カナダ・トルドー首相、APEC経済首脳会議でインド太平洋地域との関係強化を発表

(カナダ、APEC、北朝鮮)

トロント発

2022年11月21日

カナダのジャスティン・トルドー首相は11月18日、タイの首都バンコクで行われたAPEC経済首脳会議で、約1億8,300万カナダドル(約192億円、1Cドル、Cドル=約105円)を投じてインド太平洋地域との関係を強化していくことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同地域のカナダ公館やカナダ・グローバル連携省における職員拡充に9,250万Cドルを充当するとともに、長期的な貿易・投資促進を目的として、カナダ企業の輸出支援、現地カナダ商工会議所の活動支援、大臣によるトップセールスミッションの拡大などに4,500万Cドルを拠出する。

また、農業・農産物輸出の増加・多様化を後押しするため、同地域へカナダ初となる農業事務所の設置に3,180万Cドル、カナダとアジアでエネルギーパートナーシップを形成するための各種の連携に1,350万Cドルを拠出する。

カナダ政府は、10月中旬に日本政府と「自由で開かれたインド太平洋地域に資するアクションプラン」に合意し(2022年10月13日記事参照)、同月末にはインド太平洋経済枠組み(IPEF)への参加意向を表明(2022年10月31日記事参照)、G20サミットでもインド太平洋地域への一層の関与を発表(2022年11月18日記事参照)するなど、昨今、中国と距離を置き、友好国とのサプライチェーン構築に重きを置く姿勢を鮮明にしている。

また、同日の北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて、トルドー首相は、米国のカマラ・ハリス副大統領、岸田文雄首相をはじめ5カ国の首脳と緊急会談を行った。バンコクで行った会見でトルドー首相は、政府が発表を予定している「インド太平洋戦略」で、同地域におけるカナダ軍の関与を強化するために、新たな拠出を行う予定を表明し、「同盟国である日本や韓国、そして太平洋地域のすべての人々を支援するものになる」と説明した。カナダ連邦政府のメラニー・ジョリー外相は、インド太平洋地域の公式訪問を前に行った11月9日のスピーチで、向こう1カ月以内に「インド太平洋戦略」を発表予定であることを明らかにしている。

(飯田洋子)

(カナダ、APEC、北朝鮮)

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