイ エス)でデータが共有できれば、解決につながる。

映像説明: 「NOW LOADING」と表示されている、読み込み中のパソコンの画面。青い9つの正方形が回転しながら大きくなっていく。1つの正方形になるとフェードアウトして、色分けされた地図が表示される。オレンジや緑の丸印、水色や黒の矢印が数多く現れ、地図の一部が緑色(みどりいろ)の長方形で覆われている。 拡大表示された地図。ダイアログボックスに緑の丸印の説明が表示されている。

テロップ: 将来的には政府機関と生産者など より広範囲での情報共有を目指す

ナレーション: さらに、システムの導入によって、政府機関と生産者といった、より広い範囲での情報共有を目指すという。

映像説明: ソファーに座って話を続けるレモロト部長。

レモロト部長・英語: システム導入には、いくつかの目的がある。 (農地への)投資、実行計画の策定、 災害対策などだ。

映像説明: 「クラウドGIS(ジー アイ エス)活用イメージ」と題されたCG。 左には赤い耕運機を操縦する麦わら帽子をかぶった生産者。右には農業省のマークの下に作業服を着た男性とスーツを着た男性のイラスト。2人の横にはそれぞれ建物が描かれ、「政府」と書かれている。 生産者と2人の男性のあいだに「クラウドGIS(ジー アイ エス)」と書かれた雲のような枠が現れる。その雲のような枠から、生産者と2人の男性それぞれに線が伸びる。 クラウドGIS(ジー アイ エス)の雲の枠の中に「洪水ハザードマップ」の文字が現れると、生産者の上に「所有する農地の水害リスク認識」と書かれた吹き出しが浮かび上がる。続けて生産者の下に「自主的な水害対策 関係機関への相談」、2人の男性の下に「水害対策のアドバイス 補助金などの支援」と表示される。

ナレーション: 政府機関と生産者が情報を共有できると、どのようなメリットがあるのだろうか? 例えば、政府が持っている「洪水などの影響を受けやすい場所」の情報を、クラウドGIS(ジー アイ エ ス)で生産者と共有することができれば、地域の生産者に向けた水害のリスクを周知することができ、 事前に対策協議などを行うことが可能となるのだ。

映像説明: 白いデスクが置かれた部屋。デスクの上のノートパソコンをはさんで、松丸リーダーと白いシャツを着た外国人男性が座っている。 壁際のデスクで、黒い服を着て、眼鏡をかけた男性がノートパソコンを見つめている。松丸リーダーが、横から画面の地図を指さす。

ナレーション: 農業省へのシステム導入の先に、松丸さんは、更なる可能性も見据えていた。

映像説明: 室内。白い壁の前に立ち、白いワイシャツを着た松丸リーダーがインタビューに答える。 窓に黒のブラインドが下ろされた一室。白い半そでシャツを着た外国人男性がモニター付きのコントローラーを持ち、黒いポロシャツを着た男性が膝をつき、白い小型のドローンの脚を握って、頭上に掲げている。後ろからその様子をハンディーカメラで撮影する青いポロシャツを着た男性。 プロジェクタースクリーンには、「ドローンの仕組み」と書かれた日本語のスライドが映し出されている。 スクリーンに映し出されたパソコン画面。Windows Media Playerでの再生されている映像。稲刈りの終わった田んぼの上空を、6本のアームの付いた黒のドローンが飛んでいる。白いバンの横で、アームの上のプロペラの回転を落としながら、ゆっくりと降りてくる。

テロップ: インフォマティクス 営業部 松丸 伸太郎 リーダー

松丸リーダー: フィリピン農業省さんの方から、えーまあ、聞いている課題としまして、若手の(農業(のうぎょう))就業者が、えー、非常に少なくなっているという…。 IT(アイティー)の技術を活用することによりまして、そういった若い方々が、まあ、農業(のうぎょう)に目を向けていただいて、 でー、将来的にはですね、そういった、えー、(IT(アイティー)やGIS(ジー アイ エス)の)技術を利用して、就業率を上げるっていうことを、われわれの技術を、えー、活用していきたいと思っております。

映像説明: 低層の建物が並び、ヤシの木の生える街並み。画面左下、四角い枠内にルソン島の地図のイラストが表示される。アンヘレス市は、マニラ首都圏の北西に位置し、地図のイラストの中で赤い星印で示されている。

ナレーション: 一方、こちらは、もうひとつの試験導入先であるアンヘレス市。

映像説明: 曇り空の下に伸びるまっすぐな道。道の上には多くの電線がある。道路沿いに商店の看板が並び、自動車やサイドカーの付いた三輪バイクなどが走っている。

ナレーション: マニラ中心部から、車で3時間ほどの地方都市だ。

映像説明: 箱型の大きな建物。入り口の上には「Angeles City Hall(アンヘレス シティー ホール)の文字と、盾が描かれたアンヘレス市のマークが掲げられている。

テロップ: アンヘレス市役所

ナレーション: やってきたのは、アンヘレスの市役所。

映像説明: 建物の中。白とオレンジ色(いろ)のチェック柄のシャツを着た男性が、隣にいる白いシャツを着て、眼鏡をかけた男性と談笑している。

テロップ: アンヘレス市 情報通信技術部 地理情報コーディネーター ケネス・パガリガン さん

ナレーション: この市では、クラウドGIS(ジー アイ エス)を税金の徴収に活用したいという。

映像説明: テーブルの上に赤いノートパソコンを開き、その前に座る、白とオレンジ色(いろ)のチェック柄のシャツを着た男性。大きな手振りを交えながらで話をしている。

ナレーション: しかし、現状、複数の異なるシステムで管理している情報には、喰い違いがあるというのだ。

映像説明: 椅子に座り、インタビューに答えるパガリガンさん。

パガリガンさん・英語: 営業許可用、税務用、都市計画用の3つの異なるシステムがある。 これらの情報は、しばしば一致しない。 GIS(ジー アイ エス)システムを導入して、(関係部署が)協力することで、 より多くの税収を得られるようになる。

映像説明: 壁一面の大きさがあるスクリーンが設置された部屋。分割された画面に道路の様子が映っている。 デスクに向かう7人の男女の前には、それぞれ数台の大きなモニターが置かれ、9分割された画面に道路が映し出されている。 大型スクリーンの近くのデスク。モニターに囲まれた男性がマウスを操作して、9分割の画面から1つを選び、モニター全体に拡大表示させ、映像を確認している。

ナレーション: また、省庁や自治体など、特定の組織内部でしか利用できないシステムではなく、インターネットで、誰もがアクセスできるクラウドGIS(ジー アイ エス)が普及することによって、犯罪防止にもつながる…。

映像説明: レストランの店内。松丸リーダーと白いシャツを着て、眼鏡をかけた男性が向かい合って座っている。松丸リーダーが左手に持ったスマートフォンを見ながら、ノートに何か書きこんでいる。 白いシャツを着て、眼鏡をかけた男性が松丸リーダーに話しかけている。

テロップ: フィルニッツ メルビン・マトゥラック 部長

ナレーション: そう話すのは、現地でインフォマティクスの技術的なサポートを行っているマトゥラックさんだ。

映像説明: 白いデスクが置かれた室内。ノートパソコンを前に座る、白いシャツを着て、眼鏡をかけたマトゥラック部長がインタビューに答える。

マトゥラック部長・英語: フィリピンでは、今も(納税時の)汚職がみられる。 納税者は限られた情報しか持っておらず、(役所の)担当者が唯一の情報源だからだ。

映像説明: スクリーンに映し出されたパソコンの画面。地図の上にオレンジや緑、青や黒の丸印が無数に付いている。画面上にマウスカーソルを合わせると「Point」の文字と白い丸印が表示される。 地図をズームすると、通りの名前まで表示される。縮尺を下げると、川や幹線道路の情報が色つきで表示される。

テロップ: 将来的にはクラウドGIS(ジー アイ エス)を 汚職の防止にも活用

ナレーション: 情報へのアクセスが限られていることを逆手に取ったこうした汚職にも、クラウドGIS(ジー アイ エス)が、一石を投じることができるという。

映像説明: 白いデスクが置かれた室内で、マトゥラック部長が話を続ける。

マトゥラック部長・英語: 必要な情報がシステム上(しすてむじょう)で公開されることで、 (汚職リスクがある)第三者を介さずに、直接納税の手続きができるようになる。

映像説明: 長いデスクと椅子が並ぶ会議室。白とオレンジ色(いろ)のチェック柄のシャツを着たパガリガンさんと松丸リーダー、黄色いブラウスに黒のジャケットを羽織ったアコール代表が、同じ方向へ目を向けながら話し合っている。パガリガンさんが説明すると、松丸リーダーとアコール代表がうなずく。 スクリーンに映し出されたパソコンの画面。アンヘレス市の通りの地図が映し出されている。拡大して1つの通りにカーソルを合わせると、「Line」、「Item(あいてむ) 3980」の文字が表れる。

ナレーション: 公正な税務の徹底に向けて、クラウドGIS(ジー アイ エス)に高い期待が寄せられていた。

映像説明: グレーのシャツを着た男性と、髪を後ろでまとめ、白いニットの上に黒のジャケットを着て、眼鏡をかけた女性に、ジェスチャーを交えて話している松丸リーダー。 同じ方向を見つめるパガリガンさんと松丸リーダー、アコール代表。奥にはグレーのシャツを着た男性。松丸リーダーたちが見つめる方向を指して、別の男性と話をしている。

ナレーション: 今回の試験導入で、松丸さんは、どのような手ごたえを感じたのだろうか。

映像説明: ベージュ色(いろ)の壁の前に立ち、インタビューに答える松丸リーダー。

テロップ: インフォマティクス 営業部 松丸 伸太郎 リーダー

松丸リーダー: えー、(今回の)実証(試験導入)を通じまして、 ある程度、えー、パブリックのクラウドでも、えー、使えるということが分かってまいりました。

映像説明: すりガラスで仕切られた一室。小さな鉢植えの置かれた茶色いテーブルを、画面左から時計回りに、松丸リーダー、マトゥラック部長、花柄のブラウスを着た女性、パガリガンさん、アコール代表が囲む。パガリガンさんがノートパソコンを指しながら笑顔で話している。 真剣な面持ちで話に聞き入る松丸リーダー。

ナレーション: 今後は、農業省とアンヘレス市への正式導入に向け、準備を進めるほか、新たな展開も計画しているという。

映像説明: 室内で白い壁を背にインタビューに答える松丸リーダー。 スクリーンに映し出されたパソコンの画面。映し出された地図の上に、青い丸印が数多く付けられている。縮尺を小さくすると、より広範囲の地図になり、緑(みどり)やオレンジ、黒の丸印も表れる。 向かい合わせに長いデスクと椅子が並ぶ会議室。デスクの上にノートパソコンを広げたパガリガンさんと松丸リーダーが同じ方向を見つめている。ドアの近くでは、グレーのシャツを着た男性と、髪を後ろでまとめ、白いニットの上に黒いジャケットを着て、眼鏡をかけた女性が話し合っている。 ノートパソコンに映し出された「Geo Cloud Maps」の画面。都市や島の地図データが並んでいる。 松丸リーダーのインタビューが続く。

松丸リーダー: えー、まあ、それ以外の、えー、官公庁さんですね、 そちらの方にも、入札みたいなかたちで、案件を、こう、フォーミング(働きかけ)しているところもございますし、 すでに使われている自治体さんなんかでも、えー、さらに、こう、ロット数を増やしたりですとか、使用範囲を広げたりですとか。 そういった、まあ、ご要望も出てきておりますので、あのー、そうした展開を、今後、考えていきたいと思ってます。 えー、フィリピンを越えて、まあ、ASEANの各国さんですね、そういった所にも、もちろん、えー、まあ、広げていきたいなというように考えております。

スタジオの宮瀬キャスター: 直面している課題は異なるものの、いずれの組織も、クラウドGIS(ジー アイ エス)に期待しているのが印象的でした。 日本で培った技術や経験を、現地の課題解決に役立ててもらう。 こうしたアプローチは、有効な進出戦略として、ほかの分野にも応用できそうですね。

映像説明: 宮瀬キャスターがお辞儀をする。

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