知的財産ニュース 2023年韓国によるPCT出願の国際調査件数が世界4位

2024年4月22日
出所: 韓国特許庁

PCT国際調査の依頼件数上位5社のうち3社がグローバル半導体メーカー

グローバル半導体メーカーが新しい技術を世界各国で権利化するために、韓国特許庁に先行調査を依頼する「PCT※国際調査※※」の件数が増加傾向にある。
※PCT出願:PCT(Patent Cooperation Treaty)条約により、ひとつの出願願書を提出することでPCT加盟国(157か国)の全体に特許出願したことと同じ効果を与える制度
※※PCT国際調査:PCT出願に対し、出願人が国際調査機関(特許庁)を指定して当該の発明が権利化できるかどうか事前に判断してもらう手続き(2024年時点、21か国でPCT出願後、韓国特許庁に国際調査の依頼が可能)

2023年PCT国際調査の指定件数で韓国が世界4位…1位は欧州

韓国特許庁によると、2023年、韓国は国内外の出願人から30,023件のPCT出願※に対する国際調査※※の依頼を受けた。これは世界で4番目に多い件数で、1位欧州(83,125件)、2位中国(72,923件)、3位日本(47,342件)となっている。韓国に次ぎ米国(22,919件)が5位となった。

2023年韓国が指定庁となったPCT国際調査件数の4分の1は米国企業による出願

昨年、韓国が依頼を受けたPCT国際調査の73.8%(22,164件)は韓国出願人によるもので、サムスン電子・LG電子・LGエネルギーソリューションの上位1社が全体の約35%を占める。

技術分野別でみると、デジタル通信(2,620件)、蓄電池(電気機械・エネルギー、2,498件)、コンピュータ(1,929件)、医療技術(1,560件)、オーディオ・映像技術(1,094件)などの割合が大きい。

同期間、韓国が依頼を受けたPCT国際調査の4分の1である24%(7,155件)は米国から指定されたもので、米国が依頼した全体のPCT国際調査件数(52,576件)の14%に達する。

技術分野別でみると、コンピュータ(813件)、半導体(811件)、土木工学(704件)、蓄電池(電気機械・エネルギー、584件)、測定(475件)の順である。

PCT国際調査を依頼した上位5社のうち3社がグローバル半導体メーカー

企業別でみると、依頼件数上位5社にAMAT、インテル、ラムリサーチといった世界的な半導体メーカーが3社入っている。ここ数年間、依頼件数トップであるAMATは、米国特許庁に出願したPCT出願件数の大半(ここ5年間の平均、99.6%)に対し、国際調査を韓国特許庁に依頼しており、インテル(90.9%)とラムリサーチ(99.9%)でもこのような動向がみられる。

韓国と欧州の場合は、中国や日本、米国とは異なり、自国だけではなく外国から非常に多く件数でPCT国際調査の指定庁になっている。これは、両庁が調査品質や調査料などの面で競争力が高く、とりわけ、韓国特許庁は半導体など先端分野に関するPCT国際調査の品質を米国など世界的な企業から認められているためだと思われる。

特許庁の特許審査企画局長は「最近、AIを中心に半導体や先端産業が成長していることを受けて、韓国や海外企業が韓国特許庁に依頼するPCT国際調査の件数は増え続けていくと見込まれる」とし、「PCT国際調査の結果は、ほかの加盟国で特許審査を行う際に非常に重要な情報として活用されるため、品質管理に万全を期す」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195