日本からの輸出に関する制度

牛乳・乳製品の輸入規制、輸入手続き

マレーシアでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2024年2月

輸入割当
生乳(無乾燥、無糖、無濃縮、無添加)の輸入には数量制限があり、農業・食糧安全省家畜サービス局(DVS)で輸入割当の承認を得る必要があります。
輸入割当の承認は、統合通関登録システム「Dagang.Net外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を通じて輸入登録を行うと、この登録情報がオンラインで連絡しているマレーシア検疫検査サービス局(MAQIS)に届き、政府が設定している輸入枠内で承認が下ります。
生乳以外(甘味添加乳飲料、バターミルク、凝固クリーム、発酵乳、ホエイ、バター、チーズを含む)には数量制限はありません。
ライセンス
畜産物(牛肉、牛乳・乳製品)については2013年3月に発効した2012年関税(輸入禁止)令(Customs (Prohibition of Imports) Order 2012)において「特定の方式でのみ輸入可能な品目」として指定されており、輸入に際しては品目(HSコード)ごとに各機関からのライセンスが必要となっています。関連リンクから2012年関税(輸入禁止)令のTHIRD SCHEDULEを参照してください。
輸入業者登録
実際にマレーシアに牛乳・乳製品を輸入するにあたっては、輸入業者はオンラインのマレーシア食品安全情報システム(FoSIM:Food Safety Information System of Malaysia)にアクセスし、輸入者・輸入エージェント登録をはじめ、必要な登録を行うことによって輸入手続きを行います。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2024年2月

マレーシアでは「Dagang.Net外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(英語)とよばれる官庁間の統合通関登録システムが導入されており、輸入申請から認可取得、通知、関税諸税、手数料などの支払い手続きが自動的に一括処理されています。

実際に輸入日時や輸入港が決まったところで、「Dagang.Net」を通じて輸入業者が輸入登録を行います。この情報はオンラインで連絡しているマレーシア検疫サービス局(MAQIS)に自動的に届き、政府が設定している輸入枠内で承認が下ります。登録申請は輸入日より14日以上前に行う必要があります。許可料も同システム上で支払います。

また牛乳・乳製品のような加工品については、商品ごとにマレーシア食品安全情報システム(FoSIM)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)を通じて保健省食品安全品質管理部(Food Safety And Quality Division)にオンライン登録を行う必要があります。
申請状況については、オンタイムで確認することができます。また登録内容は自動的に税関と共有されます。

保税区から商品を受け出す際には、「Dagang.Net」を通じて取得したオリジナルの輸入許可証をプリントアウトしたものに加え、次の書類が必要になります。

  • 税関申告書(K1フォーム)
  • インボイス
  • 船荷証券
  • 梱包リスト(製品の数量)

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2024年2月

マレーシアの空港や港湾で書類検査、現物検疫が行われ、不合格の場合は輸入が許可されません。

4. 販売許可手続き

調査時点:2024年2月

牛乳・乳製品を含めマレーシアの食品販売に関しては、販売店舗の形態に応じて外資企業に対する参入規制が存在します。国内取引・物価省(KPDN)は2020年2月に、さらなる規制緩和策を盛り込んだ「流通取引・サービスへの外国資本参入に関するガイドライン(Guidelines on Foreign Participation in the Distributive Trade Services Malaysia、MDTCCガイドライン)」を公表しました。百貨店、スーパーマーケット、スーパーストアなど小売店の種類に応じて外資企業の参入規制が定められています。

牛乳・乳製品をマレーシア国内で販売する場合、日本企業を含めて外資が51%以上出資する企業は卸売・小売許可(WRTライセンス)を取得する必要があります。
WRTライセンスは国内取引・物価省(KPDN)に申請します。
最低払込資本金は100万リンギ以上が条件。卸売業、小売業、フランチャイズ、直販、国内市場向けサプライヤー、国際貿易業者の現地代理人などを含む流通サービス業が対象となります。
WRTライセンスは(BLESS:Business Licensing Electronic Support System)を通じてオンライン申請することができます。企業概要、ビジネスプラン、役員のリスト(会社委員会=SSM登記書コピー)、内国歳入庁(IRB)登録書コピーが必要です。
このほかマレーシア資本か外資かに関係なく、事務所や店舗を置く地方自治体(市、郡など)から、PBTとよばれる開業ライセンスを取得する必要があります。
WRTライセンスを申請する場合には、基本的に次の書類が必要です。

  • 会社の登記書
  • 会社委員会(CCM)における会社登録証明のフォーム49のコピー。(フォーム49〜取締役リスト)このほか必要に応じてフォーム32A(株主構成の変更)の提出が必要です。

5. その他

調査時点:2024年2月

なし

マレーシア内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2024年2月

日本からマレーシアへの輸出に際して、関税は次の5種類に区分されます。

  • マレーシアが国外からの輸入品に課している一般的な関税(PDK: Perintah Duti Kastam)による区分
  • 日本・マレーシア経済連携協定(JMEPA: Japan-Malaysia Economic Partnership Agreement)による区分
  • 日本・ASEAN包括的経済連携(AJCEP: Comprehensive Economic Partnership between Japan and ASEAN)による区分
  • 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP: Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific)による区分
  • 地域的な包括的経済連携協定(RCEP: Regional Comprehensive Economic Partnership Agreement)による区分

牛乳・乳製品の関税率は、それぞれ次のとおりです。
HS 0401:0~5%(PDK)、0%(AJCEP、CPTPP)、0~20%(RCEP)
HS 0402:0~5%(PDK)、0%(JMEPA、AJCEP、CPTPP、RCEP)
HS 0403:0% (PDK、 AJCEP、CPTPP、RCEP)、0~2.3%(JMEPA)
HS 0404~0406:0%(PDK、JMEPA、AJCEP、CPTPP、RCEP)

2. その他の税

調査時点:2024年2月

マレーシアでは、2018年6月から物品・サービス税(GST)が廃止され、同年9月から売上・サービス税(SST)が導入されています。牛乳・乳製品のSST税率は次のとおりです。

HS 0401, 0402, 0404:0%
HS 0403:0~5%
HS 0405〜0406:5%

3. その他

調査時点:2024年2月

なし

その他

調査時点:2024年2月

マレーシアはイスラーム教を国教として定めており、ハラール認証を取得する場合の制度が整備されています。食品全般のハラール認証基準については、「MS 1500: 2009 ハラール食品の生産、取り扱い、保管における基準― 総合ガイドライン(改訂第2版)」で定められています。
この基準などに基づき、ハラール認証が必要なものについては、マレーシア国内では、政府機関であるマレーシア・イスラーム開発庁(JAKIM:Jabatan Kemajuan Islam Malaysia)がハラール認証を行っており、ハラール認証を取得した商品や店舗には、ハラール認証マークの添付が許可されます。
乳製品について、獣医サービス局はハラール認証取得を義務付けると発表しています。