工業製品税(IPI)の税率軽減措置、マナウス・フリーゾーンの優位性保護へ
(ブラジル)
サンパウロ発
2022年09月08日
ブラジル経済省は8月25日、政令11,182号を公布し、109品目に対し、工業税品税(IPI)を35%削減する措置の対象外とすることを発表した。即日施行した。なお、同政令の対象となるのは、北部アマゾナス州のマナウス・フリーゾーン(ZFM)で税制恩典を享受するために必要な基礎製造工程基準(PPB)を順守して製造する製品だ(注1)。
7月29日には、政令11,158号に基づき、国内での生産コストを下げ経済成長につなげていくことを目的に、約4,000品目を対象に工業製品税(IPI)の税率が35%削減された(2022年8月4日記事参照)。その後、マナウス・フリーゾーン(ZFM)とそれ以外の国内地域での税率差が縮まることで、フリーゾーンの優位性が損なわれる懸念を根拠に、最高裁は「憲法で定めたマナウス・フリーゾーン(ZFM)の地域開発モデル」に影響を与えかねないことを理由に、基礎製造工程(PPB)基準に沿って製造される品目については、政令11,158号の法的効力を停止していた(2022年8月16日記事参照)。
この度、政令11,182号により109製品が措置に追加されたことで、合計170品目の優位性が保護されることになる(注2)。
(注1)PPBの詳細は、ジェトロウェブサイト参照。PPBの認可を受けると、フリーゾーン域内での消費や製造のために輸入される製品、国内で購入される製品や製造設備、再輸出のために保管される製品は、工業製品税(IPI)が免除される。工業製品税はIPIと呼ばれ、輸入工業製品の通関や搬出、製造施設および製造施設とみなされる場所から工業製品を搬出する際に課税される。非関税の製品も多い一方、嗜好(しこう)品などに対しては高い税率が適用される。詳細はジェトロウェブサイト参照。
(注2)最高裁は8月8日、優位性が保護された製品は、マナウス・フリーゾーン(ZFM)で製造される合計528品目のうち61品目(11.5%)のみにとどまっていることを明らかにしていた。政令11,182号が施行され、109品目が加わったことにより、優位性が保護される製品の数は合計170品目となる。8月24日付の現地紙「バロール」は、この170品目を「特に重要なもの」と表現している。
(古木勇生)
(ブラジル)
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