5G商用運用を2021年までに国内1都市で開始、モスクワなどが候補

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年06月19日

米国や英国、韓国など世界の国々で順次、第5世代移動通信システム(5G)の商用運用が開始される中、ロシアのデジタル経済政策を担当するマクシム・アキモフ副首相は6月15日、中国ハルビンで開催されたロ中2国間のビジネスイベント「第6回ロ中エキスポ」において、ロシアでの5G商用運用を2021年までに、5G運用試験設備が整っているモスクワ、サンクトペテルブルク、カザンを候補地として開始すると述べた。同日付のタス通信が報じた。

アキモフ副首相は、まずは国内の1都市で商用運用を開始し、その後、2022年までに10都市に拡大すると語った。通信機器については、「〔米国による華為技術(ファーウェイ)、中興通訊(ZTE)締め出しの動きがみられる〕昨今の国際情勢に鑑み、大部分は中国製になる」としつつも(2019年6月12日記事参照)、ロシア国内での5Gインフラ整備には現地企業の参画が条件とし、ロシアでの現地化が重要だと指摘した。

5G商用運用開始に向け最大の課題となっているのは、周波数帯域の割当だ。国家無線周波数委員会(GKRCH、注)は現在、試験運用に25.25~29.5ギガヘルツ(GHz)周波数帯域の利用を許可しているが(「コメルサント」紙6月5日)、この帯域の場合、情報伝送容量は大きいものの、天候などに左右されやすいことや広範囲をカバーすることが難しいため、高周波の中でも比較的波長の長い3.4~3.8GHz周波数帯域の利用を、ロシア大手通信事業者であるMTS、ビムペルコム、メガフォン、ロステレコムなどはGKRCHに求めている。他方で、この周波数帯は現在、国防省が利用しており、民間事業者への開放に難色を示していることから(2019年4月18日記事参照)、アキモフ副首相はプーチン大統領に裁定を付託した。同副首相は、9月30日までに周波数割当を決定しなければならないとしている。

(注)周波数領域の規制および周波数割当・利用に関する国家政策決定を担う、デジタル発展・通信・マスコミ省が管轄する省庁間調整機関。

(齋藤寛)

(ロシア)

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