非居住者が保有する貨物の通関制度:タイ

当社は、タイに住所のない日本企業です。タイに貨物を送り、タイに住所を有しないまま、非居住者名義でタイ国内への輸入通関を行うことはできますか。また、非居住者名義でタイから輸出通関や貨物の管理を行うことはできますか。

タイでは、非居住者が自己の名義で輸出入申告、積戻し申告を行うことはできません。

I. 非居住者による輸出入申告、積戻し申告

タイで貨物の輸出入または積戻しを行う場合、輸出入申告者または積戻し申告者は税関に対し所定の書類を提出する必要があります。このとき輸出入申告者または積戻し申告者はタイの居住者に限られます。
したがって、タイで輸出入申告および積戻し申告を行うためには、事業を行う法人をタイに設立する必要があります。
非居住者がタイの通関業者や物流業者等に委託をして、これら通関業者等が輸出入申告または積戻し申告の当事者となって手続きを行うことは可能です。

II. 非居住者による保税地域(保税蔵置場)での貨物管理

  1. 保税蔵置場の種類と非居住者による貨物管理
    タイでは、保税蔵置場政策に基づいて、以下のような種類の保税蔵置場が存在しますが、いずれの場合も非居住者が自己の名義でこれらの保税地域内で貨物を管理することはできません。従って非居住者がタイの保税地域内で貨物を管理するためには、タイの倉庫業者等との間で委託契約等を締結し、これらの倉庫業者等が当事者となって貨物の管理を行う必要があります。
    1. 一般用保税蔵置場
    2. 製造品用保税蔵置場
    3. 船舶修理、工事用保税蔵置場
    4. 宣伝、展示会品用一般保税蔵置場
    5. 貯油用保税蔵置場
    6. 免税店タイプ保税蔵置場
    7. 自由貿易地域用保税蔵置場
    8. 免税品保管用保税蔵置場

    一般用保税蔵置場は、製造、産業活動、および国際貿易をサポートするために適切と税関が判断したサービスの提供を行う公的な保税蔵置場です。輸入品の保管サービス、品物の梱包・再梱包、品物の積み込み、流通などに使用されます。
    蔵置場に保管される貨物に対しては輸出入等に課せられる諸税が留保されます。所定の諸税を支払い、国内消費用の内国貨物として、当該貨物の一部を蔵置場から取り出すことができます。

  2. 蔵置可能期間
    一般用保税蔵置場での貨物の最長保管期間は、輸入から2年間です。
  3. 保税地域での貨物管理に伴う課税関係
    非居住者であっても、保税蔵置場の保管料に7%(現行)の付加価値税が課せられます。タイに住所のない外国法人に法人所得税は課せられませんが、タイに恒久的施設(Permanent Establishment: PE)を有している場合、当該外国法人はタイで事業を営んでいるものと見做され、当該PEは法人所得税の申告および納税義務を負います。

III. 非居住者による保税地域外における貨物管理

タイでは法律上、非居住者が在庫所有や貨物管理を自己名義で行うことができないとする明文化された規定はありません。ただし、タイで輸入者または輸出者になるためには、上記のように事業を行う法人をタイに設立する必要があるため、輸出入通関が伴う場合には、非居住者が自己名義での在庫所有や貨物管理をすることは実質的には困難といえます。

関係機関

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参考資料・情報

ジェトロ:
E-Custom手続き

調査時点:2017/1

記事番号: K-120306

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