GIFTシティーにインド初の国際地金取引所が開設

(インド)

アーメダバード発

2022年08月10日

インド西部のグジャラート(GJ)州ガンディナガルにある「グジャラート国際金融テックシティー」(Gujarat International Finance Tec-City、通称:GIFTシティー)で729日、インド初となる国際地金取引所の開所式が開催された(2022年7月11日付地域・分析レポート参照)。取引所の名称は「インド国際地金取引所」(India International Bullion ExchangeIIBX)で、GIFTシティーの国際金融サービスセンター(International Finance Service CenterIFSC)内に設置された。開所式にはナレンドラ・モディ首相をはじめ、ニルマラ・シタラマン財務相、ブペンドラ・パテルGJ州首相などが参加し、モディ首相は演説で「インドは今や米国、英国、シンガポールのように、世界金融の方向性を示す国の仲間入りをしようとしている」と強調した。

インドは世界最大の貴金属類の輸入国で、2021年には前年比430トン増の1,069トンの金を輸入している。しかし、これまではインド準備銀行(Reserve Bank of IndiaRBI、中央銀行)が認定した銀行や法人を通じてのみ金輸入が可能だった(「インディア・タイムズ」紙84日)。今回のIIBX設置により、中小企業の貴金属商がIIBXを通じて直接、金の取引の参入することができるようになる。そのため、地金の金融化に弾みをつけるとともに、取引の価格決定の効率化や品質保証の向上が期待できる。

また同時に、インド国立証券取引所(National Stock Exchange of IndiaNSE)の完全子会社IFSCと、シンガポール証券取引所(Singapore ExchangeSGX)の接続(NSC IFSC-SGX Connect)も発表された。これにより、SGX会員が出したNIFTYデリバティブの注文は全てNSE-IFSCの注文照合・取引プラットフォームに転送・照合される。国際金融サービスセンター局(International Financial Services Centres AuthorityIFSCA)の発表によると、GIFT-IFSCのデリバティブ市場の流動性を向上し、多くの外国人投資家を取り込むことで、GIFT-IFSCの金融エコシステムにプラスの影響が見込まれるという。

このほか、今回の開所式では、IFSCAがスウェーデン、ルクセンブルク、カタール、シンガポールの金融規制当局とMoU締結を行ったほか、MUFG(三菱UFJ銀行)、JPモルガン、ドイツ銀行などの金融機関がGIFTシティーに支店を開設することを発表した(2022年5月30日記事参照)。

(飯田覚)

(インド)

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