知的財産ニュース 韓国のPCT国際出願件数が30年間増加傾向

2024年3月25日
出所: 韓国特許庁

上位5位の中で唯一増加傾向、4年連続世界4位

韓国特許庁は2023年、韓国企業のPCT※国際出願件数が前年比1.2%増え、4年連続世界4位※※であると発表した。
※国際出願制度(Patent Cooperation Treaty):1つのPCT出願を提出するだけでPCTの締約国において出願した場合と同じ効果が発生する
※※韓国のPCT出願順位:5位(2010年~2019年)→4位(2020年~2023年)

世界知的所有権機関(WIPO)の統計によると、2023年韓国の出願人による①特許の国際出願(PCT)、②商標の国際出願(マドリッド協定)、③意匠の国際出願(ハーグ協定)は、いずれも増え、韓国企業の知財活動が活発になっていることがわかった。

これに対し、世界全体で特許の国際出願件数(272,600件、前年比1.8%減)は14年で初めて減り、商標の国際出願件数(64,200件、7.0%減)も減り、全般的に国際出願制度の利用が減っている。

①<韓国のPCT国際出願、上位5位のうち、唯一増え、4年連続世界4位>

韓国のPCT国際出願件数は、WIPOが統計を取り始めた1999年以降、約30年間増加傾向にあり、2023年の国際出願件数は22,288件(前年比1.2%増)と、中国、米国、日本に次ぎ世界4位(前年同)となっている。上位5位のうち、韓国以外の中国、米国、日本、ドイツの出願件数はいずれも減少している。

出願件数の順位をみると、サムスン電子(2位、前年同)、LG電子(6位、↑3)、LGエナジーソリューション(17位、前年同)など多出願上位20の中に韓国勢3社が含まれている。

②<韓国の商標国際出願、前年比2ランク上がって世界9位>

2023年韓国企業による商標の国際出願件数は2,090件(前年比2.9%増)と、前年比2ランク上がって世界9位(↑2)となっている。

多出願上位30位にはサムスン電子(27位)とヒョンデ自動車(28位)など韓国企業2社が入っている。とりわけ、サムスン電子は昨年より21ランク上がって積極的に商標出願を行っていることがわかる。

③<韓国の意匠国際出願件数が3位、サムスン電子(1位)、LG電子(3位)など韓国勢が上位を占め>

2023年韓国企業による意匠の国際出願件数は825件(前年比、1.0%増)と、世界3位(前年同)となっている。

上位20位には韓国勢3社が入っているが、サムスン電子は前年より2ランク上がってトップ(↑2)となり、LG電子は4ランク上がって3位(↑4)を占めている。ヒョンデ自動車は37位から19ランク大幅上がって18位となっている。

特許庁は、海外に進出しているか進出を予定している韓国企業のPCT国際出願、商標出願など知的財産権確保の支援に向けて国際出願制度について紹介※している。また、海外知財権総合支援室と海外知識財産センターなどを設置し、知財に関する韓国企業の悩みや意見を聞く相談窓口サービスを運営している。
※2022年10月:PCT、マドリッド協定など国際出願に関する説明会
 2023年6月、11月:PCT国際出願に関する説明会

特許庁の産業財産保護協力局長は「今回の結果は、世界経済の低迷と金利高の状況にもかかわらず、韓国企業が国際舞台で知的財産の保護に向け取り組んでいることを裏付けている」とし、「特許庁は韓国企業が海外で知財権を確保しやすい環境を作るために努力していく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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