サハリン1権益未譲渡分の売却期限を延長

(ロシア、日本)

欧州課

2023年04月13日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は4月5日、石油ガス採掘事業「サハリン1」の権益のうち、未譲渡分の30%の売却期限を6カ月延長する大統領令第247号に署名した。未譲渡分は、同事業から撤退を表明したエクソンモービルが保有していた権益。

大統領令第247号は、サハリン1の新運営会社設立と同社への事業移管を定めた2022年10月7日付大統領令第723号を改正するもの。大統領令第723号では、サハリン1に参画していた外国企業が新会社に出資して事業に残留する場合、新会社設立から1カ月以内にロシア政府に通知する必要があると規定している。外国企業が撤退する場合は、ロシア政府は同社が権益の譲渡を拒否する決定が行われた日、もしくは残留の通知期限から4カ月以内に同社が保有する権益を評価・売却することになっていたが、「1年以内」に延長された。具体的な期限日は大統領令の中で規定していないが、「タス通信」(4月5日)は11月中旬と報じている。

サハリン1の権益はもともと、エクソンモービル子会社と日本の経済産業省や伊藤忠商事、丸紅などが出資するサハリン石油ガス開発(SODECO)がそれぞれ30%、ロシア石油大手ロスネフチの子会社2社とインド石油天然ガス公社(ONGC)がそれぞれ20%保有していた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻を受け、エクソンモービルが2022年3月に撤退を表明、サハリン1の操業が一時期停止していた(2022年3月2日記事2022年10月19日記事参照)。これを受け、ロシア政府は大統領令第723号と2022年10月12日付連邦政府決定第1808号によって、サハリン1の新運営会社となる有限会社「サハリン1」を10月14日に設立し、事業を同社に移管した。同政府決定に基づき、新会社の権益20%は石油大手ロスネフチの子会社2社に配分されたほか、11月に日本のSODECOが出資継続を決定、ロシア政府はこれを承認した。インドのONGCも同様にロシア政府によって権益維持が認められ、エクソンモービル所有分が未譲渡として残っていた。

(浅元薫哉)

(ロシア、日本)

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