EU、ブレグジット以降の対英関係で2020年末までの合意目指す

(EU、英国)

ブリュッセル発

2019年01月15日

欧州理事会(EU首脳会議)のドナルド・トゥスク常任議長と欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長は1月14日、英国のテレーザ・メイ首相に宛てた書簡で、北アイルランド国境問題をめぐる安全策(バックストップ)を発動しないために、英国のEU離脱(ブレグジット)の移行期間が終了する2020年末までに、EU・英国の通商関係を含む将来関係について合意を目指す考えを強調した。EUは、英国側で警戒感が広がるバックストップの運用について「仮に発動されたとしても暫定的な措置」と位置付けており、その運用をめぐる不透明感の払拭(ふっしょく)に努めている。

バックストップはあくまで暫定的措置との位置付け

今回の書簡は、ブレグジットをめぐる英国議会での「離脱協定」および「政治宣言」の採決を翌日に控え、英国のテレーザ・メイ首相からの書簡を受けて出されたもの(2019年1月15日記事参照)。今回の書簡の中で、EU側はあらためて「(EU・英国で合意している)離脱協定を見直す立場にはない」こと(2018年12月17日記事参照)を強調したが、欧州理事会のトゥスク常任議長は「バックストップが発動されないよう、2020年12月31日までに、それ以降のEU・英国関係を定める協定整備に向けて迅速に作業を進めることを確約する」と明言した。

また、欧州委員会は「英国のEU離脱以降、EU・英国の将来関係に関する合意が成立するまでの期間、欧州委として少なくとも6カ月ごとの頻度で、ハイレベル会合を開催して課題解決に取り組む」姿勢も打ち出している。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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