EPE(輸出加工企業)の優遇措置と通関手続き:ベトナム

質問

輸出加工企業(EPE)に対する優遇措置について教えてください。

回答

輸出加工企業(Export Processing Enterprises: EPE)とは、「輸出加工区内で設立され、操業している企業」または「工業団地内または経済区内で操業し、製品すべてを輸出する企業」を指します(Decree No.29/2008/ND-CP、2008年3月14日付)。

I. 法人税

現在、EPEという条件での法人税の優遇措置はありません。
ベトナムは従来、EPEに対して法人税の優遇(10%、15年間)をはじめ、関税やVAT(付加価値税)の免除といった優遇措置を与えてきました。しかし2007年のWTO加盟に伴い、国内外資本の格差をなくす目的で、2012年1月1日以降、EPEの法人税の優遇措置は撤廃されました(Decree No.122/2011/ND-CP、2011年12月27日付)。 法人税は2016年1月1日以降、20%(ハイテク分野や僻地への投資など一部を除く)に設定されます。

II. 輸出入関税および付加価値税(VAT)

EPEは税法上、外国企業とみなされるため、EPE施設とベトナム領土内との物品の移動にも通関手続きが必要です。 また、保税工場の扱いを受けるため、EPEが次に該当する物品を輸出入する場合で、保税工場の扱いを受けられれば、輸出入関税およびVATが免除されます(Decree No. 87/2010/ND-CP、2010年8月13日付)。

  1. 輸出関税の免税対象
    1. EPE、輸出加工区および保税倉庫から輸出された物品
    2. ベトナム領土内の別のEPEまたは輸出加工区および保税倉庫に対して販売した物品
  2. 輸入関税およびVATの免税対象
    1. EPEでの使用、あるいは輸出向け製品の生産のために輸入された物品
    2. 製品加工を目的にベトナム国内の企業から購入した供給物資、原材料、仕掛品
    3. EPE、輸出加工区、保税倉庫に輸入された物品
    4. ベトナム領土内の別のEPEまたは輸出加工区・保税倉庫から購入した物品
    5. EPEが国内企業からサービス、建設、取り付け工事を受ける際のVAT

III. その他のメリット

  1. スムーズな通関
    国外からEPE向けに輸入される商品、またEPEから国外へ輸出される商品は、違反の兆候がある場合を除き、実体検査を免除され、通常税関報告手続き終了後、即刻通関されます。
    なお、EPEが次に該当する取引を行う場合、通関手続きは不要です。
    1. 同一輸出加工区内での、EPE間の売買取引
    2. 異なる輸出加工区でのEPE間の売買取引で、当該取引先がグループ会社である場合、通関手続きの有無が選択できます。
  2. 275日ルール(繰り延べ)の制限なし
    EPEには、輸出品の生産に使用する輸入原料の使用期限、国外への製品輸出期限がありません。EPE以外の企業には、輸出品生産のための原料輸入時、申告登録日から275 日以内に完成した製品を国外へ輸出しない場合は、輸入税の納税義務があります(275日ルール、繰り延べ)(Circular38/2015/TT-BTC、2015年3月25日付)。
  3. VAT申告の簡素化
    EPEは毎月VAT 申告を行う必要がありません。

関係法令

調査時点:2015年1月
最終更新:2017年9月

記事番号: A-130201

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