米国食品安全強化法セミナー:自己点検編 危害分析と予防管理のための10のポイント -FDA査察とFSVPに備えて-

ジェトロは、農林水産省補助事業として、2018年2月19日に、東京で「米国食品安全強化法セミナー:自己点検編」を開催しました。当日は、80名を超える米国向け食品を製造/加工している事業者のほか輸出商社等が参加しました(ライブ配信では最大約90名が視聴)。

セミナーでは、ジェトロによるFSMAの概要と最新の動きについての説明に続き、2017年12月に開催した「食品安全計画ワークショップ―FDA査察に備えて」の結果をふまえた危害分析と予防管理のポイントについて、Q&Aセッションの形式で解説が行われました。

講演「米国食品安全強化法の全体概要と最新の動き(その他の規制も含めて)」

講師
ジェトロ・シカゴ事務所 ディレクター 笠原 健
講演概要
FSMAの全体概要とともに、適用のスケジュールが改めて解説された。主要な規則の適用期日が過ぎているが、まだ対応が完了していない場合でも、今から着実に取り組んでいくことが重要だと伝えられた。あわせて、2020年1月が適用期限となっている栄養成分表示規制の改正内容や、米国で関心が高まっているGMO表示規制、およびカリフォルニア州法のプロポジション65(ビスフェノールA、警告表示の改正)への対応について解説された。
講演資料

講師:ジェトロ・シカゴ事務所 ディレクター 笠原 健

Q&Aセッション「危害分析と予防管理のための10のポイント‐FDA査察とFSVPに備えて」

講師
ジェトロ・シカゴ事務所 ディレクター 笠原 健
ジェトロ 農林水産・食品部 農林水産・食品課 調査チーム 高松 晃子
講演概要
Q&Aセッションでは、昨年12月に開催した「食品安全計画ワークショップ」に参加した42社に対して確認された指摘事項等をふまえ、ジェトロの担当者から「危害分析と予防管理のための10のポイント」を説明した。それぞれ、食品安全計画の作成の手順に沿って、日本の事業者が間違えやすいあるいは見落としがちな点、理解が難しいと思われる点を中心に解説するとともに、調べる際に有用となる参考資料等を伝えた。
また、参加者には、ジェトロが用意した「自己点検シート」に沿って、自社の施設の食品安全計画(危害分析と予防管理)の内容や考え方に不備がないかを確認してもらった。会場には、10のポイント全てができている参加者はいなかったが、セミナーの進行役からは、仮に今は不十分な点があっても、自己点検の結果をふまえて、今後食品安全計画を改善していただきたいという趣旨が伝えられた。
配付資料

質疑応答

主な質疑応答は次のとおり。

  • Q1.

    アレルゲンの表示に関し、無分別に捕獲したものを原材料として扱う場合の対応方法について

    A1.

    米国では、無分別に捕獲したものについて記載しなくてもよいといった除外規定はない。消費者に対しては、どのような原材料由来のアレルゲンが含まれているのかを、表示で伝える必要がある。原材料の特定がどうしても難しい場合には、”may contain”の表示をすることになるのでは。

  • Q2.

    原材料における工程の交差汚染によって、アレルゲン(小麦)が入る可能性がある場合の予防管理・表示について

    A2.

    原材料でない場合には、原材料としての表示義務はない。サプライチェーン管理でのアレルゲン汚染の予防管理が必要になる。

  • Q3.

    飲用適の場合でも危害分析が必要か

    A3.

    いったん「水」に含まれる病原性微生物等を危害として特定した上で、飲用適であること(市水の検査証明書等)をもって、予防管理は不要と判断する、という手順になる。

  • Q4.

    査察結果に対する回答にはどれくらいの期間が設けられるのか。査察が同じ施設に複数回入ることはあるのか。査察終了後、複数回のやり取りが発生することはあるのか。

    A4.

    米国側では、査察から回答までの期間について具体的な情報は聞いていない。国内は15営業日程度と聞いている。同じ施設に複数回入ることはある。また、査察終了後は、提出した改善計画の内容次第で複数回のやり取りが発生する可能性はある。