2022年の新車販売台数は前年比4.6%増(ペルー)
EV市場は小さいものの急拡大、中国メーカーも参入

2023年8月8日

2022年のペルーの新車販売台数(注1)は、ペルー自動車協会(AAP)発表によると、前年比4.6%増の17万2,287台に上った(表1参照)。また、新型コロナ感染拡大前の2019年比でも1.5%増加し、3年ぶりに新型コロナ前の販売台数を上回った。部門別では、普通車〔乗用車、ステーションワゴン、スポーツ用多目的車(SUV)を含む〕の販売台数が市場全体の70.6%を占め、前年比5.1%増の12万1,681台だった。また、2019年比でも1.7%増加した。商用車〔バン、ピックアップトラックなど〕も前年比7.7%増の4万385台で、最も高い伸び率を記録した。新型コロナ禍前と比較しても13.0%と躍進した。トラックは、鉱業分野で停滞する機械設備投資の影響から、前年比、2019年比ともに11.7%減、21.8%減の9,540台と後退した。バスは、前年比で4.8%増加したものの、依然として新型コロナ禍前の実績からは68.7%減と程遠い。

表1:車種別新車販売台数 (単位:台、%)(△はマイナス値)
部門 2019年 2020年 2021年 2022年 シェア
(2022年)
22/21比 22/19比
普通車 119,616 81,957 115,818 121,681 70.6% 5.1% 1.7%
商用車 35,724 27,071 37,491 40,385 23.4% 7.7% 13.0%
トラック 12,204 8,688 10,810 9,540 5.5% △11.7% △21.8%
バス 2,177 787 650 681 0.4% 4.8% △68.7%
合計 169,721 118,503 164,769 172,287 100.0% 4.6% 1.5%

出所:ペルー自動車協会(AAP)

AAPによれば、2022年の自動車販売では、上半期におけるサービス分野(ホテル、レストラン、観光など)の回復と職場や教育現場における対面活動の再開などが、増加に大きく寄与した。特にバスなどは、対面活動の再開で人の移動が回復し、販売増加につながった。一方で、下半期には、大統領が罷免されるといった内政の混乱や、暴動による空港封鎖など社会争議の発生などで民間需要と公共投資が後退したことが、年末に向けての消費に大きく影響を及ぼした、とAAPは分析している。さらに、新型コロナ禍で高騰した海上運賃は2022年を通して安定してきたものの、世界的な半導体不足による完成車の供給不足やドル高など為替の影響もあり、2022年におけるリマ都市部の自動車の消費者物価指数は前年比7.4%増[ペルー国家統計情報庁(INEI)]と上昇した。これにより、自動車の購入を先延ばしする消費者が多くいる、とAAPはみている。

トヨタ自動車がシェアでトップを維持するも、中国車も躍進

メーカー別では、2021年に引き続き、トヨタ自動車が普通車(前年比10.8%増、2万1,799台)、商用車(15.8%増、1万3,690台)でいずれも首位を維持し、31年連続でのシェアトップを守った。一方で、同社グループ傘下の日野自動車は、バス部門では前年比28.6%増の99台を販売したものの、トラック部門が振るわず、前年比18.7%減にとどまった(表2参照)。その他日系メーカーでは、本田技研工業(ホンダ)が前年比32.5%増の3,444台と大きく躍進した。国別2位の中国が主要上位メーカー8社(CAHNGAN、DFSK、JAC、CHERY、GEELY、FOTON、JETOUR、GREAT WALL)でシェア20.3%、3位の韓国が2社(現代、KIA)でシェア18.3%となっている。

AAPによると、2022年の全中国系メーカーの販売台数実績は、前年比23.4%増(登記庁ベース)と大きく躍進した。車種別では、普通車が前年比3.8%増、トラックが25.9%増、ミニバンが39.6%増、バスが17.0%増、ピックアップトラック・バンが23.1%増、SUV・四輪駆動車が29.1%増と、軒並み増加している。AAPは、ペルーの消費者の間では依然として中国車の品質面を不安視する声はあるものの、継続して市場にハイブリッドやEVなどのコストパフォーマンスが高い新モデルを投入し続けていることで、徐々に消費者の信頼を勝ち得ているとみている。

表2:主要25メーカー新車販売実績 (単位:台、%)(△はマイナス値、-は値なし)
メーカー 2019年 2020年 2021年 2022年 シェア
(2022年)
22/21比 22/19比
トヨタ自動車 30,019 21,450 31,509 35,489 20.6% 12.6% 18.2%
現代 20,324 13,590 16,922 16,028 9.3% △5.3% △21.1%
KIA 13,894 8,721 10,840 15,519 9.0% 43.2% 11.7%
シボレー 8,883 7,791 11,372 11,602 6.7% 2.0% 30.6%
CHANGAN 5,371 4,187 7,206 7,620 4.4% 5.7% 41.9%
DFSK 4,501 2,767 5,218 7,016 4.1% 34.5% 55.9%
スズキ 6,806 5,381 6,322 6,343 3.7% 0.3% △6.8%
日産自動車 7,566 4,924 8,618 5,950 3.5% △31.0% △21.4%
フォルクスワーゲン 5,924 4,533 7,161 5,791 3.4% △19.1% △2.2%
JAC 4,262 3,694 7,102 5,681 3.3% △20.0% 33.3%
CHERY 2,439 1,844 4,287 5,280 3.1% 23.2% 116.5%
三菱自動車 5,440 3,525 4,332 4,315 2.5% △0.4% △20.7%
フォード 3,476 2,546 3,797 3,869 2.2% 1.9% 11.3%
本田技研工業 2,277 1,397 2,599 3,444 2.0% 32.5% 51.3%
GEELY 631 649 1,779 3,050 1.8% 71.4% 383.4%
FOTON 1,599 1,754 2,395 2,723 1.6% 13.7% 70.3%
マツダ 4,586 3,088 3,132 2,517 1.5% △19.6% △45.1%
RENAULT 5,952 2,766 2,952 2,505 1.5% △15.1% △57.9%
いすゞ自動車 1,446 1,527 2,039 2,080 1.2% 2.0% 43.8%
JETOUR 0 0 616 1,994 1.2% 223.7%
MG 928 859 1,318 1,780 1.0% 35.1% 91.8%
GREAT WALL 3,059 2,112 2,415 1,678 1.0% △30.5% △45.1%
メルセデス・ベンツ 3,189 1,596 1,228 1,486 0.9% 21.0% △53.4%
スバル 2,765 1,648 1,633 1,412 0.8% △13.5% △48.9%
日野自動車 1,476 1,265 1,686 1,371 0.8% △18.7% △7.1%
その他 22,908 14,889 16,291 15,744 9.1% △3.4% △31.3%
合計 169,721 118,503 164,769 172,287 100.0% 4.6% 1.5%

注:日本メーカーのみ太字にしている。
出所:ペルー自動車協会(AAP)

自動車ローン市場については、2022年は前年比15.0%増の38億1,491万ソル(約1,487億8,149万円、1ソル=約39.0円)となり、新型コロナ禍前の2019年比でも7.4%増と3年ぶりに下げ止まった(表3参照)。国民は、依然として現政権に対する不信感をもっているものの、雇用の改善(前年比7.8%増)や収入の改善(前年比11.5%増)に後押しされ、民間消費も前年比で3.6%増加した。

ローンの主な貸付機関は、銀行が全体の52.4%で最も多く、次いで小規模零細企業開発会社(EDPYMES)が23.8%、販売金融会社(ローン会社)が23.6%、市営貯蓄信用金庫(CMAC)が0.2%、農村貯蓄信用金庫(CRAC)が0.0%、となっている。また、支払い通貨については中央準備銀行(BCR)のソル建て決済が奨励されている。近年はドル高の影響もあり、ドル建て決済は年々、減少傾向にある(図参照)。

表3:金融市場における自動車ローン (単位:1,000ソル、%)(△はマイナス値)
貸付機関 2019年 2020年 2021年 2022年 シェア 22/21比
普通銀行 1,865,014 1,703,793 1,758,539 1,999,833 52.4% 13.7%
販売金融会社 492,727 606,011 738,993 898,923 23.6% 21.6%
市営貯蓄信用金庫(CMAC) 2,281 3,835 8,708 7,151 0.2% △17.9%
農村貯蓄信用金庫(CRAC) 74 137 114 56 0.0% △50.9%
小零細企業開発会社(Edpymes) 1,190,700 1,152,892 810,603 908,949 23.8% 12.1%
合計 3,550,796 3,466,668 3,316,957 3,814,912 100.0% 15.0%

注:CMAC、CRAC、Edpymesなどはノンバンク系のマイクロファイナンス機関。
出所:ペルー銀行保険年金基金監督庁(SBS)のデータを基にジェトロ作成

図:自動車ローン市場におけるドル決済比率
2015年は44.8%、2016年は25.5%、2017年は17.6%、2018年は11.8%、2019年は11.9%、2020年は13.8%、2021年は12.2%、2022年は8.8%。

注:全ての貸付機関のクレジットポートフォリオを対象としている。
出所:ペルー銀行保険年金基金監督庁(SBS)

中古車市場は14.5%の減少に転じる

中古車市場では、2022年の乗用車および商用車の販売台数は前年比15.5%減の50万9,460台と縮小した(表4参照)。トラック・バスも前年比5.1%減の6万1,801台と減少傾向にあるものの、全体としては新型コロナ前のそれを9.8%上回っている。

表4:部門別中古車販売台数(所有者登録変更届数) (単位:台、%)(△はマイナス値)
部門 2019年 2020年 2021年 2022年 シェア
(2022年)
22/21比
乗用車・商用車 470,327 376,187 602,919 509,460 89.2% △15.5%
トラック・バス 49,651 49,105 65,112 61,801 10.8% △5.1%
合計 519,978 425,292 668,031 571,261 100.0% △14.5%

出所:国家登記庁(SUNARP)

メーカー・ブランド別では、トヨタ自動車が全体の27.2%を占め、新車市場と同様に首位だ。販売台数は15万5,467台(前年比9.6%減)だった(表5参照)。日系メーカー全体では、中古市場の50.3%を占めている。特にトヨタ自動車のペルー法人では、2022年下半期に、同社による保証付きの中古車販売サービス「SEMINUEVOS CERTIFICADOS TOYOTA」を開始したことが販売を後押しした。同サービスは、発売後6年以内または走行距離10万キロ以下で、かつ、同社による145項目にわたる綿密な整備点検を通った車両に対して、お客様の購入後12カ月または走行2万キロ内の保証を付与するもの。

表5:中古車の販売台数(所有者登録変更届数) (単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー 2019年 2020年 2021年 2022年 シェア
(2022年)
22/21比
トヨタ自動車 143,871 113,608 171,919 155,467 27.2% △9.6%
現代 56,978 46,841 77,757 63,087 11.0% △18.9%
日産自動車 51,524 40,108 58,587 52,190 9.1% △10.9%
KIA 37,772 30,774 52,926 42,206 7.4% △20.3%
シボレー 22,750 17,919 31,233 25,313 4.4% △19.0%
スズキ 20,411 16,719 28,435 23,401 4.1% △17.7%
フォルクスワーゲン 19,088 16,167 24,361 20,804 3.6% △14.6%
DAEWOO 15,997 11,772 15,661 14,380 2.5% △8.2%
三菱自動車 11,687 10,019 15,417 13,729 2.4% △10.9%
ボルボ 10,580 9,973 12,061 11,925 2.1% △1.1%
三菱ふそう 0 8,399 10,208 10,169 1.8% △0.4%
マツダ 8,499 7,378 12,784 10,165 1.8% △20.5%
本田技研工業 7,693 6,746 9,828 8,814 1.5% △10.3%
ルノー 6,985 5,398 10,564 8,053 1.4% △23.8%
フォード 6,172 5,285 8,459 7,479 1.3% △11.6%
メルセデス・ベンツ 7,489 6,426 9,142 7,445 1.3% △18.6%
JAC 4,214 3,518 7,510 5,486 1.0% △27.0%
スバル 4,722 4,285 6,434 5,427 1.0% △15.7%
CHANGAN 3,146 2,990 7,481 5,091 0.9% △31.9%
BMW 4,150 3,686 5,533 4,419 0.8% △20.1%
JEEP 3,777 3,249 4,752 4,146 0.7% △12.8%
日野自動車 3,156 3,259 4,023 3,625 0.6% △9.9%
CHERY 2,726 2,342 4,874 3,600 0.6% △26.1%
GREAT WALL 2,709 2,427 4,710 3,584 0.6% △23.9%
プジョー 2,956 2,284 4,013 3,236 0.6% △19.4%
いすゞ自動車 2,300 2,350 3,218 2,988 0.5% △7.1%
ダイハツ工業 1,269 965 1,395 1,301 0.2% △6.7%
トヨタ自動車(レクサス) 302 234 431 353 0.1% △18.1%
その他 57,055 40,171 64,315 53,378 9.3% △17.0%
合計 519,978 425,292 668,031 571,261 100.0% △14.5%

出所:国家登記庁(SUNARP)

政治危機による社会争議が地方での販売に影響

地域別でみると、首都リマ都市部を含むリマ州での販売が全体の63.3%を占めている。2022年は、前年比9.7%増の10万9,066台の売り上げを記録した。その他では、市場シェアの18.5%を占める南部(注2)で、年末に大統領が罷免されたことで暴動や道路封鎖が発生した影響で配車物流が滞り、販促に影響が出た地域があった(表6参照)。

表6:地域別新車販売台数 (単位:台、%)(△はマイナス値、-は値なし)
2019年 2020年 2021年 2022年 シェア
(2022年)
22/21比 22/19比
リマ州 114,353 75,925 99,432 109,066 63.3% 9.7% △4.6%
アレキパ州 13,529 10,067 15,250 15,328 8.9% 0.5% 13.3%
ラ・リベルタッド州 8,597 6,453 10,126 9,574 5.6% △5.5% 11.4%
クスコ州 5,889 3,757 5,649 6,194 3.6% 9.6% 5.2%
ピウラ州 4,902 4,065 5,836 5,931 3.4% 1.6% 21.0%
ランバジェーケ州 3,793 3,267 6,111 4,653 2.7% △23.9% 22.7%
フニン州 4,457 2,774 4,109 4,184 2.4% 1.8% △6.1%
カハマルカ州 1,844 1,828 3,215 3,692 2.1% 14.8% 100.2%
アンカッシュ州 2,537 1,862 2,850 2,946 1.7% 3.4% 16.1%
タクナ州 2,208 1,790 2,584 2,412 1.4% △6.7% 9.2%
イカ州 2,461 2,018 2,959 2,245 1.3% △24.1% △8.8%
プーノ州 2,144 1,742 2,668 2,167 1.3% △18.8% 1.1%
サンマルティン州 852 926 1,145 1,116 0.6% △2.5% 31.0%
ウアヌコ州 737 643 1,045 1,080 0.6% 3.3% 46.5%
ウカヤリ州 685 587 805 715 0.4% △11.2% 4.4%
アジャクーチョ州 361 343 377 362 0.2% △4.0% 0.3%
パスコ州 40 168 257 322 0.2% 25.3% 705.0%
モケグア州 113 120 202 149 0.1% △26.2% 31.9%
ロレート州 113 88 116 77 0.0% △33.6% △31.9%
アマソナス州 1 4 0 64 0.0% 6300.0%
マドレ・デ・ディオス州 91 76 33 5 0.0% △84.8% △94.5%
トゥンベス州 7 0 0 5 0.0% △28.6%
ウアンカベリカ州 3 0 0 0 0.0% △100.0%
アプリマック州 4 0 0 0 0.0% △100.0%
合計 169,721 118,503 164,769 172,287 100.0% 4.6% 1.5%

出所:ペルー自動車協会(AAP)

コロナ禍特需が去った二輪車、三輪車市場

2022年の自動二輪車および自動三輪車市場は、全体で前年比15.2%減と後退した(表7参照)。部門別では、自動二輪車が前年比13.9%減の25万961台、自動三輪車が同18.1%減の10万9,831台といずれも減少に転じた。この結果についてAAPは、2021年の新型コロナ特需が落ち着きを見せた結果として分析している。具体的には、新型コロナ規制の段階的自由化や公共交通機関内での規制緩和に伴い、外出や外食需要が増加したため、新型コロナ禍で急増したデリバリー需要が減少し、結果的にデリバリーに使用されていた自動二輪の売り上げが減少した。さらに、自動三輪車の販売減少については、主に低所得者層のタクシーとしての利用が多いため、新型コロナ感染予防の意識が低下したことで、相乗りバスなどより安価な公共交通機関の需要が復活したためとみられる。また、年間累計消費者物価指数が8.56%まで上昇したことも、この分野の消費者層の購買意欲を低下させたと考えられる。

本部門で現地生産を行っている本田技研工業は、2022年の販売台数が前年比4.0%増加した(表7参照)。全体市場占有率も23.6%(8万5,053台)とトップを維持している。部門別では、自動二輪車が前年比3.8%増の5万9,213台、自動三輪車が同4.6%増の2万5,840台と健闘した。その他、ヤマハ、スズキ、カワサキなどの日系メーカーも軒並みプラス成長を達成している。

さらに日系各社は、排気量450 CC以上の高級クラスの自動二輪車においても2022年はいずれも前年比プラス成長を遂げている。本田技研工業は、このクラスでも前年比107.3%増の342台でシェア(44.0%)トップだった(表8参照)。

表7:自動二輪・三輪車新車販売台数 (単位:台/%)(△はマイナス値)
メーカー 2021年 2022年 前年比 シェア
(2022年)
本田技研工業 81,749 85,053 4.0% 23.6%
WANXIN 57,057 45,123 △20.9% 12.5%
BAJAJ 36,568 32,590 △10.9% 9.0%
ZONGSHEN 30,082 20,903 △30.5% 5.8%
RONCO 28,591 20,681 △27.7% 5.7%
SSENDA 13,831 10,875 △21.4% 3.0%
NEXUS 11,743 10,556 △10.1% 2.9%
ヤマハ発動機 8,313 9,557 15.0% 2.6%
LIFAN 12,665 8,281 △34.6% 2.3%
JETTOR 8,092 7,873 △2.7% 2.2%
スズキ 537 840 56.4% 0.2%
カワサキ 98 131 33.7% 0.0%
その他 136,286 108,329 △20.5% 30.0%
合計 425,612 360,792 △15.2% 100.0%

注:日本メーカーのみ黒字にしている。
出所:ペルー自動車協会(AAP)

表8:450CC以上自動二輪車(高級クラス)新車販売台数 (単位:台/%)(△はマイナス値)
メーカー 2021年 2022年 前年比 シェア
(2022年)
本田技研工業 165 342 107.3 44.0%
BMW 113 130 15.0 16.7%
ヤマハ発動機 20 67 235.0 8.6%
BENELLI 66 62 △ 6.1 8.0%
カワサキ 20 56 180.0 7.2%
KTM 31 43 38.7 5.5%
DUCATI 64 41 △ 35.9 5.3%
TRIUMPH 20 32 60.0 4.1%
スズキ 2 3 50.0 0.4%
HARLEY DAVIDSON 7 2 △ 71.4 0.3%
合計 508 778 53.1 100.0%

注:日本メーカーのみ黒字にしている。
出所:ペルー自動車協会(AAP)

急速に拡大するZEV市場

使用燃料の種類別では、ガソリン車が2021年から3.7%減の10万9,427台(全体の63.5%)と後退した(表9参照)。背景には、2022年上半期に発生したウクライナ紛争の影響による燃料費の一時的高騰(最大で5.37%増)や、中国のゼロコロナ政策による車両供給不足などがあるとみられる。次いでシェアが多いディーゼル車(24.6%)は7.1%増加し4万2,355台となり、新型コロナ禍前の2019年実績を3.4%上回っている。一方で、急速に販売を伸ばしたのが、その他の燃料を使用する車両だ。液化石油ガス車(LPG)は、2021年に引き続き、72.1%増の9,803台と急増し、シェアを5.7%まで拡大しているほか、バイオ燃料車(ガソリン・LPG)が前年比4倍超の3,050台、バイオ燃料車(ガソリン、天然ガス)が前年比50倍超の900台、天然ガス車(NSV)も約2.4倍の2,440台、ディーゼルと天然ガスを用いたデュアル燃料車は2021年に実績がなかったものの、2022年は417台を売り上げている。また、ハイブリッド車や電気自動車(EV)などのZEV部門でも、ガソリンと電気を使用するハイブリッド車が前年比62.3%増の1,901台、EVが約7.2倍の123台と販売を拡大している。

ハイブリッド車(ガソリン・電気)の、メーカー・ブランド別の販売状況では、トヨタ自動車が前年比51.9%増の975台と、この分野の市場シェアの半分を占めている(表10参照)。日本車では、スズキ自動車が同じく前年比3.1倍の90台で市場シェアを4.7%に広げている。その他、ボルボ(シェア18.5%)、アウディ(同10.4%)の欧米勢のほか、韓国のKIA(同5.6%)などが上位に名を連ねている。

表9:燃料別自動車販売統計 (単位:台、%)(△はマイナス値、-は値なし)
燃料種類 2019年 2020年 2021年 2022年 シェア
(2022年)
22/21比
ガソリン 124,992 85,138 113,637 109,427 63.5% △3.7%
ディーゼル 40,952 30,074 39,539 42,355 24.6% 7.1%
液化石油ガス(LPG) 409 661 5,697 9,803 5.7% 72.1%
バイオ燃料(ガソリン、LPG) 0 0 661 3,050 1.8% 361.4%
天然ガス(NSV) 625 308 1,030 2,440 1.4% 136.9%
ハイブリッド(ガソリン、電気) 235 364 1,171 1,901 1.1% 62.3%
表示なし 2,497 1,948 2,999 1,871 1.1% △37.6%
バイオ燃料(ガソリン、天然ガス) 6 0 17 900 0.5% 5194.1%
デュアル燃料(ディーゼル、天然ガス) 1 0 0 417 0.2%
電気 4 10 17 123 0.1% 623.5%
ハイブリッド(ディーゼル、電気) 0 0 1 0 0.0% △100.0%
合計 169,721 118,503 164,769 172,287 100.0% 4.6%

出所:ペルー自動車協会(AAP)

表10:メーカー別ハイブリッド車(ガソリン/電気)新車販売統計 (単位:台、%)(△はマイナス値、-は値なし)
メーカー 2019年 2020年 2021年 2022年 シェア
(2022年)
21/22比
トヨタ自動車 231 355 642 975 51.3% 51.9%
ボルボ 0 6 142 352 18.5% 147.9%
アウディ 0 2 262 197 10.4% △24.8%
KIA 0 0 32 107 5.6% 234.4%
スズキ 0 0 29 90 4.7% 210.3%
GEELY 0 0 0 82 4.3%
フォード 0 0 53 46 2.4% △13.2%
ランドローバー 0 0 10 18 0.9% 80.0%
トヨタ自動車(レクサス) 2 0 0 15 0.8%
HAVAL 0 0 0 13 0.7%
ジャガー 0 0 1 6 0.3% 500.0%
ポルシェ 2 1 0 0 0.0%
合計 235 364 1,171 1,901 100.0% 62.3%

注:日本メーカーのみ黒字にしている。
出所:ペルー自動車協会(AAP)

なお、ペルー政府による、普通ガソリン車やLPG車を天然ガス車に改造するための無利子融資制度「天然ガスによる節約計画」は、引き続き継続中だ。同融資は、最高で4,300ソル(約16万7,700円、1ソル=約39円)を無利子、頭金なしで融資するとともに、3年間の返済猶予が与えられる。エネルギー鉱山省(MINEM)によると、2022年は前年比3.9倍の7万3,563台が改造されており、2023年も6月現在で既に2万7,375台の実績が報告されている。

メーカー別の電気自動車(EV)市場では、韓国の現代自動車が、前年比6.7倍の47台でEV市場全体の38.2%となる最大のシェアだった(表11参照)。同社は、2022年後半に生産を終了した、自社初のEV「ヒュンダイ・イオニク(HYUNDAI IONIQ)」の初代モデルの後継車として「KONA」シリーズや、「KONA ELECTRIC」を2022年に新たに投入したほか、2023年にはイオニクシリーズの新型EV「IONIQ 5」を投入し、その他の2モデルのハイブリッド車と合わせて、自社全体の販売のうち3%をZEV部門で目指す目標をたてている。

ペルーにおけるEV市場はまだ小さく、また、2021年までは欧米メーカーがわずかに販売していたのみだが、2022年に入り中国勢の台頭が目立っている。中国EVメーカーのMINI、MAXUS、MAPLEを筆頭に、JMC, SKYWELL, FARIZONも存在感を増している。

表11:メーカー別EV車新車販売統計 (単位:台、%)(△はマイナス値、-は値なし)
メーカー 2019年 2020年 2021年 2022年 シェア
(2022年)
前年比
現代 0 9 7 47 38.2% 571.4%
アウディ 0 0 0 28 22.8%
MINI 0 0 0 11 8.9%
MAXUS 0 0 0 8 6.5%
MAPLE 0 0 0 7 5.7%
ボルボ 0 0 2 6 4.9% 200.0%
ポルシェ 0 0 5 4 3.3% △20.0%
JMC 0 0 0 4 3.3%
SKYWELL 0 0 3 3 2.4% 0.0%
FARIZON 0 0 0 3 2.4%
KIA 0 0 0 2 1.6%
JOYLONG 0 1 0 0 0.0%
LIANKE 3 0 0 0 0.0%
BORGWARD 1 0 0 0 0.0%
合計 4 10 17 123 100.0% 623.5%

出所:ペルー自動車協会(AAP)

業界団体と政府はEV政策で対立

AAPは、ペルーにおけるEV市場のポテンシャルは高いとみている。スイスに本社を置き、世界の大気汚染情報プラットフォーム「AIR VISUAL」を運営するIQAir社によると、首都リマは南米域内で最も汚染度が高い都市だ。こうした環境汚染対策の観点から、AAPは、2021年から継続して同協会作成の「電動モビリティー普及のための国家計画」を、議会および政権側に提案している。さらに2023年5月には、議会の生産委員会においてEVの普及を促進する法案について議論を行い、EV市場の拡大には、コロンビアやメキシコのような政府による税制面での支援策が不可欠だと強調している。

一方で、経済財政省(MEF)などは、支援策による過剰な財政負担を懸念している。支援策による財政負担は、約200億ソル(約7,800億円)に上るとみられる。また、環境汚染問題は交通量の多さにあるとして、AAPの主張と対立している。

議会では、AAPの主張に賛同する形で経済委員会の場で、グリーン交通とそのための開発を促進するための14の法案が議論されており、これもまた政権とは対立関係にある。議会では、EV産業促進のため「EV販売会社に対する法人所得税(29.5%)の一時的免除」「EV販売会社に対する一般売上税(IGV)(18%)の一時的免除」「EV販売会社に対する選択消費税(ISC)(5~40%)の一時的免除(注3)」などを提案しているほか、EV所有者に対する車両税(IPV)(販売価格の1%相当、最初の3年間のみ徴収)の免除なども議論されている。

ペドロ・カスティージョ前大統領は2022年7月の建国記念日の演説で、EV輸入に対する優遇税制の策定を約束していたが、同氏は同年12月に議会によって罷免されており、EVの税制優遇については、全て白紙の状態にある。


注1:
各社の販売代理店がAAPに報告している全ての部門の販売台数。
注2:
南部は全10州。アレキパ州、クスコ州、アンカッシュ州、タクナ州、イカ州、プーノ州、アジャクーチョ州、モケグア州、マドレ・デ・ディオス州、アプリマック州から構成される。
注3:
新車(5~10%)と中古車(40%)で税率が異なる。
執筆者紹介
ジェトロ・リマ事務所長
設楽 隆裕(しだら たかひろ)
1992年、ジェトロ入構。ジェトロ・マドリード事務所(1997~2001年)、ジェトロ・ブエノスアイレス事務所長(2006~2010年)、ジェトロ大阪本部情報サービス課長および主幹(2013~2017年)などを経て、2018年8月より現職。