アイルランドに国際郵便にて贈答品を送る際の留意点

質問

日本からアイルランド共和国に住んでいる家族に、国際郵便(国際スピード郵便(EMS)または国際小包)でメモ帳などの日用品を送る予定です。郵便局から、TARIC(タリック)コードが必要と言われました。TARICコードやそのほか必要な手続きについて教えてください。

回答

アイルランドでは、2021年7月からのEUにおける付加価値税 (Value Added Tax、以下「VAT」)規則の変更以降、通関時の税関検査を強化しています。国際郵便のマイページサービス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでラベルや必要書類を作成することで、入力した情報が通関電子データとして、物品送付先の税関へ送信されますが、その際入力した税関への告知情報(内容品の名称、数量、重量、原産地など)に誤りや不足などの不備があったとの理由で、アイルランド宛ての物品在中郵便物が、アイルランドの税関から日本に返送される事例が増えています。特に、同国宛には、上記の情報とあわせて、TARICコード10桁の記入が求められており、同コードの記入がないことで情報が不十分と判断され、日本に返送される恐れがあります。

TARICコードとは、「EU統合関税率(TARIC:Integrated Tariff of the European Union)」のことで、貨物を輸出入する際に世界共通で用いられる6桁のHSコードに、EU独自の下位分類を加えた10桁の番号のことです。

TARICコードは、以下にて調べることが可能です。また、当該コードが正しくないことで輸入国税関で関税や付加価値税が追徴されてしまうことがあります。このため、事前に現地に所在する企業等から、所轄の税関に正しいTARICコードを確認いただくことをお勧めします。この対応が困難な場合、HSコード上6桁を日本税関のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで検索したり、税関相談官外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに問い合わせて確認し、その後、TARICコード検索ページ(TARIC consultation)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにて下4桁を確認する方法があります。以下の方法に従って確認した10桁のTARICコードを、郵送する際の書類に記載ください。

TARICコードを確認する方法

  1. TARICコード検索ページ(TARIC consultation)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにて、「Goods code」欄に、確認済みのHSコード上6桁を記入。(例えば、メモ帳の場合は、「482010」を記入し、「Origin/destination」欄でIreland-IEを選択)
  2. 「Goods code」欄上にある「Browse the Nomenclature」をクリック。
  3. 別画面になり、該当コードと前後のコードが表示されるので、該当する品目コードをクリック。(メモ帳の場合は、Notebooks, letter pads and memorandum padsの8桁の4820 10 30を選択)
  4. 前の画面に戻り、Goods code欄に10桁のTARICコードが表示される。(メモ帳の場合、Goods code欄に表示される「4820103000」がメモ帳のTARICコードです)

欧州側で欧州域外から受け取る輸入貨物や国際郵便物について、受取人が負担する税は、一般的には関税とVATがあります。品目や輸入国によっては物品税、そのほかの税もあります。関税については品目ごとに税率が決められています。VATについては国毎に標準税率が決められています。EUでは2021年7月1日よりVATのルールが変更され、従来の22ユーロのVAT少額免税が撤廃され、郵送で送られるすべての物品の価値に応じ、関税がかかるものであれば関税に加えVAT(加盟国により異なりますがアイルランドなら23%)が課されることになりました。

しかし、個人間の贈答品については、従来の45ユーロまでの免税枠は存続しています。従って、本来国際郵便の内容物が商業用の物品ではなく個人間の贈り物であり、かつその価値が45ユーロを超えなければ税関申告書のGift欄にマークすることによりVATは賦課されないことになっています。贈答品の申告をしていない国際郵便は一律に商業品と見なされ、課税されることがあるようです。

「贈答品」の定義は、「個人から個人へ、単発的に送られ、商業的意図のない、受取人もしくはその家族の使用・消費のためのみに、対価の支払いなしに送られる物」と規定されており、これに該当しないものは贈答品として認められないためご注意ください。申告書の空欄に英語で、無償の贈答品であり、表示した価格は税関届け出のためのみのものであることを示す「Gift of no commercial value.Value for customs purpose only」と記載すると良いでしょう。

なお、いずれの場合も小包に対していくらの税を賦課するかを決めるのは輸入国の税関の判断となります。税関申告書に記載した物品の価値がそのまま認められるとは限りません。送り主の申告とは異なる額に対し課税されることもあり得ます。また、税を逃れるために物品の価値を不当に低く申告する、いわゆるアンダーバリューという行為は受取人が支払うべき税額を不当に低くするための違反行為と見なされることになりますのでご注意ください。

参考資料・情報

郵便局:
アイルランドあて物品の送付について(国際郵便・EMS等発送の際に記入を求められるTARICコードの調べ方を含む)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ:
貿易・投資相談Q&A HSコード
日本税関:
輸出統計品目表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税関相談官の問合せ先一覧外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2022年12月

記事番号: J-221201

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