韓国企業、ハンガリーでのEV用バッテリー生産で大型投資を発表

(ハンガリー、韓国)

ブダペスト発

2021年02月09日

ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易相は1月29日の記者会見で、韓国のSKイノベーションが6,810億フォリント(約2,352億円、1フォリント=約0.36円)を投じ、ハンガリーに3つ目の工場を建設すると発表した。建設開始は2021年第3四半期(7~9月)の予定。

新工場の建設地は、首都ブダペスト南方約50キロの人口3,000人の小さな町イバンチャで、敷地面積は70万平方メートル。新たに2,500人を雇用し、年間30ギガワット時(GWh)の電気自動車(EV)バッテリー(EV43万台分に相当)を生産する能力を有する見込みとなっている。ハンガリーにとっては史上最大の投資額となるグリーンフィールド投資で、SKイノベーションにとっては欧州最大規模の工場となる。

同社はブダペストから北西約90キロのコマーロムで2工場を操業している。欧州のパートナー企業向け供給のため、同社は2018年初頭に3億1,300万ユーロで年間7.5GWh分のバッテリーの生産工場の建設を開始。さらに、同工場建設中の2019年初頭に7億5,600万ユーロで年間9.5GWh分のバッテリーを生産する第2工場を建設することを発表していた。

SKイノベーションは現代自動車グループやダイムラーグループなど世界の主要完成車メーカーに供給を行っている。同社最高経営責任者(CEO)のキム・ジュン氏は「イバンチャ地域は、物流や労働供給の条件が良好なことに加え、工業団地開発のロードマップも十分に整備されており、欧州での生産能力を拡大するためのSKイノベーションに最適な地域として評価していた」とコメントした。

シーヤールトー外務貿易相は「新型コロナウイルス感染拡大は深刻な経済課題をもたらした。ハンガリーへの投資は2020年も引き続き行われてきたが、(誘致のためには)以前よりもはるかに多くの努力が必要で、非常に激しい競争に対応しなければならなかった」とし、「今回の投資は素晴らしい成功だ」と評価した。また「工場建設にはインフラ開発も必要なため、政府は近隣地域で輸送やエネルギーインフラ開発プログラムを実施中だ」と述べた。

なお、SKイノベーション以外には、韓国のサムスンSDIと日本のGSユアサがハンガリーでEV向けのバッテリーを製造している(2021年2月2日付地域・分析レポート参照)。

(バラジ・ラウラ、末廣徹)

(ハンガリー、韓国)

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