ナッツ類の輸入手続き:日本

質問

ナッツ類および落花生の輸入手続きについて教えてください。

回答

ナッツ類(種実類)とは、かたい皮や殻に包まれた食用の果実・種子の総称です。落花生はマメ科の植物の実です。ナッツ類および落花生を食用として輸入する場合には食品衛生法の手続きが必要です。また、生のナッツ類や殻付きのナッツ類は植物防疫法による検疫が必要です。

I. 食品衛生法

  1. 規格基準
    食品衛生法に基づく厚生省告示第370号「食品、添加物等の規格基準外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で食品添加物やその使用基準および農薬残留基準(農薬の各食品中の残留量の限度)が規定されています(残留農薬等に関するポジティブリスト制度)。輸入農産物には、日本の農薬取締法、食品衛生法で規制されていない農薬が使われている可能性があります。日本で使われていない農薬についても残留農薬基準を設定し、基準値を超えた農産物の流通が禁止されています。ポジティブリストになくまた残留農薬基準値が決められていないものについての農薬等が許容される一定量は0.01ppm以下です。また、食品添加物や使用基準が定められている物質の含有量にも注意を要します。外国野菜には日本では使用が規制されている発色剤、着色料、保存料等の食品添加物が使用されている場合があります。落花生とピスタチオ、アーモンド、クルミ等ナッツ類は、アフラトキシン検出事例が多く報告されています。
  2. 輸入手続き
    販売目的で食品類を輸入する場合、厚生労働省検疫所食品等輸入届出受付窓口に「食品等輸入届出書」と必要書類(原材料、成分または製造工程等に関する説明書、衛生証明書、試験成績書)を提出します。審査の結果、規格基準や安全性の確認が必要と判断されたものは検査が実施されます。審査・検査で同法上問題がなければ、税関への輸入申告時に通関書類とともに検疫所から発行される「食品等輸入届出済証」を提出します。不適格と判断されたものは積み戻し・廃棄等の措置を取ります。

II. 植物防疫法

  1. 輸入規制
    植物防疫法第6条で「輸入する植物及びその容器包装は、輸出国の政府機関により発行され、かつ、その検査の結果、検疫有害動植物が付着していないことを確かめ、又は信ずる旨を記載した検査証明書又はその写しを添付してあるものでなければ、輸入してはならない」と規定されています。生のナッツ類や殻付きのナッツ類は植物防疫法の対象となります。また同法第7条で下記の植物は輸入禁止品としています。
      1. 検疫有害動物(昆虫、ダニ、線虫、その他の無脊椎動物、脊椎動物等で有用な植物を害するものであって、植物防疫法施行規則別表一の第一の一及び二外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに規定するもの)
      2. 検疫有害植物(真菌、粘菌、細菌、寄生植物、ウイルス等で有用な植物を害するものであって、植物防疫法施行規則別表一の第二の一及び二外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに規定するもの)
      3. 土又は土の付着する植物
      4. 植物防疫法施行規則別表二外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます及び別表二の二外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲げる植物
      5. 植物防疫法施行規則別表一の二外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲げる植物(同表において栽培されたものを除く)

    発生する検疫有害動植物は国・地域によって異なるため、同じ植物であっても輸入条件が異なります。輸入を禁止していない国・地域からであっても、栽培地検査等の輸出国での措置が必要な場合があります。
    植物防疫所の輸入条件に関するデータベース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで輸入元国と輸入植物を指定して輸入条件を確認することができます。

III. その他の法令

  1. 食品表示法
    食品衛生法、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)及び健康増進法の食品の表示に関する規定を統合した食品表示法が2015年4月に施行され、表示すべき事項(名称、アレルゲン、保存方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量及び熱量、原産地その他食品関連事業者が表示すべき事項)を食品表示基準として定めています。輸入農産物は原産国名を記載することが必要です。食品表示法により食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかである食品のうち、とくに発症者数や症状の重症度が高く、表示する必要性の高い食品7品目を「特定原材料」として定め、表示を義務づけています。この中に落花生が含まれています。また、20品目を「特定原材料に準ずるもの」として、可能な限り表示するよう推奨している20品目にカシューナッツ、くるみ、ごまが含まれています。
    食品表示法の詳細は、消費者庁サイト「新しい食品制度についてPDFファイル(1.04MB)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を参照ください。
  2. 有機JAS規格
    「有機」及び「オーガニック」と表示するためには、有機JAS基準に基づく登録認定機関の検査を受け、認定を受ける等の手続きをする必要があります。海外の有機食品を日本で販売する場合、日本産の有機食品と同様に日本で有機JAS規格の認定を受けなければ、有機JASマークの貼付および「有機」、「オーガニック」などの表示はできません。
    ジェトロ貿易・投資相談Q&A「有機食品の表示制度:日本外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」をご参照ください。
  3. 関税定率法/関税暫定措置法(関税割当)
    関税割当制度は、一定の輸入数量の枠内に限り無税又は低税率(一次税率)を適用し需要者に安価な輸入品の供給を確保する一方、この一定の輸入数量の枠を超える輸入分には高税率(二次税率)を適用することによって、国内生産者の保護を図る制度です。一般食用および種子用の落花生は関税割当制度が適用されています。関税割当による一時税率の適用を受けるには、輸入前に関税割当申請手続きを行い、取得した「関税割当証明書」を輸入申告時に提示する必要があります。なお、割当申請には資格要件があります。詳細は農林水産省「関税割り当てに関する情報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」をご参照ください。

関係法令

食品衛生法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
植物防疫法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
植物防疫法施行規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係機関

税関外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
植物防疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
消費者庁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報

植物防疫所(輸出入条件詳細情報)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省(食品中の残留農薬)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省(関税割当てに関する情報)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
公益法人日本食品化学研究振興財団(残留農薬基準値検索システム)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ貿易・投資相談Q&A:
「食品衛生法:日本」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
「植物防疫法」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2013年8月
最終更新:2018年12月

記事番号: M-010665

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