一時輸入制度:台湾

質問

台湾における展示会出品貨物・商品サンプル・職業用具の一時輸入制度について教えてください。ATAカルネの利用が可能か、またカルネを使用しない一時輸入制度について教えてください。

回答

展示会出品貨物・商品サンプル・職業用具を台湾に一時輸入する場合は、必要書類を添えて輸入地の税関に申請する必要があります。また、一時輸入された物品を再輸出する際には、確実に台湾外に輸出されることを税関により確認を受けなければなりません。台湾はATA条約に加盟していませんが、ATAカルネに代わるSCCカルネを用いた一時輸入をすることも可能です。

I. 展示会出品貨物の一時輸入手続き

台湾で行われる展示会(および見本市)に出展する貨物については、台湾で消費・販売を行わず一定期間内に再輸出する条件で、輸入時の関税、営業税が免税されます。一時輸入の方法としては、台湾関税法に基づく一時輸入制度とSCCカルネ(特別通関手帳)を使用する2通りの方法があります。

  1. 輸入時の手続き

    台湾の展示会に出展する貨物を一時輸入する場合、以下の必要書類を添えて輸入地の税関に申告を行います。展示会場が保税地域である場合、担保の提供は不要です。保税地域でない場合、展示会出展貨物が通常輸入される際にかかる関税と営業税に相当する金額の担保(保証証券もしくは金融機関による保証)の提供を求められます。一時輸入が可能な期間は、税関が定めた期間(最長で輸入日より6カ月間)となります。延長が必要な場合は、その理由を添えて輸入地の税関に申請します。

    (必要書類)

    1. 一時輸入申請書
    2. 展示会貨物リスト
    3. 輸入者が展示会に参加する場合は、展示会主催者からの書類(展示会の名称、開催日時・場所、輸入者の名称等が記載されたもの)。
    4. 輸入者が展示会等を主催する場合は、会場使用の許可証、台湾内での展示会等開催許可を証明する書類、写真、保険証券等の書類。
    5. インボイス
    6. パッキングリスト
    7. B/L(船荷証券)、AWB(航空貨物運送状)
  2. 輸出時の手続き
    輸入者は、一時輸入された展示会出展貨物を再輸出する地(輸出地)を管轄する税関に輸出の申告を行います。一時輸入された展示会出展貨物が確実に台湾外に輸出されることを、税関により確認を受けなければなりません。
    担保が課されていた場合には、この再輸出の確認がされた後に税関より担保の解除(金融機関保証の解除等)が行われます。
  3. 展示会で輸入した展示品を販売する場合
    一時輸入制度を利用して輸入された貨物を販売する場合、販売日から30日以内に輸入地の税関にその旨の申告を行い、免除されていた関税や営業税を納める必要があります。

II. 商品サンプルの一時輸出入手続き

台湾に持ち込むサンプル品については、台湾関税法に基づく一時輸入制度とSCCカルネを使用する2通りの方法があります。手続きについては、展示会出品貨物の一時輸出入手続きと同様です。

III. 職業用具の一時輸出入手続き

一定の条件を満たす職業用貨物(カメラ、プロジェクター、タイプライター、その他の職業用具等)については、台湾関税法に基づく一時輸入制度とSCCカルネを使用する2通りの方法があります。手続きについては、展示会出品貨物の一時輸出入手続きと同様です。

IV. 日本からの輸出時の手続き

台湾に一時輸入した展示会出品貨物、商品サンプル、職業用具について、その利用目的が終了し日本に再輸入する際に、日本における関税および消費税の免税を受けるためには、関税定率法の規定に基づき再輸入貨物の無条件免除の適用を受けることになります。その適用を受けるには、当該貨物を日本から輸出する時点で、以下に留意して正確な輸出申告書を作成し、適正な輸出申告を行う必要があります。
台湾の一時輸入制度による輸入の場合、日本に再輸入する際に「本邦から輸出された貨物でその輸出許可の際の性質および形状が変わっていないもの」として、同一貨物であると認められることが免税適用の条件となります。また、同一貨物であることの確認は、輸出許可証などに記載された規格、材質および数量との対査で行われます。そのため、日本での輸出申告書に貨物の規格、材質、数量を正確に記載する必要があります。

V. SCCカルネ(特別通関手帳)

台湾は一時輸入に関するATA条約(物品の一時輸入のための通関手帳に関する条約)に加盟してないため、ATAカルネを利用した一時輸入はできません。 しかし、日本と台湾の間では民間協定が締結されており、SCCカルネ(特別通関手帳)を受給、使用することで、展示会出品貨物、商品サンプル、職業用具を一時輸入することができます。詳細は「一時免税輸入のための特別通関手帳SCCカルネ:台湾外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を参照ください。

関係機関

財政部関税総局(Customs Administration)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
一般社団法人日本商事仲裁協会(JCAA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

関税法第52 条(Article 52 of Customs Act, amended on August 20, 2014)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関税法第54 条(Article 54 of Customs Act, amended on August 20, 2014)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
稅款優待展覽物品進出口通關作業要點(Directions Governing Import/Export Clearance Procedures of Exhibit Goods, promulgated on July 10, 2002, and aamended on August 26, 2004 and July 15, 2005)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
関税定率法第14条第10号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報

ジェトロ:
貿易・投資相談Q&A
一時免税輸入のための特別通関手帳SCCカルネ:台湾外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
小口貨物の通関制度:台湾外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2015年8月
最終更新:2019年1月

記事番号: N-110207

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