知的財産ニュース 特許庁、2019年上半期特許技術賞授賞式開催

2019年6月26日
出所: 韓国特許庁

株式会社C&C新薬研究所、「アトピー性皮膚炎治療剤関連発明」で特許技術賞世宗大王賞受賞

特許庁は、6月26日(水曜)午前10時、ソウルSAMJUNGホテルで開催された2019年上半期特許技術賞(※)の授賞式で、(株)C&C新薬研究所の「NOVEL HETEROCYCLE誘導体およびその用途」(代理人、特許法人HANSUNG)を発明したホ・ピルス代表取締役などに栄誉の世宗大王賞の授賞を行った。

※特許技術賞は、世宗大王賞、忠武公賞、池錫永賞(2点)、洪大容賞(2点)、丁若鏞賞(デザイン)で構成される。

本発明は、アトピー性皮膚炎、かゆい症状、広範囲における炎症性疾患などの治療に有用な化合物に関するもので、動物を対象にした実験において、かゆい症状を抑え炎症を緩和する優秀な効果があった。  

この発明により、(株)C&C新薬研究所の親会社のJW中外製薬は、Leopharma社と2018年8月に約4,700億ウォン規模の技術移転契約を締結しており、現在、第1相臨床試験を行っており、2019年内に完了する予定である。アトピー性皮膚炎治療剤の市場規模は、拡大すると予想され、臨床試験が順調に行われれば、市場に大きく寄与するものと期待される。

忠武公賞には、韓国生産技術研究院の「イオン性液体を利用した有機素材の精製方法および精製装置」(代理人、特許法人SEAH)を発明したキム・テウォン首席研究員が選定された。

本発明は、OLED TV用などに使用される有機発光素材を得られる精製法として、真空下でイオン性液体を利用することで精製の歩留まりがよく、1回の工程だけで高純度の有機素材を得ることができる。このような精製法は、有機発光素材だけでなくカーボンナノチューブ、半導体素材、モノマーなど、多様な素材の高純度精製にも適用できるものと見通される。

現在、国内企業の(株)ILSOLED(研究所企業200号企業)に移転され、量産設備の開発が完了し、2019年から本格的な売上が予想される。

池錫永賞には、(株)POSCOの「耐食性の優れた溶融亜鉛合金めっき鋼板およびその製造方法」(代理人、特許法人C&S)を発明した全北大学のオ・ミンソク教授(発明当時は、(株)POSCO研究員)などが選定された。

本発明は、耐食性の優れた亜鉛-アルミニウム-マグネシウムの三元系の合金めっきの造成および製造技術に関するものであり、この発明により既存の亜鉛めっき鋼板に比べて5倍以上の高耐食性の鋼板が開発された。

開発された鋼板は、太陽光発電設備、家電製品、高級建築資材など、腐食防止が必要な産業分野に広く使用されており、大気汚染の増加による腐食環境の悪化などによって耐食鋼板に対する世界市場の拡大に伴い、同製品に対する需要は持続的に増加すると予想される。

もう1点の池錫永賞には、漢陽大学の「ソフトウェア定義ラジオ端末装置およびラジオアプリケーションの配布および設置方法」(代理人、特許法人異想)を発明したチェ・スンウォン教授などが選定された。

本発明は、SDR(Software Defined Radio)端末装置とSDR端末で実行されるラジオアプリケーションの配布および設置方法に関するもので、移動通信技術が世代別に進化しても、ハードウェアの交換なしにソフトウェアのアップデートだけでハードウェアプラットフォームへの適用を可能にする。

2014年6月に、標準特許として認定され、関連分野で権威のある論文誌のIEEE Communications Magazineに掲載され、技術的価値が認められた。

デザイン分野の丁若鏞賞には、株式会社ネイバーの「FRIENDSスピーカー」(代理人、特許法人忠正)をデザインしたコ・ヨンインデザイナーが選定された。

本デザインは、LINE FRIENDSキャラクターIPを活用してスピーカー本来の機能を害することなく、顧客を惹きつけるデザインのキャラクターを、軽量で小型に構成することで外での使用における不便さを解消した。

単に機械的かつ機能性だけを強調するデザインのスピーカーより、実際の話し相手が存在するという親近感を感じられるデザインとして評価されている。

洪大容賞には、株式会社Genexineの「変形したインターロイキン-7タンパク質およびこれの用途」(代理人、第一特許法人)を発明したヤン・セファン博士などが選定された。

本発明は、次世代の免疫抗がん剤として注目されているインターロイキンに関するもので、変性課程なしで歩留まりがよく安定化されたインターロイキン-7活性物質を得ることができ、ウイルス感染および癌のモデルにおいて生理活性を有するため、多様な疾患の予防および治療に活用が可能な技術である。

本発明によりインターロイキン-7の大量生産の問題点を効果的に克服し、免疫増強治療剤に対する市場の拡大が予想されるため、臨床試験が成功的に完了する場合、インターロイキン-7の活用も大きく期待される。

もう1点の洪大容賞には、(株)Yeon Systemsの「単眼式立体カメラ」(代理人、チャ・ヒョンソク)を発明したピョ・ドヨン代表が選定された。

従来の立体映像の撮影時に、二つのレンズを使用したカメラとは異なり、本発明の単眼式立体カメラはメインレンズの一つだけで立体映像の撮影を可能にする。

また、一つのメインレンズで、焦点と画角を調整することができ、操作性が優秀でメインレンズを汎用レンズとして交換装着して使用することができる。一方、近接立体映像のリアルタイム撮影が可能であり、皮膚がんの診断などにも活用できる。

2019年上半期特許技術賞の受付期間は、2月から4月までで、申請件数は計183件、平均倍率は26倍となった。

政府革新の一環として、特許技術賞受賞者には賞金が与えられ、受賞した発明に対しては、特許庁の発明奨励事業(※)支援のほか、中小ベンチャー企業部が主管する創業オーダーメイド型事業化支援事業に選定されると、特典が与えられる。さらに、受賞した発明の事業化やマーケティングの材料として活用できるように特許技術賞受賞のマークも提供する予定である。

※発明奨励事業:特許技術評価支援、IP活用戦略支援、特許技術取引コンサルティング、優秀な製品の優先購買推薦など

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