医療資機材の販路開拓は、専門サイト活用も視野に

(エチオピア)

アディスアベバ発

2022年04月25日

ジェトロは4月7日、医療資機材のオンライン販売に特化した起業家と面談した。メドストア(Medstore)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを展開するチャレネット・メクァネント(Chernet Mequanent)氏だ。チャレネット氏は、これまでGEヘルスケアなどの画像診断装置を扱った経歴を持ち、現在は中国の医療機器メーカーの販売店を経営する。その傍ら、医療資機材の市場拡大と効率化に関心をもち、取り扱いメーカーとは利益相反しないかたちで、電子商取引基盤を立ち上げた。その背景には、医療資機材を探すエチオピアの民間病院や企業が、思い描く商品の入手先を探すのに何日もかかるだけでなく、その結果、必要とする商品を見つけられないといった苦労を目の当たりにした経験があった。

新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、エチオピアでもオンラインで商品販売を目指す企業は増えている。こうした販路では、消費財の場合、一部の生鮮品を除くと、消費者が実店舗に掲載されている商品を見に行き、モノが実際にあるか、品質に問題がないかを確認して現金で購入することが多いようだ。他方で、企業間取引を念頭においた産業用商品になると、そもそもオンラインでみつけることは難しい。当地で企業情報を探すのによく使われるのは、2Merkato(トゥーメルカート)というサイトで、簡単な企業情報が掲載されている。特定の商品を探している企業は、こうしたサイトを参考に、企業に連絡して取り扱いの有無を問い合わせる必要がある。ただ、あらゆる分野の商材を扱うサイトは、医療分野など商品知識が必要な分野には不向きで、チャレネット氏は専門サイトに商機があると考えたという。

チャレネット氏によれば、サイトは順次改修して機能を増やしていくつもりだ。医療資機材は、安全性が求められるため、販売前に当地の代理店を通じたエチオピア食品・医薬品局への登録が必要だ(アフリカ主要国の医療機器登録制度情報、2021年5月)。同氏は、日本企業が自社商品を登録するための代理店探しにも活用してほしいと呼び掛ける。

チャレネット氏は、2022年夏ごろには、医療資機材の入札情報の取得を支援する機能もサイトに盛り込みたいと意気込んでいる。医療分野は、政府調達が市場の大勢を占めており(2021年9月9日付地域・分析レポート参照)、政府機関がその公示を取りまとめるが、入札書類などは、各調達元にそれぞれが取りに行く必要がある。これを、個別配送業者と提携して必要書類の入手を代行し、ウェブサイト上で利用可能にして、登録企業に公開するといったモデルが考えられるという。

ジェトロでは、これまでアフリカの有力代理店の参加を得て、医療機器や資材のアフリカ各国への販路開拓を支援する商談会を開催してきた。日本企業が売りたい医療消耗品は、ニッチすぎたり、一般的なものは中国製などとの価格勝負となったりするため、うまく商売に結びつかないのが現状だ。日本企業などが代理店を探す場合も、専門見本市は少なく、展示会の規模が小さい中では、かならずしも有効な手段とはいえない(2022年3月10日記事参照)。企業間取引などに世界的に使われるサイトの手が及ばない、エチオピアやその他の市場では、新興サイトもうまく活用して販路開拓に挑戦し続けることも大切だ。

(注)オンライン取引では偽の引き合いや入札を装った詐欺があることに留意が必要だ。ジェトロでは、それらを類型化して以下のページで紹介している〔国際的詐欺事件について(注意喚起)〕。

(関隆夫)

(エチオピア)

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